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訪日客の消費額が“コロナ前”超え…「安いニッポン」で異常なインバウンド価格爆騰のその先
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/330869
2023/10/21 日刊ゲンダイ
外国人観光客に大人気の北海道・ニセコ(C)共同通信社
「安すぎる国」を大満喫だ。観光庁が7〜9月の訪日外国人(インバウンド)の旅行消費額が1兆3904億円と発表。2019年同期より17.7%増え、ついにコロナ前の水準を上回った。1人当たりの平均消費額も21万810円と、19年同期比29.4%増だった。
旺盛な消費意欲を駆り立てているのが、円安だ。国内商品やサービスの割安感が強まり、富裕層の消費は活発だ。特に「安いニッポン」を求め、欧州からの訪日客の滞在日数は長期化し、10日から2週間の宿泊はザラだ。
おかげでインバウンド需要を見込み、国内のホテル・旅館の宿泊料金は軒並み高騰。都内の高価格帯ホテルの平均客室単価はコロナ前より3割アップし、パレスホテル東京は海外の高級ホテルの目安とされる10万円を超えた。ザ・リッツ・カールトン東京、ヒルトン東京など外資系ホテルの1人当たりの宿泊料金は平日でも7万〜15万円程度に達している。
それでも円安が進んだ結果、訪日客は割高に感じないらしく、いずれのホテルもインバウンドを主要ターゲットに据え、物価高に苦しむ日本人の懐事情は気にしていない様子。ビジネスホテルすら1泊1万5000〜3万円と強気の価格設定で、最近は「高すぎて泊まれない」との声をよく耳にする。東京への出張族は泣く泣く神奈川、埼玉、千葉に宿を求めざるを得ないようだ。
「外食もインバウンドに人気の和食店は料金が跳ね上がり、最近は海外サイトの『世界の伝統料理ランキング』で、なぜか1位に輝いた日本のカレーが大人気。昨年初めて『カレーハウス CoCo壱番屋』の客単価が1000円を超えましたが、都内の店に入ればインバウンド客でいっぱいです」(グルメライター)
都市と観光地から定着?
北海道の国際的スノーリゾート・ニセコ地域では、インバウンド客の回復に人手確保が追いつかず、今季はホテルの清掃スタッフの時給が2000円程度となる見通しだ。
「インバウンド増加で地価が急騰し、家賃は東京並みとなり郊外から車で1時間かけて通うしかない。街一帯が外国人観光客であふれ、レストランでは1杯3000円もする『タラバガニラーメン』をおいしそうに食べています」(現地の宿泊施設従業員)
異常な「インバウンド価格」が都市部や観光地から全国に広がれば、低賃金の庶民は暮らしていけなくなる。
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