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敢えて言う USスチール買収は断念すべきだ 二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/365910
2025/01/07 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
USスチールは、米国の華やかなりしころの「アメリカン・ドリーム」の象徴だ(C)AP=共同
日本製鉄によるUSスチール買収計画を「禁ずる」と、バイデン大統領が正式に表明した。認めれば米国の国家安全保障に重大なリスクが生じると判断された、という。
企業同士では合意されていた計画だ。日鉄側は米政府への提訴も辞さない構えとされる。時間をかけて練り上げた成長戦略がツルの一声で阻止されるのであれば、当然の反応ではあるだろう。
関係者らの憤りはいかばかりか。だが申し訳ないけれど、筆者はこのまま買収計画が流れてほしいと考えている。
報道などを総合すると、バイデン声明の背景には全米鉄鋼労働組合(USW)はもとより、国内世論の根強い反対があった。
かのA・カーネギーが1864年にペンシルベニア州ピッツバーグで創業した小さな圧延工場を前身とし、20世紀初頭に金融王モルガンの有するフェデラル製鋼会社との大合同で形成されたのがUSスチールだ。同社は栄光に満ちた近現代米国史、あるいはアメリカンドリームの表象なのである。
苦境にあるからといって、彼らから見れば属国の名称を冠した企業に乗っ取られるなどというストーリーが、受け入れられるはずもない。つまり今回の声明は、日鉄・USスチール両社の合理的な経営判断より、感情論が優先された結果ということだ。
感情の問題を甘く見るとしっぺ返しを食う。バブル期に三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンターを、松下電器産業(現パナソニック)がハリウッドのユニバーサル・ピクチャーズを買収したが、いずれも失敗に終わった。米国の象徴的存在に手を出した報復が、この間における日本の“失われた30年”だった、との見方も否定できないのは周知の通り。
他方、バイデンの言う「国家安全保障」の文脈でも、軍産複合体の一翼を担う素材メーカーを保有した日本企業が、軍需産業分野での日米一体化を従来以上に加速・確立させる役割を帯びていくのは必然だ。
自民党の木原誠二選対委員長(元内閣官房副長官)は声明を受けて「非常に残念。経済安全保障の観点を考えれば買収は必要」との旨を語ったが、この発言の意味は、表向きの印象よりずっと重いと思われる。
といって米日の絶対的な主従関係が変わるわけでもない。米国人の誇りをむやみに傷つける行為の代償は、彼らの戦争への日本のより深いコミットメントという形で現れる危険を伴う。だからあえて書く。USスチール買収は断念すべきだ。
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
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