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米国政府の圧力があってもロシアの天然ガスがなければ社会を維持できないEU
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202309150000/
2023.09.15 櫻井ジャーナル
天然資源に関する問題を調査し、キャンペーンを実施しているNGOの「グローバル・ウィットネス」の発表によると、今年1月から7月までの間にEU諸国がタンカーで輸入したロシア産LNGは昨年の同時期に比べて40%増加したという。スペインはロシア産LNGの世界第2位の買い手であり、ベルギーがそれに続く。勿論、第1位は中国だ。
アメリカはウクライナをクーデターで手に入れ、ロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプラインをおさえた。昨年9月26日にはウクライナを迂回する「ノード・ストリーム」と「ノード・ストリーム2」が爆破されたが、アメリカ政府が実行した可能性が高い。スペインのテレサ・リベラ・エネルギー相は4月、EUの制裁協議にロシアのLNGも加わるべきだと語ったようだが、EU市場を必要としないロシアは傷付かず、ロシアの天然資源が必要なEUは壊滅する。
アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から翌年の2月にかけてウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを実行、10年の選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除した。
しかし、クーデターではヤヌコビッチの支持基盤でロシア語を話し、東方正教会の文化圏にあるクリミアや東部ドンバスを制圧に失敗した。アメリカ/NATO/ウクライナ西部の支配層はかつてパレスチナやユーゴスラビアで行ったように住民を虐殺し、追い出し、自分たちにとって都合の良い人々を移住させるつもりだったようだが、成功していない。ロシアにとってウクライナがNATOの支配地になるということは、ナチスが始めたソ連に対する軍事侵略、「バルバロッサ作戦」の新たなバージョンにほかならない。
ウクライナのクーデターには別の目的もあった。ロシアとEUを分断し、双方を弱体化させようということだ。ロシアとEUの接近はアメリカやイギリスの支配層にとって脅威である。
ロシアとEUを結びつける最大の要因は石油や天然ガス。EUの経済はロシアが供給していた天然資源なしには維持できない。つまり、ロシアの天然資源をEUから取り上げてしまえば、EUは米英資本に従属せざるをえない。
アメリカでは1970年代から新自由主義を導入、商品の製造を放棄して金融を軸に据えた。金融マジックだが、このマジックは人びとがドルを信仰することで成立する。その信仰を支えてきたのが軍事力と情報力にほかならない。
1991年12月のソ連消滅で新自由主義を推進していた勢力はアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、世界制覇プロジェクトを本格化させた。そのベースが1992年2月に作成された「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。ウォルフォウィッツの仲間であるネオコンはNATOを東へ拡大、旧世代の「タカ派」も懸念する事態になる。そうした旧世代のひとりがリチャード・ニクソンだ。
ニクソンは1994年の段階でアメリカの傀儡だったボリス・エリツィンの政治的な影響力が低下していると指摘、ロシア議会で反米機運が高まっていると警鐘を鳴らし、そうした機運の高まりはエリツィンの後継者として反欧米の大統領候補を連れてくる可能性があるとしている。そして登場してきたのがウラジミル・プーチンにほかならない。
2001年9月11日の出来事でアメリカにはそのドクトリンに抵抗する勢力が消滅するのだが、プーチンを中心とする勢力はロシアを再独立させることに成功、状況は一変した。
アメリカの政策はドイツをはじめとするEUの経済を破壊し、人びとの生活は成り立たなくなる。生産活動を維持できなくなる企業に対し、アメリカは拠点の移動を働きかけているようだ。新自由主義で破壊した自国の製造業をEUの企業で補填しようというのだろう。
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