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※バブル崩壊後も日本のGDPは成長を続けていたが、自公政権が始まってからGDPは下降に転じ20年以上にわたってGDPは下降を続けている。(上図参照。データ提供:内閣府)
成長しない日本のGDP、停滞の20年で米国は日本の4倍、中国は3倍の規模に
itmedia 2021年04月19日号
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2104/19/news005.html
苦境が目立つ日本経済の中で、中小製造業はどのような役割を果たすのか――。「ファクト」を基に、中小製造業の生きる道を探す本連載。第2回では、GDP推移から見た日本経済の停滞について解説します。
統計データという事実(ファクト)から、中小製造業の生きる道を探っていく本連載ですが、われわれ中小製造業がこの先も生き残っていくために何が必要かを見定めていくために、以下の流れで記事を進めています。
日本経済の現状を知る
その中で起きている変化と課題を把握する
あるべき企業の姿を見定める
今後考えていくべき方向性を共有する
前回は、われわれ労働者の平均給与が実は減少していて、右肩上がりで所得が上がり続ける先進国の中ですっかり置いていかれている事実を共有しました。
日本経済の変調は、労働者の所得だけではありません。さまざまな経済指標でその変調ぶりを確認することができます。そこで、第2回となる今回は、国の経済の指標として最も重視されている「GDP(国内総生産)」を基に、日本経済の現状を掘り下げていきたいと思います。
そもそもGDPとは何か
「GDP」もそうですが、経済用語として出てくる「付加価値」や「生産性」など重要な指標ほど、曖昧な解釈やイメージで捉えられがちです。GDPと、われわれ企業の事業活動と密接に関係のある付加価値や生産性は深い関係があります。
まずは、手始めに「GDP」の定義について確認してみましょう。GDPは、Gross Domestic Productの略で、日本語では「国内総生産」とも呼ばれています。内閣府が公開している「用語解説」によれば、GDP(国内総生産)は「居住者たる生産者による国内生産活動の結果、生み出された付加価値の総額である」と説明されています。
この「付加価値」とは「産出額から中間投入を控除したもの」です。より具体的にいえば、「産出額」とは企業活動でいう「売上高」に当たります。「中間投入」は「仕入れ」に相当します。つまり、付加価値とは、企業活動における粗利とほぼ同じ意味だといえます。別の言い方をすれば、付加価値とは私たちが自分の仕事を通じて加えた金額的な価値となります。そして、国内で生み出された付加価値の合計がGDPということになります。GDPには「金融投資」による配当金や、海外での事業活動による利益などは含みません。
GDPには、生産活動によって生み出された付加価値を合計した「生産面」と、給与所得や営業余剰などの付加価値の分配を合計した「分配面」、消費支出や資本形成などの支出を合計した「支出面」の3つの側面があります。そして、この3つの指標はいずれも同じになる「三面等価の原則」もよく知られていますね。つまり「生産=分配=支出」が成り立つということになります。
ここまで見てきたように、GDPはその国の経済活動を知るための最も基本となる指標といえます。そして、われわれ企業による事業活動の成果そのものでもあるわけです。
日本のGDPは20年以上も停滞
日本の経済統計で、GDPを扱っているのは、内閣府が公表している「国民経済計算」です。まずは、この国民経済計算における、GDPのグラフから見ていくことにしましょう。
図1は、日本のGDP支出面の推移をグラフ化したものです。GDPの統計データは、生産面や分配面もありますが、この支出面のデータが一般的なものとして活用されています。
グラフでは、経済に関する重要なイベントのあった年に赤線を入れています。1990年のバブル崩壊、1997年の消費税増税と金融危機、2008年のリーマンショックです。民間最終消費支出を青色、政府最終消費支出を赤色、総固定資本形成(民間)を緑色、総固定資本形成(公的)をピンク色、財貨・サービスの純輸出をオレンジ色で示しており、GDP支出面はその総和となります。
最終消費支出は、民間(ほとんどが家計支出)や政府による、新規の財貨やサービスへの消費支出を合計したものです。総固定資本形成は、建造物や機械などの固定資産への支出ですね。つまり投資(設備投資)です。純輸出は、輸出から輸入を差し引いた正味の金額で、海外との貿易収支です。まとめると、GDPの支出面は、消費と投資と純輸出から構成されているといえます。
これらを踏まえてあらためて図1を見ると、GDPの合計値は、1997年でピークとなった後、減少および停滞をしており、リーマンショックを底にしてまた上昇傾向になっているという傾向が読み取れます。最近では上昇傾向にあるものの、長期視点で見れば、長い間停滞していることが分かります。1997年のピークを超えたのは、2015年になってからのことで、なんと日本は20年以上もほぼ経済が成長していないということになります。
図1からは、民間最終消費支出(青)がGDPの大部分(約55%)を占めることが分かりますが、この項目も停滞しています。民間最終消費支出は、私たち国民の消費ですが、この20年間で人口もほとんど変わりませんので、1人当たりの消費がほとんど変化していないということがいえます。さらに、総固定資本形成=投資も停滞しています。唯一上昇傾向がある政府最終消費支出も上昇の程度が鈍化しているように見えます。
