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ロシアは日本との「平和条約」が必要なのだろうか
2023年8月9日
Bakhtiar Urusov
Strategic Culture Foundation
今年3月、9月3日を軍国主義日本に対するロシアの勝利記念日にする法律にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が署名した。州下院は法律を可決し、連邦院はそれを承認した。日出ずる国の新聞は、この事実のため、何らかの形で領土問題が再現し、日本のエゴを著しく傷つけたという長い記事を書いた。
ワシントンをなだめるため、岸田政権はロシアと日本の関係の崩壊を引き起こすモスクワに敵対する姿勢を選択し、対ロシア制裁を支持した。その結果、2022年3月、モスクワは平和条約と南千島列島の地位交渉を拒否し、2023年2月、ロシア外務省報道官マリア・ザハロワは、この話題はロシアにとって終わっていると述べた。
戦争の最後の一斉射撃から80年近く後に和平協定を議論するのはばかげているように見える。1991年までソ連の公式の立場は実に単純だった。ロシアと日本間に領土問題はなかった。全ての問題は完全かつ最終的に解決されていた。しかしソ連指導者の一人が確かに問題があると素朴にも認めて以来、この過ちを東京は両手で握りしめた。それ以来日本は歴史的情報をあからさまに捏造し、率直に言って国際条約を自由に解釈してきた。
日本人が平和条約自体より南千島列島の領土に関心を持っているのは誰にでもわかる。そして、ロシアにとって平和条約がどれほど重要で、ロシアに対する日本の主張はどれほど裏付けられているだろう? 私にこれを正しく理解させていただきたい。
サンフランシスコ平和条約(1951年)によれば「日本国は、千島列島並びに日本国が1905年9月5日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」のを想起願いたい。戦時中および戦後のあれこれの国際文書によると、本質的に、日本は20世紀前半の攻撃的軍事行動の間に他国から征服した地域を奪われたのだ。
今、日本人はあらゆる機会に「平和条約の欠如」と、その結果としての「ロシアとの戦争状態」を崇拝し、称賛している。条約調印時に千島列島の南部全体を日本に譲渡するとソ連が約束したとされる1956年の日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言に必ず言及される。これは宣言の第9条のかなり自由な「解釈」だ。しかし、この項目が第9項なら、日本人が気付かないふりをしたいことが少なくとも8つ(実際は10つ)あることは一年生でさえ分かる。宣言が既に戦争終結を宣言しているので、それが述べていることは日本にとってそれほど有利ではない。そんなものだ。
一次資料自体に目を向けよう。第一項は「本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は,両国間に正常な外交関係が回復された後,平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。 」だ。戦争状態の終了、平和の確立、そして通常関係への復帰に万歳。この宣言は通常の平和条約の全要件を満たしているようで、両院に認められている。
さて、日本人に大いに愛されている第9項の文章を注意深く読もう。「ソビエト社会主義共和国連邦と日本は、ソビエト社会主義共和国連邦と日本間の正常な外交関係の回復後、平和条約締結のための交渉を継続することに合意する。ソヴィエト社会主義共和国連邦は,日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島(日本が要求する四島ではなく二島-著者注)を日本国に引き渡すことに同意する。ただし,これらの諸島は,日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。上記の後ソ連は領土を譲渡し(管轄下にあるもののみ譲渡できる)、東京の要求通りには日本領土を返還せず、まず条約が締結され、次に譲渡自体が行われる。ただし宣言では署名後に従う必要がある時間制約は規定されていない。
また宣言の規定を日本が実施するのを思いとどまらせたのは誰だったか想起しよう。そして、かつて沖縄を永久に奪うと脅し、ワシントンで現在存在する日本国憲法を起草し、この島国に軍事基地を設置する条約に署名を強制したアメリカがいるのだ。
その後、ソ連崩壊後、日本が再び領土問題をロシアとの交渉で主要論点の一つにすることが可能になった際、「互恵」が日露対話の基本原則の一つだと橋本龍太郎首相は宣言した。日本の条件で紛争が解決された場合、日本にとって利益は明らかだ。豊富な天然資源を備えた広大な新たな土地、領海の拡大、その結果としての漁業や航行可能地域の管理など。戦略的、経済的に重要な地域を失うのと引き換えに「平和条約」のスタンプが付いた紙がロシアに渡される。そう日本もとうとうサハリン島南部や択後島の北の千島列島に対するロシア主権を認めた。相互利益はどこにあるのだろう。言わねばならないが、ロシアの利益は全く見えない。
すると、ロシアと日本間の敵対行為の完全終結を謳うこの悪名高い平和条約をロシアは必要としているのだろうか? 明確にノーと答えるのに優秀な政治学者である必要はない。そして、それはとうとうロシア外務省報道官の口からも出たのだ。
叙情的余談として、1978年に日本政府が中国政府と平和友好条約に署名したことに留意する必要がある。係争中の尖閣諸島/釣魚台を誰が占有するかは「将来世代」に委ねられている。したがって、沖縄からアメリカ基地が撤去され、東京とモスクワが正常で友好的な関係を確立し、外交政策についてワシントンから指導を受けることなく日本政府が独自の決定を下せるようになるまで、おそらく日本はロシアに対する主張を棚上げできるだろう。
バフティアル・ウルソフは政治評論家、オンライン誌New Eastern Outlook独占記事
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/08/09/whether-russia-needs-a-peace-treaty-with-japan/
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