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汚職に軍との“不協和音”も…ゼレンスキー大統領の内憂外患/nhk
2023年11月19日 5時38分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231119/k10014262501000.html
ウクライナではロシアとの戦闘が長引くなか、ウクライナの調査会社が先月末に発表した世論調査では、政府や大統領への信頼度が低下。特に政府への信頼度は39%と、去年5月に比べてほぼ半減しました。
さらにゼレンスキー大統領と軍幹部との間に“不協和音”との指摘も。
国民の支持を得て戦ってきたゼレンスキー政権に何が起きているのか。
今後の戦況に影響は?詳しくお伝えします。
目次
ゼレンスキー大統領と軍幹部の間に“不協和音”
英BBC “徴兵逃れで2万人近くが出国”
ゼレンスキー大統領と軍幹部の間に“不協和音”
戦況の分析や見通しを巡ってゼレンスキー大統領と軍幹部との間で意見の食い違いが表面化し、不協和音が生じているのではないかという指摘も出ています。
ウクライナ軍のザルジニー総司令官は今月1日付けのイギリスの経済誌「エコノミスト」の寄稿やインタビュー記事の中で、戦況について「第1次世界大戦と同じように、こう着状態に陥る段階に達している」という認識を示しました。
これに対してゼレンスキー大統領は4日に行った記者会見で「皆、疲れているが、こう着状態ではない」と述べ、総司令官の見方を否定しました。
ゼレンスキー大統領は、今月3日のビデオ声明で、軍の特殊作戦を担当する司令官を新たに任命したと発表しましたが、地元メディアは、解任されたホレンコ前司令官が「理由は知らない。報道で知った」と不満を示したと伝えています。
英BBC “徴兵逃れで2万人近くが出国”
イギリスの公共放送BBCは17日、ウクライナからこれまでに2万人近くが徴兵を逃れるために国外に出国したことがわかったと伝えました。
川を泳いだり、夜間に徒歩で国境を越えたりして隣国のルーマニアなどに出国したとしていて、ほかにおよそ2万1千人が国外に逃れようとしてウクライナ当局に拘束されたということです。
ウクライナではロシアによる軍事侵攻以降、総動員令が出され、18歳から60歳の男性が徴兵の対象となり、原則、出国が禁じられています。しかし、徴兵を逃れるために賄賂を贈るなどの汚職も後を絶たず、兵員の確保も課題となっています。
汚職の問題が次々と…
ウクライナでは、一握りの政治家や実業家が利権を独占する政治構造が続いていて、2019年に行われた大統領選挙で政治経験のなかったゼレンスキー大統領がはじめて当選したのは、汚職に対する国民の不満も背景にあったとみられます。
しかし、ロシアによる侵攻を受けて欧米などからの軍事支援が続くなかでも汚職の問題が次々に明らかになりました。
ことし1月には、大統領府のティモシェンコ副長官など汚職の疑惑やスキャンダルが指摘されていた政府の要人が相次いで解任されました。
また、国防省による制服や食料の調達をめぐる汚職疑惑が伝えられる中、ことし9月、当時のレズニコフ国防相の交代が発表され事実上の更迭とみられています。
さらに、徴兵事務所の責任者が、市民などから賄賂を受け取る見返りに徴兵逃れを認めていたケースが後を絶たないとして、ことし8月、すべての州の徴兵責任者が解任されました。
世界各国の汚職を監視するNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」が発表している世界の汚職に関するランキングでは、ウクライナは、去年(2022)180の国と地域のうち116位で、公的資金の運用などに透明性が求められています。
(参考:日本18位・ロシア137位)
欧米諸国 汚職対策の強化を求める
こうした事態を受けてウクライナへの軍事支援を行っている欧米諸国は、ゼレンスキー政権に対して汚職対策の強化を求めています。
スロバキアのフィツォ首相は、先月、支援した資金が適切に使われるという保証が必要だと指摘するなどして、EUによる資金面での支援を支持しない姿勢を示しました。
アメリカのイエレン財務長官も先月、支援を必要な限り続けるとした上で、ゼレンスキー大統領に対し、汚職対策に力を入れるよう求めました。
ゼレンスキー大統領は今月4日、EUのフォンデアライエン委員長と行った会見で「ウクライナは改革を続ける。新たな法律を制定し、汚職防止のシステムを機能させる」と述べ、汚職対策に取り組んでいく姿勢を強調しました。
