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武器弾薬の支援はすでに減少…ウクライナの全面勝利があり得ないこれだけの理由 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/330448
2023/10/12 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会、ウクライナ支援継続について論じ合う代表者たち。今、国際社会の意見は割れてきている(右は、イエレン米財務長官)/(C)ロイター
ウクライナ戦争は極めて特異な戦争である。
戦う場所はウクライナ。戦う兵士はウクライナ兵とロシア兵だが、ウクライナは自国生産の兵器・弾薬で戦っているわけではない。NATO諸国が兵器・弾薬を提供し、戦闘が長期化。そして戦況は均衡が保たれてきた。
もし、米国を中心とするNATO諸国による兵器・弾薬の供給量が減少したらどうなるか。ウクライナは兵器・弾薬が不足し、劣勢に立つ。それが今、明確になった。
米国で下院議長が解任される事態に追い込まれた。ウクライナ支援を巡る対立が大きな要因だ。議長の解任前に「つなぎ予算」が成立したが、この中にはウクライナ支援は含まれていない。
ロイターの世論調査によると、共和党支持者の中で、ウクライナへの軍事支援への支持は、5月には39%あったが、10月35%に減少した。この世論は議員の行動に影響を与える。共和党議員がバイデン大統領が望む規模の支援に合意する可能性はない。従ってウクライナへの軍事支援は減ずる。
さらに欧州のNATO諸国の支援も減少している。明確に動いているのはスロバキアだ。露プラウダ紙は「スロバキアのズザナ・チャプトバ大統領は、ウクライナへの支援を拒否すると約束したフィツォ元首相の社会民主党が議会選挙で勝利したことを理由に、キエフへの新たな軍事援助の提供に反対した」と報じた。
こうして、ウクライナに対する兵器・弾薬の支援が細る見通しの中、日経は「ウクライナに対する兵器・弾薬の支援」がすでに減少しているとの記事を掲載した。
EUの世論調査機関「ユーロバロメーター」によると、ウクライナへの軍事支援に否定的な回答は5〜6月調査では計31%で、ブルガリア、キプロス、ハンガリー、ギリシャ、オーストリア、スロバキアでは否定的な回答が過半数を占めた。すでに6月の欧州諸国の軍事支援は昨年12月と比べて16%減少している。
日本では依然として、ウクライナが特定の村を奪回した、といった報道が流れているが、全体の戦線は決してウクライナが優勢ではない。
武器弾薬の不足は必ず戦場に影響する。ウクライナがロシア軍を全面的に追い払うことはない。その現実を踏まえ、ウクライナ問題にどう対応するかを冷静に考える時が来ている。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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