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多角化図る イラン外交/出川展恒・nhk
2023年06月12日 (月)
出川 展恒 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/484525.html
イランが、国交を断絶していたサウジアラビアと関係を正常化するなど、欧米以外の国々との関係強化に力を入れています。その狙いについて、中東情勢担当の出川解説委員です。
Q1:
イランの外交が世界から注目されているのですね。
A1:
はい。イランは、サウジアラビアと7年前に国交を断絶し、周辺の国々も巻き込んで、激しく対立してきましたが、今年3月、中国の仲介で、国交を回復することで合意し、先週(6日)、サウジアラビアにあるイラン大使館が業務を再開しました。これにともない、アラブ首長国連邦やバーレーンとの関係も改善したほか、1979年のイスラム革命後に国交を断絶したエジプトとも、関係正常化に向け、協議を進めています。加えて近年、ロシアと中国との関係を強化しており、両国が主導する「上海協力機構」に、来月正式に加盟する見通しです。
Q2:
そうしたイランの狙いは何でしょうか。
A2:
外交を多角化し、国際的な孤立から脱却する戦略と見られます。イランは今、ロシアに供与した無人機が、ウクライナへの攻撃に使用されていることや、国内の反政府デモへの厳しい弾圧のため、アメリカやヨーロッパ諸国との関係が悪化しています。「イラン核合意」を立て直すための交渉も行き詰まり、経済制裁が解除される見通しが立たなくなっています。このため、保守強硬派のライシ政権は、欧米以外の国々との関係を改善または強化することで、孤立から脱し、悪化した経済を立て直そうと考えているようです。
Q3:
イランが期待する成果は得られるでしょうか。
A3:
こうしたライシ政権の外交戦略は、核合意の立て直しを諦めつつあることの裏返しとも受け取れます。しかしながら、中国はともかく、豊富なエネルギー資源があるサウジアラビアやロシアは、イランから原油などを輸入する必要はなく、イランにとって経済的なメリットは限られます。
他方、安全保障面では、敵対するイスラエルとアメリカが、サウジアラビアなどと連携し、イランを封じ込めようとしてきた動きに一定の歯止めをかけることも可能だと思います。イランの外交攻勢、今後どう展開してゆくか、目が離せません。
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