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深刻な都市部の病床不足…コロナとインフルエンザの流行が急拡大 どうする、どうなる「日本の医」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/330622
2023/10/16 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
コロナ迷走の本質は政府の指揮命令権限が弱いことではない(C)共同通信社
コロナとインフルエンザの流行が拡大している。9月20日、政府は生後6カ月以上を対象に変異株対応のコロナワクチンの追加接種を始めた。インフルエンザワクチンと併せて接種をお勧めしたい。
コロナ禍は、我が国の医療体制の弱点をさらけ出した。コロナ対応を反省し、9月1日、政府は感染症対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」を立ち上げた。有事に迅速に対応できるように、官邸による指示権限を強化し、対策の企画立案や調整を一元的に担えるようにする。
私は、このような組織を立ち上げても問題は解決しないと考えている。コロナ迷走の本質は政府の指揮命令権限が弱いことではないからだ。
例えば、コロナ入院病床の不足だ。政府は権限を強化し、病院に患者受け入れを強制しようとしている。この議論が通用するのは、多くの病院が空床を抱えているのに、風評被害を恐れ、入院を断っている場合だけだ。もちろん、そのような病院もあるだろう。ところが、現実はそう単純ではない。
コロナ禍で増えた死因は、コロナ肺炎だけではない。老衰や誤嚥性肺炎など通常の死因の方がはるかに多い。コロナ感染を恐れた高齢者は自宅に閉じこもり、体力を落としたためだ。
このような患者の入院を引き受けるのは市中の中小病院だ。ところが、都市部では、このような病院が不足している。
例えば、病床数200床以下の一般病院は東京都文京区には1つ(東都文京病院)、港区には3つ(山王病院、前田病院、古川橋病院)しかない。いずれの区も人口1000人当たりの病床数は0.5床だ。札幌市中央区(4.1床)など地方の中核都市とは比べものにならない。
文京区には東京大学医学部付属病院などの大学病院が4つ、港区には慈恵医大病院や虎の門病院、済生会中央病院などが存在するのに、中小病院が存在しないのは、診療報酬を厚労省が全国一律に統制しているからだ。
診療報酬が抑制されれば、固定費が高い東京の中心部から経営は困難となる。政治力が弱く、医師確保にも難渋する中小病院はとっくに撤退を完了している。
この状況は大阪や横浜も変わらない。大阪市中央区、横浜市中区の人口1000人当たりの病床数は、それぞれ1.1床、1.5床にすぎない。このような地域で病床が逼迫したのはむべなるかなだ。
この問題を解決するには、東京や大阪の中心部で中小病院が経営できるように、診療報酬を増額、あるいは民間資金を流入させるための混合診療の規制を緩和するしかない。この対応の必要性はコロナ対応に限った話ではない。ところが、このような対応をとろうとすれば財務省、厚労省が抵抗するはずだ。岸田政権に期待できるだろうか。
上昌広 医療ガバナンス研究所 理事長
1968年兵庫県生まれ。内科医。東京大学医学部卒。虎の門病院や国立がん研究センター中央病院で臨床研究に従事。2005年から16年まで東京大学医科学研究所で、先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究。16年から現職。
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