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No. 1882 「ウクライナ・パート2」を予感させる米国の台湾向け武器供与
投稿日時: 2023年8月15日
US Arms Package to Taiwan Heralds “Ukraine Part 2”
by Brian Berletic
米国は台湾に対し、最大3億4500万ドル相当の新たな武器供与を発表した。ロイターは、この武器供与を取り上げた記事{1}の中で、台湾に「安全保障支援」を提供することが目的であると示唆している。
現実には、米国から台湾への武器の移転は国際法上、中国の主権を侵害するものである。なぜなら国際法では台湾は中国の島嶼部だからだ。
米国務省は自らの公式サイト{2}で「米国は台湾と国交がない」「台湾独立を支持しない」と認めている。しかし台湾で独立を目指す政党を支援し続け、そのような願望を支えるために台湾に米国製武器を送り続けていることは、「一つの中国」政策の下での北京との合意に対するワシントン自身の露骨な違反である。
ワシントンの行動は国際法にも北京との協定にも反し、中国に対する明らかな挑発行為で特に台湾海峡とその周辺における中国の軍拡の中心的な原動力となっている。
台湾の分離主義勢力に武器を供与して中国の主権を侵害することで、米国は台湾の安全保障を提供することもなければ、ワシントンがしばしば主張するように、自国の海岸から何千マイルも離れた地域に存在することでその地の安定を支えているわけでもない。
このような武器供与を通じて台湾の「安全保障」を提供するというワシントンの主張をさらに損なう要因は、これらのパッケージの性質そのものである。
ロイターは次のように報じている:
ここ数週間、4人の情報筋がロイターに語ったところによると、このパッケージには武器の付かないMQ-9A偵察ドローン4機が含まれる見込みだったが、それには米空軍のみがアクセスを許される高度な装備の一部を取り外すなどの対応を検討する中で、これらの搭載は見送られる可能性があるという。
リーパーとして知られるこのMQ-9A偵察ドローンが米空軍が使用する最先端の技術を備えていたとしても、台湾の「安全保障」を提供する上での実用性は最大でも疑問が残る。さらに米国がドローンの能力を最大限に引き出す機能を取り除こうとしていることは、このような武器輸送を通じて台湾を「安全保障」しようとする米国の意図の背後にある誠意のなさを示している。
米国のリーパー・ドローンやトルコのTB2ドローンを含む西側のドローン技術は、ウクライナやシリアでの戦闘で見られたように、同等またはそれに近い競争相手であるロシアとの戦闘では効果がないことが証明されている。
ウクライナで進行中の紛争の一環として、ロシアのSu-27戦闘機が黒海上空で米国のリーパーを、その進路に燃料を投棄するだけで墜落させることに成功し、プロペラを十分に損ない、最終的に破壊に至ったとCNNは3月に報じている{3}。
同様にロシアの戦闘機も、シリア領空を不法に飛行する米国のリーパー・ドローンに対して挑戦してきた。Air & Space Forces Magazine誌は、2023年7月27日付の記事{4}で「ロシアの戦闘機がシリア上空で2機目のMQ-9に損害を与えた。では米国は今何をすべきか」と題して、次のように報じている:
7月26日、2機のロシア軍戦闘機がMQ-9に接近し1機が照明弾を投下し、米国当局によると、同機の左翼を数カ所直撃し、損傷させたという。
その数日前にも同様の事件があり、米国のMQ-9リーパーが損傷している。
米軍司令官はシリア領空でのドローンの運用を継続し、「意志と強さを示す」と主張しているが、ロシアの戦闘機が米国のドローンの運用を妨害し、場合によっては撃墜を阻止するために、有人戦闘機で護衛してロシア軍機に対して攻撃する以外に米国が実際にできることはほとんどない。
ドローン自体は、ロシアや中国、さらにはイランのような有能な同業国やそれに近い国に対して驚くほど脆弱であり、イランは何度も米国の最新鋭ドローンを妨害し、ハイジャックさえしている。
トルコ製の戦闘ドローン「バイラクターTB2」は米国製のドローンと多くの共通点がある。ウクライナがこのドローンを使うことはロシアの地上部隊を壊滅させる画期的な能力だとして歓迎された。しかしわずか数カ月後、ウクライナのTB2ドローンは事実上すべて破壊された。