これらの事実(ファクト)から見ても、日本経済は民間の消費や投資が停滞・減少していて、全体としても「停滞」していることがよく分かるのではないでしょうか。このように書くと、物価変動を加味した「実質値」では成長している、というご指摘をいただくと思いますが、「物価」や「名目値と実質値の違い」については今後取り上げていきたいと考えています。
主要国で経済成長がないのは日本だけ
日本経済の状況を把握するためには、自国のデータだけではなく、国際比較をすることが重要です。日本のように経済が停滞しているのは、他の国々も同じなのでしょうか。OECD(経済協力開発機構)の統計データから、GDPの国際比較を行っていきます。
図2は、OECD各国のGDPの時系列データです。名目値のドル換算値を示しています。また、OECD加盟国だけでなく、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカのいわゆるBRICSも追加しました単位はG$(ギガドル)です。ギガは10の9乗ですね。
さて、グラフを見てみると、まず目につくのが、米国の圧倒的な存在感と、中国の急伸、そして日本の停滞ではないでしょうか。1995年までは、ドル換算値でも日本のGDPは右肩上がりでしたが、その後停滞しています。
その間も米国はずっと成長し続けています。さらに、中国が急伸して日本を抜き去りました。また、日本はドイツなどの他の先進諸国に追い上げられている状況も見て取れるのではないでしょうか。こうして見ると、経済が停滞しているのは、主要国では日本だけのようです。
GDPはその国の経済規模そのものを表しますので、中国は今や世界第2位の経済大国です。日本は第2位から第3位へと転落しているわけですが、このままだとその地位すら危ういように見えます。
日本停滞の間に米国は4倍、中国は3倍の規模に
もう少し分かりやすく、特徴的な年を切り出して、GDPの大きい順に並べたグラフも見てみましょう。図3は、日本のGDPがピークとなった1997年の時のグラフです。
1997年の日本のGDPは4415G$で堂々の第2位です。米国(8578G$)の半分程度の水準があり、第3位のドイツにも2倍程度の差をつけています。
一方、図4は2018年のグラフです(インドだけ2017年のデータとなります)。
2018年の日本のGDPは4955G$で「世界第3位の経済大国」という立場を維持しています。しかし、その相対的な水準は1997年と比べると大きく低下しています。首位米国の約4分の1の水準で、中国と比較しても約3分の1という状況です。4位のドイツとの差も縮まっており約1.3倍という水準となっています。
つまり、1997年と比較して米国との差は大きく広がり、最近抜かされたばかりの中国はすでに日本の3倍の経済規模になっています。また、ドイツをはじめとするその他の国々との差も詰まっています。国内で20年以上も経済が停滞している間に、国際的な存在感は明らかに低下していることが明確に示されているのではないのでしょうか。
その間、国内経済が穏やかで安定していたということはいえるかもしれませんが、世界の各国は右肩上がりで成長しているわけです。全体が急速に成長している世界の中で、「停滞している」ということは相対的に見て「国際的に後退した」ということがいえます。
図5は1980年の各国のGDPを1.0とした場合の、成長率を表したグラフです。1980年の時点に対して、何倍になったかを数値として表現しています。
この40年ほどで、カナダや米国は約7倍、イタリアが約8倍、フランスが約5倍で、低成長のドイツでも4倍近くGDPが増大しています。中国や韓国はもはやこのグラフの枠に収まらない成長率となっています。直近の2020年のデータが反映された国では、コロナ禍の影響で成長率が下がっている様子も確認できますね。
ただ、日本だけ1990年ごろから停滞が続き、2019年で2倍強といった低成長となっています。どうやら日本は、前回紹介した労働者の平均所得だけでなく、そもそもの国全体の経済活動自体が停滞しているようです。
現在、日本は世界第3位のGDPを誇る「経済大国」という立場を維持しています。しかし、経済が停滞し続けていることで、その存在感は年々薄れてきているようです。今後もこの傾向が続くようだと、世界第3位を保ち続けるのも難しいかもしれません。
それでは、そもそも、なぜ日本は経済大国となることができたのでしょうか。
多くの皆さんが気付いていることだと思いますが、日本は1億人以上もの人口を抱えている「人口大国だったから」という点が最も大きな理由です。人口が多ければ、たとえ一人一人の生み出す付加価値が低くても、合計値であるGDPは大きくなります。中国が先進国と位置付けられていなくても、GDP世界第2位の経済大国であるのはそういう要素が大きく影響しています。
ただ、日本は、先進国の中でもより早く大きく人口が減っていくことが確実視されている国です。人口が減る中で今のやり方を続けていれば、経済規模を維持していくことが難しいのは明らかです。その中で、より一層、一人一人の経済的豊かさや、労働者1人当たりの生産性を重視していくことが求められているのです。
次回は1人当たりの豊かさに焦点
さて、今回はGDPの推移をさまざまな角度から取り上げることで、国としての経済規模の推移と課題について紹介してきました。ここまで見てきたように、日本は、バブル崩壊後から長い間、国全体としての経済成長が停滞してしまっているということが分かりました。そして、急速に成長し続ける世界各国の中で「唯一停滞している先進国」という特殊な立場にあることが見えてきました。
それでは、1人当たりの豊かさについては、どのように変化したのでしょうか。GDPは国全体の経済規模を表しますが、人口1人当たりのGDPは国民一人一人の豊かさのレベルを表す指標となるはずです。次回以降で1人当たりの指標について取り上げていきたいと思います。
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