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2023年12月6日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/294191
<連載 医療の値段〜第2部 診療報酬を巡る攻防>@
「『おまえたちは休日返上で働いて、その分、もうけたからいいじゃないか』と、そういったことを言わんばかりの資料が掲載されたことは極めて残念です」
11月2日、東京・本駒込の日本医師会(日医)。会長の松本吉郎は急きょ開いた会見で、けんか腰な物言いで怒りをぶちまけた。松本が目の敵にした資料は、前日に行われた財務省の財政制度等審議会(財政審)の分科会に提出された「機動的調査」の結果だった。
財政審は国の予算・決算の重要テーマを審議する。学者や企業経営者らから選ばれた分科会の委員34人が来年度予算編成に向けた提言を議論していた。
◆診療所の22年度平均収益は2000万円増
財務省が調査したのは医療法人の直近3年分の決算資料。約1万8200の無床診療所の2022年度の平均収益は1億8800万円と20年度から2000万円増加。経常利益率は中小企業の3.4%を大きく上回る8.8%だった。利益剰余金(内部留保)も平均1億2400万円と、わずか2年間で1900万円増えていた。
治療や入院など医療行為の値段である診療報酬は2年に1度改定される。医療費の総額を左右する24年度診療報酬改定率の月内決定が迫り、日医と財務省の対立が例年になく激化する。
委員からは「診療所の高い収益率を踏まえれば、診療所の報酬単価を大きく下げ(診療報酬全体を)マイナス改定とすべきだ」という意見が出た。会見した財政制度分科会会長代理の増田寛也(日本郵政社長)は「全体の傾向としてそういう認識だった」と述べた。
開業医が中心の日医。松本は会見で「診療所がもうかっているという印象を与える恣意(しい)的なもの」と批判。執行部は政府与党に働きかけて巻き返しを強める。
◆「現役世代にこれ以上の負担を強いられない」
10月25日、東京・丸の内で開かれた「健康保険組合全国大会」。会場を埋め尽くした約3000人を前に、健康保険組合連合会会長の宮永俊一(三菱重工業会長)は「現役世代にこれ以上の負担を強いることはできない」と力説した。
企業の健康保険組合は全国に1383あり、従業員と家族ら2824万人が加入する。被保険者1人当たりの年間保険料(原則労使で折半)は22年度決算見込みで、51万1700円と前年度から1万2000円増加。09年度から毎年平均1万円のペースで上がり続ける。
◆保険料率は過去最高、月給や賞与の1割近くに
平均保険料率は9.26%と過去最高に。ざっと月給や賞与の1割近くが天引きされている。財政審は11月20日、「過度な利益が生じている診療所の報酬単価を引き下げてマイナス改定とし、国民負担を軽減すべきだ」と建議をまとめた。会見で増田はこう述べた。
「診療所の収益を守るのか、勤労者の手取りを守るのかといった、国民的な議論をぜひお願いしたい」
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診療所 医療法で診療所(クリニック)は19人以下の患者を入院させる施設がある医療機関を指す。20人以上は病院。今年5月末時点で、一般診療所は全国に10万5213施設あり、95%が無床診療所。歯科診療所は6万7281ある。
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<連載 医療の値段〜第2部 診療報酬を巡る攻防>
「医療の値段」を決める診療報酬改定。8回連続(16年)でプラス改定が続くが、報酬アップは国民の負担増につながる。票とカネによる政治力を排した公正な議論は行われるのか。攻防の現場を追う。=文中敬称略(杉谷剛が担当します)
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