http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/237.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年10月4日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
補正予算を政局の玩具にしている間に株価と円相場は下落…(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
創業者ジャニー喜多川氏(2019年死去)の半世紀以上にも及ぶ「性加害」「児童虐待」問題をめぐり、2日、ジャニーズ事務所が開いた2度目の釈明会見は酷いものだった。
現時点で事務所に性被害を届け出た人数は500人近くに上り、まだまだ増える可能性がある。世界でも類を見ない性犯罪事件と断じていいにもかかわらず、なぜか“加害者側”である企業が「1社1問」という勝手なルールを作って会見を仕切り、時間を区切り、記者の質問に対して曖昧な説明を繰り返す。さながら安倍政権から続く日本政治の“カリカチュア”のような光景を見せつけられたからだ。
本来は世の中の見本となるべき「政治」の堕落は、あらゆる業界に影響を及ぼし、侵食し、そこに生きる罪のない人に被害を生じさせ、拡大させる。会見を見て、そう感じた国民は少なくなかったはず。そして、それは今、いよいよ日本経済全体を覆い始めている。岸田無責任内閣が補正予算を政局の玩具にしている間にどんどん、株価や円相場が下落しているからだ。3日の東京株式市場は、幅広い業種で売りが優勢となり、日経平均株価は一時、下げ幅が前日比600円を突破。終値は3万1237円94銭となり、約4カ月ぶりの安値に。海外の為替市場で円相場も、1ドル=150円台に下落。昨年10月下旬以来、11カ月ぶりの安値水準を更新した。
政府の無策が庶民生活を苦しめている
2日に米国で発表された製造業の景況感を示す指標が予想を上回り、同国で年内に追加利上げが行われるとの観測が強まって金利が上昇。米長期金利が16年ぶりの高水準となる中、日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いが優勢となったのが円安進行の理由なのだが、同日の東京市場は、9月28日以来となる円安、株安、債券安のトリプル安の展開となった。
鈴木財務相は3日の閣議後会見で、急激な円安進行に歯止めをかけるための政府の為替介入について問われ、「引き続いて高い緊張感を持ち、万全の対応をしていく」と話していたが、米国の顔色をうかがいながら本当に為替介入できるのか。3日は1ドル=150円台をつけた直後に3円近く値を戻す動きもみられたため、為替介入したとの観測も浮上したが、一時的に円安進行を食い止めたところで、再び下がり始めれば、もはや“打つ手なし”。昨年9月に円相場が145円台後半となった時点で実施した24年ぶりの為替介入の「効果」が1年しか持たなかったことを考えると、さらなる介入にどこまで実効性があるかは分からない。
全規模全産業の23年度想定為替レートは1ドル=135円75銭。大企業を中心とする輸出企業にとって円安進行は追い風になるだろうが、中小零細企業にとっては原材料高で収益を圧迫されるのは間違いない。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)はこう言う。
「マーケットは、植田日銀は金融緩和をやめず、何もしない。従って日米金利差はまだ開く、とみている。さらに言えば、大企業などの輸出企業は円安になるほど儲かるから静観している。為替相場に対して政府に本気で取り組む姿勢がみられないのも、こうした大企業への配慮があるからではないか。輸出企業が円転(外貨資金を円資金に換えて運用すること)すれば円相場への影響も出てくるでしょうが、それも見られない。誰も何ら手を打っていないのだから、円安が進むのも当然。結局、政府の無策が庶民生活を苦しめているわけです」
今の政府や日銀では、為替相場も物価もコントロールできない
注目は「円安・株高」という、ここ数年続いてきた図式が崩れ、「円安・株安」になっていることだ。日銀が2日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス9となり、前回6月調査から4ポイント改善した一方、中小企業は、非製造業がプラス12と4年6カ月ぶりの高水準だった。製造業は前回から横ばいのマイナス5となり、大企業に比べて価格転嫁が進んでいないことが浮き彫りになったとはいえ、景況感は改善というデータが出ながら、株安というのは深刻だろう。
前出の相澤幸悦氏は「投資家は、今の円安進行で大儲けしている大企業の業績ではなく、日本経済を支えている中小零細企業にとってマイナスのインパクトが大きいとみているのではないか。日本経済に対する先行き不安が株価に表れている可能性は否定できない」と言っていたが、これでは年内に株価4万円どころか、3万円割れも現実味を帯びてくるのではないか。
「円安・株安」のダブルパンチの背景には、広がる日米の金利差があるのは間違いないが、最大の理由は何といっても岸田政権の無策だ。
金融緩和で市場をじゃぶじゃぶにすれば企業収益は上がり、庶民生活も向上する──という触れ込みだったはずの「アベノミクス」は円安と物価高を招いただけ。庶民生活にとって副作用しかないという化けの皮が剥がれた今、一刻も早く愚策をやめるべきなのに何もしないのだからクラクラする。
庶民の過半数は「余裕がないので投資に回せない」
日本世論調査会がまとめた「暮らしと経済に関する全国郵送世論調査」でも、岸田の「アベノミクス」路線の継続に対して「反対」「どちらかといえば反対」は計66%にも上るのだ。
同調査で、2021年10月の岸田政権発足前と比べて家計の状況がどうなったか──については「やや」を含め「苦しくなった」は計57%。幅広い分野で値上げが進んでいることが「非常に打撃になっている」「ある程度打撃になっている」は計93%にも達していた。
岸田が掲げる賃上げに関しては、自分や周りの人の収入が増えている実感の有無について「どちらかといえば」を含め「ない」が計88%で、今後も全体として賃上げが続くかについては「続かないと思う」が71%を占めていた。
つまり、庶民の多くはさっさとアベノミクスをやめて物価高対策に取り組んでほしいと強く願っているし、賃上げも続かないと実感している。それなのに危機感ゼロの岸田は何をトチ狂ったのか「経済対策の柱」などと言い出すからワケが分からない。一体どの口が言っているのか。庶民の気持ちなどてんで理解しちゃいないのだろう。
そもそも、貯蓄から投資に回す、などという岸田の的外れな方針に対しても、同調査では59%が「余裕がないので投資に回せない」と回答しているのだ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「今の政府や日銀では、為替相場も物価もコントロールできない。マーケットのそうした不信感や不安感が今の円安、株安に表れているのだと思います。しかも経済対策の柱として打ち出された対策は単なるバラマキ。これでは投資家らも期待できるはずがありません」
円安、株安で青息吐息の日本経済は岸田のトンチンカンな愚策でとどめを刺されるのも時間の問題。まさに惨憺たる気分になる。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民136掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民136掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。