http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/132.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年4月14日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
問題連発Jアラートでも内心はニンマリ(岸田首相)/(C)共同通信社
13日のJアラート(全国瞬時警報システム)には肝を冷やした。核・ミサイル開発を強行する北朝鮮が午前7時22分ごろ、少なくとも1発のICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイルを日本海側へ発射。それからおよそ30分後の7時55分、「直ちに避難。直ちに避難。直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい。ミサイルが、08時00分頃、北海道周辺に落下するものとみられます。直ちに避難して下さい」とするJアラートが北海道を対象に発出された。北のミサイルを警戒したJアラートが鳴り響いたのはこれで7回目、岸田政権下では3回目だが、領域内への落下が予測されたのは初めてだ。
折しも通勤・通学の時間帯、「ミサイルが落下する」と警告された道内は大混乱。札幌市内の地下街には通勤客などが一時避難し、JR北海道や札幌市営地下鉄などが一時、全線で運転を見合わせ。道内のすべての高速道路が1時間ほど通行止めとなった。道教育委員会によると、100校以上が始業時間を繰り下げる対応を取ったという。
道内がパニックに陥る中、政府はJアラート発出から約20分後に自治体向けのEm-Net(エムネット=緊急情報ネットワークシステム)を通じ、「北海道及び、その周辺への落下の可能性がなくなったことが確認されましたので訂正します」とアナウンス。レーダーが発射を探知した直後のシステムによる計算では、道南西部の陸地に着弾するという予測結果を示したものの、ミサイルが高度を上げるにつれて修正されたことなどが誤予測の原因のようだ。
問題連発のJアラート
岸田首相は「国民の安全を最優先する観点から発出し、その後、ミサイルがわが国領域に落下する可能性がなくなったことが確認されたので改めて情報提供を行った。Jアラートの役割を考えれば今回の判断は適切だったと考えている」と釈明に追われた格好だが、内心はニンマリなんじゃないか。なんせ、岸田政権が昨年末に改定した安保関連3文書にのっとり、一気呵成に軍拡を進めているところだからだ。
後半国会では、防衛費倍増の財源を裏付けする財源確保法案が審議入りした。2027年度までの5年間の防衛費を総額43兆円へと積み上げるには、新たに年間4兆円もの巨費が必要となる。そのうち、9000億円を賄うために税外収入を積み立てる枠組み「防衛力強化資金」の創設が法案の柱なのだが、増税で1兆円超を手当てするデタラメについても野党は追及する構えだ。
岸田は6日の衆院本会議で「足りない財源について将来の世代に先送りすることなく、今を生きるわれわれの将来世代への責任として税制措置でのご協力をお願いしたい」と神妙な顔つきだったが、北のミサイルによって安全保障環境に対する不安が高まれば、防衛力強化の説得力が増すというもの。岸田政権下初のJアラート発出は昨年10月で、警戒の必要のない東京都の島嶼部まで対象にしていた。昨年11月の2回目は日本上空通過を予測した2分後に発出し、実際には通過しなかった。
モリカケ疑惑を吹き飛ばすため、北の脅威を煽って国難突破解散に打って出た安倍元首相を彷彿とさせる展開だ。
社会保険料上乗せで年8兆円を捻出
もっとも、岸田の盗人猛々しさは、その比じゃない。金看板の「新しい資本主義」はウヤムヤのまま、年頭に「異次元の少子化対策」をブチ上げてシフト。先月末にまとめた試案には、約1400億円規模の財源を要する児童手当の所得制限撤廃、約4000億円規模が必要となる高校卒業まで支給期間延長のほか、支給額次第で2兆円にもなるとされる多子加算、さらには菅前首相の「鶴の一声」で出産費用の公的医療保険適用も盛り込まれた。
野党議員の試算によれば、予算は8兆円にも上る。岸田政権は6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」で財源の大枠を示すとしているが、国民の社会保障負担を増やし、給付を減らすもくろみらしい。7日に初会合を開いた首相が議長の「こども未来戦略会議」では、社会保険料に上乗せする案を軸に議論が進められている。岸田が消費増税を封印し、国債発行は財務省が抵抗。消去法では社会保険料しかないのだ。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「1972年から永田町を取材し、ウオッチしてきましたが、こんなにひどい政治状況は見たことがありません。アベノミクスの大失敗で物価高に苦しんでいる庶民に軍拡増税を強いる上、自民党政権が30年以上もほったらかしにしてきた少子化対策のツケを社会保険料で払わさせる。そんなものは政治じゃない。国民生活が困窮している時には真っ先に軍縮し、国家を維持する。それが統治の基本中の基本ですよ」
誰の失政でこうなったかは明白だ。1989年に合計特殊出生率が過去最低になった「1.57ショック」から33年。2022年の出生数は前年比5.1%減の79万9728人に落ち込み、1899年の統計開始以来初めて80万人を下回った。政府機関の推計より10年ほど速いペースで少子化が進んでいるのは、自民党政権が本気で取り組まなかったからにほかならない。昨年10月1日現在の人口推計によると、外国人を含む総人口は12年連続で減少し、1億2494万7000人。労働の担い手となる15〜64歳の「生産年齢人口」は59.4%で、過去最低の割合だった。少子化がいまのペースで続くと若年人口は2030年代に現在の倍の速さで減少する。政府は少子化を「待ったなしの課題」と位置づけるが、何をいまさらだ。
軍拡を支える少子化対策
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「岸田政権が急に少子化対策に本腰を入れ始めた本当の理由は、戦時体制を整えるためではないのか。そう思えてなりません。安倍政権は特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法の戦争3法をまとめ、米国と一緒に戦争ができる国へ地歩を固めた。岸田政権は国是としてきた専守防衛をかなぐり捨て、敵基地攻撃能力の保有に突き進んでいる。日米同盟の下、いくら軍事力を強化しても、兵隊がいなければ戦争を遂行できません。そうした危機感からようやく動いたように見える。日本学術会議を骨抜きにしようとしているのも、軍事研究を推し進めさせるためです。すべての道は戦争に通ず。自民党政権が軍事化を最優先としていることがいよいよ証明された」
年金制度改革に反発するフランスの大規模デモのような反対運動をしなければ、この政権の国民愚弄は止まらない。英国のチャールズ国王の訪仏が延期されるなど、フランスのデモは多方面に影響を及ぼしながら、現地時間13日で12度目に突入。年金の受給開始年齢を現行の62歳から64歳に引き上げるのは確かに受け入れ難いところだが、とりわけ市民の怒りを買ったのはマクロン政権のやり方だった。憲法の特例規定である49条3項を使って年金改革を強行採決したことを「民主主義の否定」ととらえたからだ。15日示される予定の憲法会議による違憲審査の判断によっては、収束が見通せない可能性もある。
ひるがえって、この国は統一地方選の後半戦の真っただ中だ。岸田政権に中間評価を下す衆参5補選も同時に実施されている。岸田はもともと自民の議席だった衆院千葉5区、山口2区、山口4区を落とさず、3勝を挙げることを勝敗ラインにしている。負け越せば責任問題になる。下野が当然の自公政権を追い込むためには、絶対に勝たせてはならない選挙だ。野党の体たらくには嘆息だが、民主主義の権利を行使しなければ何も始まらないし、変わらない。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。