国防省のクリメンコフ副国防相も、今月開いた会見で「透明性が最も重要だ。欧米の基準に従う形で継続的な改善を進める」と述べました。
ウクライナ政府への信頼度が大幅低下 調査会社
こうした中、ウクライナの調査会社、キーウ国際社会学研究所が先月31日に発表した世論調査では、
▼ゼレンスキー大統領を信頼していると回答した人は76%で、去年5月の91%から下落したほか、
▼ウクライナ政府への信頼度は39%と、同じく74%から大幅に低下したことがわかり、相次ぐ汚職問題の発覚などが影響しているという見方も出ています。
また、ことし9月下旬から先月中旬にかけて行った世論調査で、ロシアとの戦い以外で何が問題か尋ねたところ「汚職」を挙げた人が63%と最も多くなりました。
さらに、別のシンクタンクがことし7月から8月にかけて行った世論調査では、回答した人の78%が「戦時下の政権や軍部の汚職の直接的な責任は大統領にある」と回答しました。
シンクタンクの責任者は地元メディアに対して「この数字は警告であると同時に『汚職対策をやれば支える』という励ましでもある」とコメントしていて、ゼレンスキー大統領にとって汚職との戦いは喫緊の課題となっています。
大統領選候補者 対決姿勢を鮮明に
一方、ウクライナのメディアは、来年の春に大統領選挙が実施される場合、大統領府の元顧問のアレストビッチ氏が立候補する意向だと報じました。
アレストビッチ氏は、ウクライナのNATO=北大西洋条約機構への加盟と引き換えにロシアによるウクライナの領土の占領を事実上認める内容の主張を展開していて、すべての領土の奪還を訴えるゼレンスキー大統領との対決姿勢を鮮明にしています。
政治ジャーナリスト「二人三脚の非常に強力な体制」
おととし(2021年)ゼレンスキー大統領の評伝「ゼレンスキーの素顔」を執筆したウクライナの政治ジャーナリスト、セルヒー・ルデンコ氏は、先月下旬、ウクライナ西部のリビウでNHKのインタビューに応じました。
この中でルデンコ氏は、ゼレンスキー大統領の政権運営について「大統領は成長し、変化している。人の異動を行わずして前進することは不可能だと考えている。政権は非常に強力だ」と述べ、戦況や政治状況に応じて人事の刷新もいとわない戦時下の非常体制を敷いていると指摘しました。
その上で「最初からチームにいたイエルマク大統領府長官が指導的な立場にある。ゼレンスキー氏のことを本人よりも知っているとも言われる人物で、大統領と同じぐらいの影響力を持っている。政治的な『タンデム』を誰が形成しているかは明らかだ」と述べ、政権は、ゼレンスキー大統領とイエルマク大統領府長官による「タンデム」とも呼ばれる二人三脚の体制だと明らかにしました。
また、ロシアとどう対じしていくのかについては「ゼレンスキー氏はロシアに妥協しないと思う。民意に反して妥協することは政治的なキャリアと、人間としての将来に終止符を打つことになる」と述べ、プーチン政権との間で停戦交渉を行う可能性は低いという見方を示しました。
一方、ルデンコ氏は、欧米などから巨額の軍事支援を受けるなか、国防省などで汚職の問題が明らかになっていることについて「最重要のトピックのひとつだ。汚職官僚が国全体に行っている内部戦争でもある。ウクライナを助けたいと思っている西側諸国は、援助した資金が盗まれない公正な国であってほしいと望んでいる。大統領は努力をすべきだ」と述べ、各国からの軍事支援を受け続けるためには汚職の問題を早急に解決すべきだと指摘しました。
【記者解説】首都・キーウの横川浩士記者
ゼレンスキー大統領と軍との不協和音や国民の不信感の高まり、戦況に影響はあるのか?
(横川記者)
現時点では直接的な影響はないとみられる。ただ、大統領と軍の隙間にロシア側がつけ込み、揺さぶりをかけようとする動きも見られる。
さらにただでさえウクライナへの支援疲れが指摘されるなかで汚職がはびこったままだと欧米からの支援の継続にも影響しかねない。
再び求心力を高めるために何が必要か?
(横川記者)
汚職対策で成果をあげることが極めて重要。各国からの信頼を取り戻し、必要な兵器の供与や兵士の訓練を進め戦況を好転させていく、そんな機運を高めていくことが大事だ。
信頼度が低下しているとのことだが、国民はついて行く?
(横川記者)
国民は、ウクライナ国内の結束の乱れは、ロシアを利することになると分かっている。政権にとっては辛口の調査結果を出しているシンクタンクも「改善策を進めよ、という励ましでもある」とコメントしている。
ロシアに勝利して戦争を終わらせるーウクライナの人たちの思いが揺らぐことはない。
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