http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/540.html
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◆逆からのアプローチ◆
トランプ大統領が2日に発表した「相互関税」(日本に対しては24%等、9日に発動)により、各国市場の株価が大幅急落する等、世界が激震に見舞われた。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250403/k10014768241000.html
一部からは、発表された「相互関税率」は、次の単純で乱暴な算式で弾き出されたものなのではないかと疑われているが、恐らくその通りなのだろう。(最後に0.5を掛けるのはトランプ政権の「温情」との事だ)
各相互関税率 ≒ (その国の対米貿易黒字額 / 対米総輸出額) * 0.5
ここから推察されるのは、トランプが貿易収支について、「トータルでの結果バランス(均衡)」を目指しているという事である。
経済やその他国民生活、各種競争に於ける「結果平等」はトランプ自身とトランプ支持者がマルクス主義として忌み嫌う最たるものだが、こと貿易収支に関しては、それと相反して結果の均衡を求めるのが正しいという主張となる。不均衡があるのは諸々の貿易障壁があるからで、それは今回の「相互関税率」を梃子に解消されるべきで、然もなくばこの「相互関税率」を甘受するか、為替レートの調整によってバランスされるべしという事なのだろう。
これまで、1929年の世界恐慌 に対処するため各国がブロック経済・保護主義に走った事が第二次世界大戦を引き起こしたとし、関税を含め輸入障壁を縮小させて行き自由貿易を促進する方向が世界正義に適うとされてきた。
トランプはこれを言わば逆転させ結果の方からアプローチし、よい結果が出ないのは即ち輸入障壁があり、それは「相互関税」として数値に置き換えられるとした。これが現在世界中から非難され国内のトランプ支持者からも懸念が示されているが、善し悪しは別として逆転の発想であり、もしトランプが本気でこれを続けるなら「パラダイム変換」と言えるだろう。
◆今後の展開◆
今週、このトランプ関税ショックを消化して株式相場が回復してくるのか、拒否反応を示しもう一段下落するのかはどちらもあるだろう。筆者は今週か来週以降かは別として、「パラダイム変換」を認識してある程度戻すと見る。
中長期的には、先に発表された自動車追加関税によっても、米国車が売れるようになるとはあまり思えない。当面、日本車メーカーは米国工場をフル回転させ生産を国内からシフトさせて凌ぐだろう。工場の新設は時間が掛かるため、米国車メーカーのラインで日本車が生産されるパターン(イーロン・マスクとトヨタのコラボも含め)も出て来るだろう。トランプとしては、先の大統領選で民主党支持からトランプ支持へと舵を切った全米自動車労組(UAW)への顔が立ち、中間選挙へ向けて足場を固められる。
http://blog.livedoor.jp/ksato123/archives/55150859.html
中国は、米国向け製品の輸出価格を値下げして対応するので、国内経済と雇用には更なる打撃となる。
トランプは、貿易収支でのものに加え、並行して実施している日本やNATO等の同盟各国への防衛費負担要求をリンクさせ、拡大した「トータル結果均衡」も有りとするのかも知れない。元々トランプが今回の相互関税を仕掛けるのも防衛費負担を要求するのも、米国が各国の経済と安全保障を支えきれなくなっているという事に起因する。そしてこれらを実施する事は即ち世界覇権から降りるという事である。否、正確に言えば単独での世界覇権を一段階降りるという事だ。
単に覇権を降りるだけなら、中国がロシアを含めた拡大BRICSで取って代わる。それを防ぐため、今回の「相互関税」で中国経済に打撃を与え、一方で明から様な諸々のプーチン愛の言動で中露疑似同盟間に楔を打ち込み、米露実質同盟を基軸に日本・東南アジア諸国・インド・北朝鮮を含むコリアで拡大中国包囲網を構築し盟主に収まり、孫子の兵法よろしく、戦わずして敵(中国)の兵を屈し、太平洋・ユーラシアに新秩序、新バランスを作ろうとしている。そう考えると諸々のパズルのピースは合う。トランプは本物のマッドマンでは多分ないと考える筆者の眼にはそう映る。
さて、トランプの目論見(と筆者が考えているもの)は、成就するのか、逆に今回の「相互関税」機に世界経済はスタグフレーションに陥って、主役不在の中で国際秩序は乱れ進んでは世界大戦へ導かれるのか、世界の政治家、識者、マスメディアの論調を見ると圧倒的に後者の方向の見方が多い。
「未来語り」「予想」には、語る者の希望、あるべき論、好悪、諸々の一応の客観的な観測等の要素が入り乱れて投影されている。筆者も勿論その例外に漏れない。またそれぞれの要素は地続きである。しかし何かを語る者は、己の心を内省しどの要素を何割方の塩梅の下での考えかを常に意識するなら、未来語りの確度は高まる。
何れにしても、世界が大変革期を迎えている点では異論は少ないだろう。
SSRI 佐藤戦略総研 http://blog.livedoor.jp/ksato123/
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- (加筆修正稿)トランプ関税は「トータル結果バランス」へのパラダイム転換(SSRI 佐藤戦略総研) 佐藤鴻全 2025/4/09 13:04:34
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