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(回答先: 加水や加温(あくまでも合理的な)を行うことよりも、温泉の質をダメにしてしまうもっと深刻な要因がある。それは、「空気」で… 投稿者 中川隆 日時 2024 年 3 月 25 日 15:04:35)
究極の温泉とは
新鮮な温泉に尽きる。源泉湧出直後のものであればどんな泉質であっても、その優劣はつけがたい。
天然の温泉はすべて還元系である
法政大学 工学部物質化学科教授 大河内 正一
当研究室では、これまで水の新たな評価法としてORP(酸化還元電位)法を提案し、この手法を温泉水に適用しました。その結果、温泉は“還元系”で、湧出後、時々刻々生きているが如くダイナミックに変化し、最終的に酸化されて何ら変化しない水溶液となります。この変化を温泉水のエージング(老化)と言い、我々は、このエージング現象をORPで測定できることを初めて明らかにしました。
さらに、入浴により一番影響を受ける我々の皮膚も弱酸性だけでなく、"還元系"で、加齢により酸化されることも明らかにしました。人間は老化に伴い、皮膚も含めて、金属が錆びると同様に酸化し、錆びていきます。一方、酸化と全く逆の還元は、錆びを抑制または元に戻す“酸化および老化抑制効果”を示します。温泉の共通の特徴は、この還元作用を有することにあります。従って、温泉の新たな効能として、新鮮な還元系の温泉に入浴することは、皮膚の酸化および老化抑制効果が期待できる可能性があります。
しかし、温泉施設の約70%近くが、浴槽の温泉水をろ過、殺菌し、何回も使い回し、不足した温泉水のみを浴槽に供給するという循環式を採用しています。殺菌剤としては、その多くが塩素系薬剤を使用しています。さらには、レジオネラ菌による感染問題で、何百年来の"源泉かけ流し"の温泉まで、条例などにより殺菌が義務付けられようとしています。
その代表が、歴史的にも、夏目漱石の『坊ちゃん』でも有名な愛媛県松山市の道後温泉本館です。
道後温泉では、塩素添加前後で温泉成分に変化ないことを強調していますが、我々のORP調査で、塩素添加前後で泉質は還元系より酸化系に変化していることを明らかにしました。このことを、今年9月の温泉科学会で発表し、翌日の毎日新聞に“塩素殺菌すると温泉「逆」効能、お肌ツルツルのはずが……酸化作用でガサガサ、の恐れ”という見出しで掲載されました。少しオーバーかとも感じましたが、温泉の本質を突いていると思いました。
塩素は還元系の温泉とは全く異なる酸化剤です。温泉では、その還元作用を中和し、さらに殺菌レベルの塩素濃度を確保するために、通常の水と比較して、より多くの塩素添加が必要です。中には10倍以上の塩素添加が必要な温泉もあります。このような温泉に入浴することは、塩素殺菌されたプールに入るのと同等となり、プールでは髪が酸化され、脱色されることが知られているように、皮膚を酸化し、老化を促進する可能性を秘めています。
現在、日本全国一律、温泉が総“温水プール”化されようとしていますが、これは、温泉文化の自殺行為にも等しいと考えています。これまで述べてきたことから、ご推察いただけたかと思いますが、当研究室は特に温泉水の質を重要視した“良い温泉”を残す努力をしたいと思っています。
天然の温泉はすべて還元系である
我々が行った道後温泉、有馬温泉の調査の前提は次のとおりです。
「ORP(酸化還元電位)の観点から天然の温泉はすべて還元系であり、それが温泉の本質的特徴である。しかし、塩素殺菌された温泉水は酸化系となり、本来の特質がまったく失われた状態に変化する」
つまり、成分変化の有無、程度に関わらず、塩素の投入により(泉質により投入量は異なるが)温泉に含まれている還元物質が酸化されるため、天然温泉とは呼べない状態に変化する、という 極めて常識的な科学的根拠です。
当然、酸化系となった温泉に入浴すると、人間の皮膚に何らかの影響を及ぼすことは明らかです。なぜなら、人間の皮膚は弱酸性で、還元系であるからです。下図は、「還元系である天然温泉」と「塩素殺菌された水道水」に入浴した時の皮膚に及ぼす影響を比較したものです (資料:「生きている温泉とは何か」くまざさ出版社/2003年)。
■「塩素殺菌された水道水」に入浴すると皮膚は酸化される
3人の被験者(◇:皮膚のORP値)が家庭用浴槽(●:浴槽水のORP値)に5分間入浴した前後の皮膚のORP値の比較です。入浴前の皮膚 ◇は、酸化系の水道水 ● の風呂に入浴したことで、入浴後の皮膚のORP値 ◆ は平衡系に向って上昇(酸化されている)ことが分かります。皮膚に影響が見られない健常者であっても、実は入浴のたびに皮膚が酸化されていることが分かります。本例は家庭浴槽での水道水ですが、不特定多数が入浴する温泉施設では多量の塩素を使用するため、ORPはいっそう酸化系に向ってシフトします。アトピーや皮膚の弱い人に影響を及ぼすことは明らかです。
■「還元系である天然温泉」は皮膚の老化を抑制する
還元系の温泉 ● に入浴すると、入浴前の皮膚 ● は ▼ に変化しました。つまり、入浴前よりも皮膚は還元力を増したことが分かります。3時間後に計測しても、元の状態より還元力を保っていることが判明しました。これこそが、温泉の効果といえるでしょう。
(資料:「生きている温泉とは何か」くまざさ出版社/2003年)
「酸化」と「還元」を科学的にいうと、以下の通りです。
【酸化】
・物質が酸素と結びついた状態
・物質が電子を失った状態
・金属の錆を促進させる作用
【還元】
・物質が酸素を失った状態
・物質が電子を獲得している状態
・金属の錆を抑制、元に戻す作用
このことを人間の皮膚への作用に置き換えると以下の通りです。
【酸化】
・皮膚の酸化(老化)を促進させる作用
【還元】
・皮膚の酸化(老化)を抑制する作用
以上のことから、「温泉は本質的特徴である還元系が保たれていることが重要である」ことがお分かりいただけると思います。
今回、我々は水(温泉)の素性を端的に示すORPの観点から、塩素殺菌の問題を明らかにしました。塩素殺菌 による個々の成分変化は、塩素の投入量や泉質により異なります。しかし、ORPの観点では塩素殺菌された温泉水は明らかに異なる結果を示します。このことから、道後、有馬を含めた塩素殺菌による温泉水変化の結論は以下の通りとなります。
1.温泉本来の還元系という特徴がまったく失われ、酸化系という異質な状態に変化する。よって、酸化系となった温泉は天然温泉とは呼べない。
2.酸化系となったお湯は本来、温泉に期待されていた還元状態(*1)とは異なるため、皮膚に及ぼす影響(*2)も懸念される。
(*1)皮膚の老化を抑制し、肌荒れなどを元に戻す作用。
(*2)皮膚を酸化させ、老化を促進させる。また、個人差や残留塩素濃度により皮膚炎、気管支炎、結膜炎を起こす可能性が医学的(臨床的な見地)に指摘されています。アトピー性の患者(とくに子ども)においては、残留塩素濃度が0.5ppm〜1.0ppmになると影響が強いため、一部の医学会からは「残留塩素濃度を0.5ppm以上にすべきではない」と提言も出されています。
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