<■51行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> ダイジェスト《結論から書くと、この間の動きの本質は、プーチン大統領ら露政府の上層部が、ワグネルを露軍の傘下に組み込もうとしたのに対し、プリゴジンがそれを拒否し続けたため殺し、予定通りワグネルを露軍の傘下に組み込んだ、という流れだ。/私は従来、プリゴジンはプーチンに対して強い忠誠心を持っているはずだから、プーチンがワグネルを露軍の傘下に組み込むならプリゴジンはそれに従うと考えていた。だが、そうではなかったようだ。》 《プーチンはプリゴジンらワグネル幹部たちに対し、露軍出身のワグネル幹部の1人であるアンドレイ・トロシェフ(Andrey Troshev)を7月1日からワグネルのトップにしたら良いと思うがどうかと尋ねた。この人事提案は、プリゴジンの解任を意味していたが、そこにいたワグネル幹部のほとんどがプーチンの提案に賛意を表明した。プリゴジンだけは反対を表明した。これは、プーチンとプリゴジンの決別だった。》 《トロシェフはワグネルの現場司令官として、2015年にロシアがシリア軍を支援し始めた当初から、シリアで兵站の運営を担当しており、現場のワグネル兵士たちに支持されていた。プーチンは6月29日の会合で「トロシェフは(軍人でないプリゴジンと違って)真の司令官だから(プリゴジンが辞めて)彼がトップになってもワグネルは何も変わらないよ」と述べたという。》 《プリゴジンは、プーチンに逆らい始めて2か月後に死んだ。この経緯を見ると、プーチンがプリゴジンの殺害を露軍に命じたようにも思える。だが、プリゴジンは露軍や露政府の多くの幹部に対して喧嘩を売り続けてきた。 それらの政敵の1人が、6月29日の会合でプーチンと決別して後ろ盾を失った後のプリゴジンを殺しても、プーチンが支配する露当局からは何のお咎めも受けない。ならば、プリゴジンの自家用ジェット機に時限爆弾などを仕掛けて殺すこともできる。プーチンが動く必要はない。》 《ウクライナに関しても、ウクライナ戦争の構図が長期化するほど欧州の経済破綻がひどくなり、米覇権の崩壊が進み、ロシアが発展・台頭できる多極型世界が確立するので、プーチンは勝利宣言や戦争終結を先延ばししてきた。/プリゴジンはプーチンの戦略に不満で、プーチン自身に対する非難は避けつつ、側近のショイグ国防相らを非難し続けた。プリゴジンは、早く露政府が勝利宣言して戦争を終結させ、ロシアが併合したドンバスの復興事業に専念すべきだと言い続けてきた。/今年3-5月、露軍がプーチンの策に沿ってバフムト陥落に時間をかけていると、プリゴジンは不満を表明しつつワグネルを全力で戦わせてさっさとバフムトを陥落・解放してしまった。ロシアの世論はワグネルを英雄視したが、プーチンは別の長期化策を考えざるを得なくなり、ひそかに不満だった。》 《プリゴジンは、ワグネルの移管を円滑に進めるために消された。リビアの経緯を見ると、プリゴジンは政敵の1人が勝手に殺したのでなく、いつ殺して良いのかを露政府の上の方、つまりプーチンから示唆されていた感じもする。》 《プリゴジンは昨秋、自分がワグネルを動かしていることを初めて公式に発表した。それまでワグネルは謎の組織だった。/プリゴジンは今回の事態が起きる半年前の昨秋すでに、ワグネルの運営権をいずれ露政府・露軍に没収されそうな感じを持っていたので、自分が指導者だとカムアウトしたとも感じられる。プリゴジンの懸念は的中し、運営権を奪われて抵抗しているうちに殺されてしまった。》 https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2023-09-13-2
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