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やがて労働者がチーズを買えなくなる国、日本
https://tanakaryusaku.jp/2024/05/00030668
2024年5月10日 22:55 田中龍作ジャーナル
労働者が食べてゆけない社会主義国。最大のタブーを取材していた米国のクルーは治安当局に拘束された。=2019年、カラカス市内 撮影:田中龍作=
「賃上げを実現します」。岸田首相の豪語もむなしく、実質賃金が24ヵ月連続でマイナスとなった。
これは日本政府がインフレをコントロールできないことを示している。統治能力に疑問符がつく状態だ。
労働者の最低賃金でチーズが買えなくなっていたベネズエラを思い出す。2019年に取材した。
ほんの一例だが、スーパーに並ぶ食料の値段を紹介しよう。
・じゃがいも2ポンド(906グラム強)=1ドル
・バナナ2ポンド=1ドル20セント
・ビーフ2ポンド=2ドル88セント
・チキン2ポンド=1ドル28セント
・チーズ(パルメザン)2ポンド=20ドル62セント
ジャガイモが1ドルだったら大したことないじゃないか、なんて思ったら大間違い。ベネズエラの最低賃金は月6ドル(IMFベース・2019年当時)に過ぎないのだ。
パルメザンチーズ2ポンド(906グラム強)は、労働者の最低賃金の3ヵ月分にあたる。
スーパーに食料品はふんだんにあるが、買い物ができるのは富裕層だけである。
高級チーズは低所得者が給料1ヵ月分をつぎ込んでも買えない。=2019年、カラカス市内の市営マーケット 撮影:田中龍作=
当時、ベネズエラでは人口の1割超にあたる300万人が脱出していた。1年に64万もの人口(総務省人口統計・2024年)が消えて行く日本との違いは、人口減少のペースの差くらいだ。
行政組織が崩壊し、技術者も不足しているため水道が維持できない。断水のため病院では手術もできない状態だった。
消滅自治体ではないが、日本とて人口減少で自治体を維持できなくなれば、水道も使えなくなる。
社会主義国でありながら労働者が残飯あさりをするベネズエラ。1990年代は、オイルマネーで南米一の豊かな国となり「サウジ・ベネズエラ」と異名をとった。
もはや先進国とは言えず、正規社員が炊き出しに並ぶ日本。ベネズエラは明日の日本であるように思えてならない。
人々は山肌から染み出てくる水を汲んで飲み水にしていた。=2019年、カラカス 撮影:田中龍作=
〜終わり〜
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