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「南海トラフ巨大地震注意」の中途半端 宮崎震度6弱で初発表も…“出さないよりマシ”なレベル
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/358901
2024/08/09 日刊ゲンダイ
記者会見する南海トラフ地震の評価検討会の平田直会長(C)共同通信社
能登半島地震では初動の遅れが問題に(C)日刊ゲンダイ
巨大地震の前触れなのか。
8日発生した日向灘を震源とする地震は、宮崎県日南市で震度6弱の揺れを観測。地震の規模(マグニチュード)は7.1と推定されている。
南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生したことを受け、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表。地震発生直後に専門家による検討会を開催し、今回の地震が南海トラフ地震に関連性があるとする「巨大地震注意」を出した。
臨時情報の発表は2019年の運用開始以来、初めて。想定震源域内のプレート境界でマグニチュード8.0の地震が発生した場合に出される「巨大地震警戒」には至らなかったものの、気象庁は巨大地震が発生する可能性が「平常時よりも相対的に高まっている」として、今後1週間の「注意」を呼びかけた。
検討会後に開かれた臨時会見で、同会の平田直会長は巨大地震が発生する確率について「数倍高くなっている」と説明。「地震学的には『数倍高くなった』ということは極めて高い確率です」と指摘しつつ、一方で「それでも数百回に1回ぐらいのできごと」と冷静な対応を求めた。もう、何が何だかである。
岸田政権の防災への「答え」
口先だけの防災・減災(C)日刊ゲンダイ
「巨大地震注意」は、「日頃からの地震への備えを再確認してください」(平田会長)ということに尽きる。地震発生直後から民放各社は特番に切り替え、初の「臨時情報」の発表に固唾をのんでいたが、何のことはない、ただの注意喚起に過ぎなかった。
せいぜい警戒感を強めるキッカケにはなるが、それ以上でも以下でもない。「巨大地震注意」について、気象庁の担当者は会見で「防災対策を個人レベルでも、社会レベルでも見直す契機にして欲しい」と訴えていた。まあ「出さないよりマシ」なレベルだ。
「これが防災・減災を主要政策に掲げる岸田政権の『答え』です。いかに無策か。『危ない』と注意喚起するだけでは、住民も困惑するだけです。実は政府も南海トラフにどう対処していいか、分かっていないのではないか。岸田政権は有事対応をしきりに強調しますが、自然災害だって有事です。軍事的な文脈だけを有事だと思っているのでしょうか。軍事強化に偏重するより、もっと防災にカネと労力をかけるべきです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
アリバイづくりの注意喚起が、地震大国の防災とはお粗末にも程がある。
◇ ◇ ◇
タレントのラサール石井さんが、能登半島地震の復興が遅々として進まないのは政府の“棄民政策”がゆえだと憤っている。●関連記事【もっと読む】は必読だ。
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