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政府挙げてニッポンを叩き売り…米台韓大手に“便利な下請け”扱いされる日の丸半導体の哀れ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/323213
2023/05/20 日刊ゲンダイ
世界は日本を便利な下請け扱いか(海外大手半導体メーカーの幹部らと面会した岸田首相=中央)/(C)共同通信社
19日開幕のG7広島サミットは、半導体など戦略物資のサプライチェーン(供給網)強化も主要議題。本番を控え、岸田首相は18日、海外の大手半導体メーカーの経営幹部と官邸で面会した。参加したのは台湾のTSMC、韓国のサムスン、米国のIBM、インテル、マイクロンなど7社。世界的な半導体大手の幹部が一堂に集うのは異例だ。
岸田首相は「政府を挙げて対日直接投資の更なる拡大、また半導体産業への支援に取り組んでいきたい」とアピール。参加各社は日本政府の支援を前提に前向きな意向を示した。
面会の場でマイクロンは広島工場での次世代半導体製造に最大5000億円を投じると表明。サムスンも先端分野の研究開発について対日投資を検討していると伝えた。
「海外の半導体メーカーからすれば、日本に製造拠点を置くことは魅力的でしょう。政府支援に加えて、円安のおかげで安価な賃金で優秀な日本人を雇用できるからです。かつて日本の製造業は、人件費が安い中国や東南アジアに製造拠点を移転し、コストダウンを図りました。今、日本は逆の立場になっているのです」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
“日の丸復権”にはほど遠く
非常に優秀な日本人技術者を安く雇えるのだから海外企業はウハウハ(熊本県で建設が進むTSMC工場)/(C)共同通信社
熊本に新工場を建設中のTSMCは製造能力の拡張を検討している。世界的な半導体メーカーが国内に工場を次々と建てれば、雇用が生まれ、経済効果も大きい。しかし、それでは“安いニッポン”から抜け出せない。1980年代、日本は半導体分野で世界をリードした。半導体メーカーの日本進出が増えれば、“日の丸半導体”は復権を果たせるのか。
「あくまで日本は“便利な下請け”との位置づけです。海外メーカーは重要な技術ノウハウや知見は教えてくれません。日本の技術で半導体を国産化するのと、海外メーカーの製造拠点になるのは全く次元が異なる。先進国の製造拠点となってきた東南アジアは技術立国にはなっていません。サプライチェーンにしても、メリットは少ないでしょう。半導体が入手しづらくなった場合、ドライな半導体メーカーが日本の製造拠点から、日本のユーザーに優先的に供給してくれるとは考えにくいからです」(井上学氏)
政府は2022年度補正予算で計上した1.3兆円を活用して海外メーカーの対日投資を支援する。安いニッポンの更なるたたき売りは続きそうだ。
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