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金正恩と会ったプーチンが中国に突きつけた「警告」/Forbes JAPAN
Melik Kaylan によるストーリー
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E9%87%91%E6%AD%A3%E6%81%A9%E3%81%A8%E4%BC%9A%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%8C%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AB%E7%AA%81%E3%81%8D%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%9F-%E8%AD%A6%E5%91%8A/ar-AA1gNfDp?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=8fbd3082af5b412c82395cf7de7bcf7e&ei=20
北朝鮮の指導者である金正恩がロシアを訪れ、プーチンと会った。北朝鮮からロシアへの武器提供などが取り沙汰されているが、2人が何を話し合ったのか具体的な内容は謎のままになりそうだ。だが、背景を知り、手がかりを探っていくと、浮かび上がってくるものもある。
筆者は2009年の冬、ロシア、中国、北朝鮮3カ国の国境が交わる地帯に足を運んだ。中国領のすぐ向こう側に、北朝鮮とロシアを結ぶ鉄道路線が走っている。金正恩は今回、豪華な専用列車に乗って、この路線を通ってロシア入りしたもようだ。
中国領の最も奥まったところにある展望台からは、近くに踏切が寂しげな姿をさらしているのが見えた。建造物もなければ人影もなく、ただ風に雪が舞っているばかりだった。そこからは見えなかったが、数キロ先には日本海が広がっている。ここに最初の重要なヒントが潜んでいるのだが、これについてはあとで詳しく述べよう。
筆者が訪れたとき、中国側では整備されたばかりの道路をトラックが轟音を立てながら行き交っていた。少し内陸に行ったところで新しい街の建設が進められていて、主にそのための資材を運んでいたのだろう。「実績」優先の開発だったようだが。
ロシア側は見渡すかぎり雪一面で、ソ連時代にさかのぼる国境施設が点在していた。北朝鮮側はというと、そうした施設すらなかった。細い鉄道路線のほかには数キロメートル先に小屋らしきものがわずかに見えるだけで、それ以外、人工物はなかった。現在も当時からあまり変わっていないのではないかと想像する。
中国は現状の国境線に怒りを抱えている。鉄道を見渡せる場所から日本海にいたるまでの細長い土地周辺は、中国が領有していてもおかしくなかった場所だからだ。もし領有していたら、中国は日本海に開いた出口を貿易などのために確保できていた。一帯は歴史の大半を通じて中国領であり、中国がかつての領土をどれほど強く欲しているかはよく知られている通りだ。
中国は昔は日本海にアクセスできていた。しかし、現在は生産物を日本海を使って輸出する場合、気まぐれな北朝鮮の港に頼らざるを得ない。なぜかというと、日本軍の中国占領中、豆満江を下って船で海に出ることは不可能になり、第二次大戦後、河口付近は川を挟んでそのまま旧ソ連と北朝鮮の国境になったからだ。スターリンは中国に土地を一片もくれてやらなかった。
ここに、金正恩による訪ロの重層的な意味の1つを読み解く最初のカギがある。プーチンはおそらく、中国にこんなメッセージを送った。ウクライナでの戦争でロシアが必要としているものを中国が提供しないのなら、中国は罰を受けずには済まされない──。
数十年にわたって、中国は北朝鮮にとって最大の貿易相手国であり、予想困難な国である北朝鮮に対して世界で唯一、影響力を行使できる存在でもあった。ロシアはこれまで、北朝鮮との関係は不毛で大規模なインフラ投資も必要になるとみて及び腰だった。中国を刺激したくないという判断もあったのかもしれない。
中国は、金正恩が列車で通った戦略的に重要な土地をめぐって不満を抱えている。国境地帯の中国側には、中国の領土喪失を図版や映像で伝える博物館まである。つまり、一帯は非常にシンボリックでセンシティブな場所であり、プーチンはそのことも知っている。
そのうえでプーチンは、北朝鮮との関係をあらためて強化すると大々的に示してみせた。中国に対して、これからはすべてが変わると警告を発した。ロシアが必要としている武器を中国が供給しないということなら、ロシアは北朝鮮に対する中国の(不安定な)優位性に挑むだろう──。
ロシアはイランからのように、金正恩の北朝鮮からも役に立つ武器をいくらかは調達できるに違いない。ロシア国内の工場は満足に稼働できておらず、ウクライナでの戦争の需要を満たせていない。中距離砲はロシア軍の大きなアセットであり、実際、ウクライナ軍による防衛線の突破を遅らせている。地雷もそうだ。
北朝鮮はロシアに必要最低限の野砲や砲弾、地雷を補給できるだろうし、旧式のロケット弾も提供できるだろう。だが、それ以上はあまり期待できそうにない。したがって、プーチンと金正恩が仰々しい首脳会談をしたところで、戦争の趨勢は変わらないだろう。
とはいえ、ロシアはそれによって、ロシアへの最大の武器提供国になる力を秘めた中国を動かせるかもしれない。中国が傍観すれば、代わりにロシアが北朝鮮の新しい「兄貴分」になりかねないからだ。ロシアはさらに、北朝鮮の軍事力向上を支援しようとするかもしれない。軍事同盟は双方向に機能するものである。ここに、金正恩訪ロの意味を解き明かす2つ目の重要な手がかりがある。
ロシアが核兵器を含めて北朝鮮の武器を改良する可能性は、韓国、日本そして東アジアの西側同盟全体にとって新たな局面を開くものにもなる。これは動的な脅威と呼ぶべきものだ。なぜなら、北朝鮮は実際に武器を使いかねない国だからだ。
つまり、プーチンは地政戦略学的な動きを見せていて、アジアを含めて世界を冷戦のピーク時のような体制に巻き戻そうとしている。現在、アジアの同盟国を防衛する西側の能力は、中国とロシアという2つの脅威によって引き延ばされている。
一方、中国側も脅威を感じているとしたらどうだろうか。中国はこれまで、ウクライナでのロシアの戦争努力にほとんど手を貸していない。それにはもっともな理由がある。
中国はロシアが戦争で一方的な勝利を収め、自信を深めることを望んでいない。むしろロシアが弱体化したほうが、中央アジアに対する影響力を失う結果になるだろうし、国がばらばらになればシベリアなどに対する影響力も弱まるだろうからだ。切羽詰まった状態に追い込まれたロシアが、日本海に面する領土の一部の取引を中国に持ちかけてくる可能性もある。現時点で、ロシアはこうした地域の領土を守れそうにない。
こうした動きやそれに対抗する動きは、かつて帝国が緻密な計画を立てて進めていた類いのものだ。帝国をすべて失った西側は、この種のゲームのやり方をほとんど忘れてしまい、プーチンがそれをやるときには複雑な「5次元チェス」のように感じる。
それでも、プーチンとロシアの帝国が救われることはないだろう。プーチンが金正恩のような人物に頼らなければならないとき、それは避けがたいことを遅らせているだけにすぎない。
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