ロシアの防空能力、そして大規模で近代的な航空宇宙戦力は、米国が「対テロ戦争」で先駆けて開拓したタイプのドローン戦をはるかに上回るものだった。途上国の非正規軍に対しては効果的だったものが、先進国の軍隊を相手にすると、まったく不十分で脆弱なものとなったのである。
中国の防空と戦闘機は世界でも最先端の部類に入る。実績のあるS-400防空システムやスホーイSu-35S戦闘機など、最も高性能なシステムのいくつかは実際ロシアから購入したものだ。
中国は、台湾が米国の最新兵器パッケージの一部として取得する可能性のあるMQ-9リーパー・ドローンを妨害したり、破壊したりする能力を持っている。そもそも米国はドローンを送ることで何を達成できると考えているのだろうか。
近年、米国が台湾に送ることを約束している他の兵器システムには、パトリオット防空システムがある。パトリオットも同様に、サウジアラビアのイエメン紛争や最近のウクライナ紛争で、現代の巡航ミサイルや極超音速ミサイル、無人機に対して脆弱であることが露呈している。戦場での欠陥に加え米国はパトリオット防空システム(発射機、レーダー、指揮官ユニット)と、それらが使用する迎撃ミサイルの両方を、中程度の規模の紛争でさえ作戦を維持するのに十分な数だけ製造することができない。
長年にわたって誇張されてきた西側の軍備の背後にある質的・量的現実は、イエメン、シリア、ウクライナの戦場で完全に露呈した。ワシントンは、中国との間で同様の紛争を引き起こしたいと考えているだけでなく、不十分な種類と量の米国製武器で武装した代理人を通じてそうしようとしている。
米国は2019年にランド・コーポレーションが発表した論文(タイトル: 「有利な地位からの競争によるロシアの拡張」)で説明されているように、ウクライナを利用してロシアを「拡張」しようとした。ロシアを刺激し続け、その資源を消耗させることで、ソビエト連邦の崩壊を引き起こしたと米国が主張する方法と同様にロシアの社会政治的および経済的安定を弱体化させようとしたのである。
明らかに、米国の政策立案者は誤算していた。ウクライナの「NATO化」を阻止しようとするロシアの決意と、それを達成するための経済的・軍事的能力は西側が想像した以上にはるかに強大であることが証明されたのである。
中国は、はるかに大きな軍事力、経済力、産業能力をもっており、米国とその同盟国が台湾に対する主権を損ない、米国の包囲網政策の一環として台湾を利用するために用いた同様の戦術に対抗できる立場にあることは間違いない。ウクライナで米国がロシアに対して行った同様の包囲策がすでに不十分であることが証明されているにもかかわらず、ワシントンがいま中国包囲政策を追求し続けていることは、選択肢の欠如と、ある意味、ワシントンの絶望感の高まりを表している。
米国はもはや軍事的にも経済的にも優位に立てないという証拠が増えつつあるにもかかわらず、米国の外交政策の中心は世界的な優位性の追求にある。ワシントンは再浮上するロシアと台頭する中国に対して、軍事的、政治的、経済的資源を使い続け、収穫を減らしていくのだろうか。それとも米国はますます非現実的になっている世界の優位性の追求を最終的に放棄し、他国に押し付けるのではなく他の国々と協力して共に進むというより合理的な政策を採用するのだろうか?これはもしワシントンが今すぐ決めなければならない選択しであり、もしそうでなければ近い将来、他の者が代わりに決定することになるだろう。
Links:
{1} https://www.reuters.com/world/us-announces-taiwan-weapons-package-worth-up-345-million-2023-07-28/
{2} https://www.state.gov/u-s-relations-with-taiwan/
{3} https://edition.cnn.com/2023/03/14/politics/us-drone-russian-jet-black-sea/index.html
{4} https://www.airandspaceforces.com/russian-fighter-damages-mq-9-syria/
{5} https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR3063.html
https://journal-neo.org/2023/08/01/us-arms-package-to-taiwan-heralds-ukraine-part-2
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