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「ドイツがアメリカから買っている天然ガスの値段はロシアの4倍」「日本はこのままではウクライナと同じ立場に」…戦争が終わらない「納得の理由」と私たちが見つめるべき現実/現代ビジネス
週刊現代 の意見 • 昨日 6:00
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%8C%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%8B%E3%82%89%E8%B2%B7%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%A4%A9%E7%84%B6%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%80%A4%E6%AE%B5%E3%81%AF%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE4%E5%80%8D-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AF%E3%81%93%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%81%A8%E5%90%8C%E3%81%98%E7%AB%8B%E5%A0%B4%E3%81%AB-%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%8C%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84-%E7%B4%8D%E5%BE%97%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1-%E3%81%A8%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%8C%E8%A6%8B%E3%81%A4%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E7%8F%BE%E5%AE%9F/ar-AA1cpIq1?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=60a3c64468a446b68af8d10497cca098&ei=28
数十年後に2023年を振り返ったとき、今回の「戦争」は歴史家からどのように評価されるだろうか。そしてこれから21世紀の世界史はどうなっていくのか。ロシアの ”プロ” 佐藤優氏が解説する―。
3つめの記事『日本のウクライナへの援助は「高速道路1kmの建設費」にも満たない額だった…戦争が終わらない「意外な理由」《佐藤優がひも解くウクライナ戦争の真相》』より続く。
ビジネスとしての戦争か
2024年の大統領選挙で、トランプかデサンティスが当選すれば、停戦交渉が一気に前に進むかもしれません。
停戦を前に進めるもう一つの可能性はヨーロッパです。対露経済制裁によって、ドイツはロシアから天然ガスを輸入できなくなりました。代わりに以前の4倍もの値段で、アメリカからガスを買わされています。
2022年9月には、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」が破壊されています。破壊工作に関与したのがウクライナの親米派勢力とアメリカなのか。はたまたロシアなのか。いずれにせよ、ドイツは今後パイプラインを通じてロシアからガスを送ってもらうことができなくなってしまいました。
ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国がエネルギー高で参ってしまい、あちこちで政権交代が起きて内政が大混乱に陥る。こういうドミノ倒しのような事態が起きれば、2024年秋ごろまでに戦闘が全部治まっているかもしれません。
対露経済制裁が続く限り、アメリカは法外な値段の天然ガスをヨーロッパ諸国に買わせ続けることができる。そしてウクライナに兵器をどんどん供与すれば、アメリカの軍産複合体は潤う。
アメリカの参戦はありえませんから、アメリカ人の血は一人も流れない。戦費の未払い伝票は、ヨーロッパ諸国と日本に回ってくるのでしょう。アメリカはビジネスとしての戦争を、エゲツないまでに継続しているのです。
台湾有事で日本はいかなる役割を果たすか
ウクライナ侵攻以降、メディア報道で台湾有事の可能性が頻繁に取り沙汰されています。しかし、「中国の指導部が軍事によって台湾統一を強行する」という根拠はどこにあるのでしょうか。論理的根拠が欠けた状態で、明日にでも台湾有事が起きるかの如き煽動は慎むべきです。
中国が武力よりも経済成長を優先させ、中国との統一機運を台湾内部で醸成するシナリオも検討するべきでしょう。あたかも柿の実が熟して落ちるのを待つかのように、20年がかりで台湾を併合するシナリオです。
もちろんそのシナリオとは別に、近未来に有事が起きる可能性もシミュレーションしておかなければなりません。ロシア政府系のテレビ討論番組「グレート・ゲーム」(2023年5月22日放映)で、コンスタンチン・シスコフという軍事評論家は次のようにシミュレーションしていました。
「日本が中国と戦うのです。ウクライナの役割を日本にやらせる。あるいは台湾がウクライナの役割で、日本はポーランドの役割かもしれない。台湾人と中国人とを戦わせて、日本はそれを側面支援する。場合によっては日本も義勇兵を送る。しかしアメリカは人を送らない」(訳:佐藤優)
来年11月の大統領選挙でトランプが再選されれば、「アメリカ・ファースト」のトランプは「東アジアから米軍を引き揚げる」と言い出す可能性があります。そうなれば台湾有事以前の問題として、日本が中国とロシアの草刈り場になりかねません。こうした最悪のシナリオを含め、複眼的視点で台湾有事について検討するべきです。
この戦争を将来の歴史家はどう評価するか
ゼレンスキー政権の基盤は、決して盤石ではありません。5月16日には最高裁長官が拘束されました。ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は長らく表に姿を見せておらず、重篤な状態だという説もあります。
戦前の中国のようにウクライナ軍が軍閥化し、ゼレンスキーに当事者能力がなくなれば、軍をまともに統率できません。武器の管理ができず、装備品の横流しも始まるはずです。そのような状態を放置しておけばリビアのように泥沼化し、ウクライナという国がなくなってしまいかねません。
ロシアは勝利する可能性があるが、ウクライナが勝利する可能性はない。今必要なことは、兎にも角にも即時停戦です。これ以上両国の兵士と無辜の民の血を流させないため、とりあえず武器を置いて一時休戦するほか道はありません。
タイミングが来たときに皆が即時停戦論に飛びつけるよう、今から主張しているのです。
即時停戦と言うと誤解されるのは「ロシアの立場を認めるのか」という意見。そうではないんです。今のところは、とりあえず武器を置く。
国境線が確定するのは、まずは武器を置いてからの話です。激しい戦争の記憶が少し薄れるぐらい時間が経った時点で、国連とOSCE(欧州安全保障協力機構)が現地に入り、クリミア半島を含めロシアが占領した地域で住民投票を実施する。国際機関の監視のもとで実施した住民投票の結果によって、ロシアかウクライナいずれかの帰属を決めればいいと思います。
私たちがするべきこととは
言うまでもないことですが、ロシアがやっていることは間違っています。独立国家であるウクライナにいきなり軍事侵攻を仕掛けるなど、どんな理由があっても既存の国際法では認められません。
そのうえで、ロシアにはロシアの論理がある。プーチンの演説を丹念に読み解く作業を通じて、読者の皆さんには「プーチンの内在的論理」に耳を澄ませてほしいのです。
私たちは「ウクライナ必勝」と叫ぶ必要はないし、プーチンを悪魔化して憎むのも良くない。両国で暮らす一人ひとりの人間に思いを致し、一刻も早く戦争をやめさせなければなりません。
10年後か20年後か、あるいは30年後か100年後か、プーチンが始めた戦争はいつか必ず終わりの日が来ます。プーチンの戦争は、歴史家からどのように評価されるのでしょう。
東西冷戦が終わりかけていた'89年、フランシス・フクヤマは「歴史の終焉」という論文を発表しました。「自由民主主義、市場経済という単一の原理が社会を席巻する」という発想です。
21世紀の世界史は「歴史の終焉」には向かわず、多極化と棲み分けの時代に突入し、各国が独自の道を進みつつあります。歴史家は「プーチンはその先鞭をつけた」という歴史的評価を下すでしょう。フランシス・フクヤマの予測は大きく外れ、世界は帝国主義が席巻する混迷と混沌の時代に突入したのです。
佐藤優(さとう・まさる) '60年、東京都生まれ。作家・元外務省主任分析官。同志社大学神学部卒業後、外務省に入省。ロシア大使館、国際情報分析第一課などで情報活動に従事し、「外務省のラスプーチン」の異名をとる。2002年に背任容疑で逮捕。『自壊する帝国』など著書多数
「週刊現代」2023年6月17日号より
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