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アフリカで続くクーデターの背後に欧米の帝国主義システムを支える利権
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202309030000/
2023.09.03 櫻井ジャーナル
中央アフリカの大西洋岸にあるガボンで2023年8月30日にクーデターがあり、アリ・ボンゴ大統領を含む要人らが拘束されたという。最近アフリカではスーダン、マリ、チャド、ギニア、ブルキナ・ファソ、ニジェール、そしてガボンというようにクーデターが続いている。
ガボンは1960年8月にフランスから「独立」しているが、これは帝国の衣替えにすぎない。その後もフランスの影響下にあったが、2022年6月にイギリス連邦へ加わり、アメリカの影響力も強まった。イギリス陸軍は密猟という名目でチームを派遣、軍事訓練を行っている。
アリは1967年から2009年までガボンの大統領を務めていたオマールの息子。汚職や人権侵害で評判の良くない人物だが、8月26日に実施された選挙では勝利している。フランス、イギリス、アメリカの利権構造の手先として機能しているボンゴ家は強い。言うまでもなく、こうした欧米の国々がガボンに食い込んでいる理由は石油をはじめとする資源の存在だ。
ニジェールでは7月26日に大統領警護隊がフランスの傀儡と言われているモハメド・バズーム大統領を拘束、国境を閉鎖し、非常事態を宣言した。
これに対し、アフリカの資源を略奪してきた欧米諸国はクーデターを批判、その手先であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍事行動を起こすと恫喝、フランス自体が軍事介入する可能性も言われているのだが、ハードルは高い。
ニジェールでクーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンと会っている。同グループの支援を要請したのだが、ロシア側は慎重だった。
そのプリゴジンはロシアへ戻った直後、モスクワからサンクトペテルブルグへエンブラエル・レガシー600で向かうのだが、その途中で飛行機が墜落、乗っていた10名が死亡したとされている。
アフリカのクーデターには植民地支配への人びとの怒りがあるだろうが、アメリカがフランスをアフリカから追い出そうとしていると考える人もいる。米英支配層はドイツやフランスを潰そうとしているわけで、可能性はあるだろう。
本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、近代ヨーロッパは略奪の上に築かれている。「十字軍」の実態は強盗団であり、財宝だけでなく知識を盗み出した。その略奪がなければ、14から15世紀のルネサンスは実現しなかっただろう。
15世紀から17世紀にかけての「大航海」も実態は略奪だった。スペインやポルトガルはそのときにアメリカ大陸を侵略、莫大な量の貴金属を盗み、先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山だ。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。16世紀の後半にスペインはフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始めた。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021)
そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイギリス。エリザベス1世の時代にイギリス王室が雇った海賊は財宝を略奪しただけでなく、人もさらっていた。ジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーといった海賊にはナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020)
北アメリカでも先住民が虐殺された。その後、植民地のヨーロッパ人とイギリスが対立、1775年にはイギリス軍と植民地軍が軍事衝突し、植民地側は76年に独立を宣言した。
その宣言には「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と謳われているが、先住民は人間として扱われていない。勿論、奴隷も人間として扱われていない。アメリカの独立とはその程度の代物にすぎない。
イギリスを中心にヨーロッパでは19世紀に資本主義が広まるが、その矛盾を解消するためには他国を侵略し、略奪する必要があった。それが帝国主義だ。イギリスはターゲット国同士を戦わせ、戦力不足を傭兵でカバーしてきた。明治維新の背後でイギリスが暗躍していた理由もそこにある。
第2次世界大戦後、アメリカはターゲット国の軍人を利用したクーデターで略奪システムを築き、1960年代からは傭兵を現地採用している。例えばベトナム戦争では山岳の少数民族が使われ、中東ではムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)で傭兵システムの「アル・カイダ」が作られた。
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