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強欲な欧米支配層にとってミンスク合意はウクライナを略奪する手順のひとつ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202307220000/
2023.07.22 櫻井ジャーナル
ウクライナはすでに国家の体をなしていない。2010年の大統領選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除するためにバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを手先に使ったクーデターを実行、ウクライナの状況は悪化した。
クーデター後の体制はネオ・ナチの影響を強く受けているが、その背後には米英の巨大資本が存在する。ヤヌコビッチを支持していた南部とクリミアはロシアと一体化したが、東部のドンバスでは内戦が勃発したわけだ。
キエフのクーデター政権はロシアを敵視しない人びと、特にロシア語を話す人びとを激しく弾圧、ドンバスを攻撃してきたが、クーデター後にウクライナ軍の将兵や治安組織の隊員は約7割が組織から離脱し、一部は反クーデター軍に合流したと言われ、ドンバスを制圧するためには戦力を増強する必要があった。
そこで「ミンスク合意」である。国連の安全保障理事会は2015年2月17日にこの合意を是認すると決議しているが、アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。ミンスク合意で平和が訪れることはありえなかった。停戦交渉を壊してきたのはアメリカとイギリスである、ドイツやフランスも平和を望んでいなかった。
アメリカはクーデターを仕掛けた国であり、イギリスもアメリカに同調していた。その米英にドイツやフランスが従属していたわけだ。ウクライナのクーデターはロシアとEUを分断、双方を破綻させることが目的だったのだが、それでもドイツとフランスは従属している。ロシアとEUを潰す計画を立てたのはアメリカとイギリスの支配層、つまり両国を拠点とする金融資本だ。
彼らはウクライナの産業や資源にも目をつけていた。ソ連時代、ウクライナには造船、エレクトロニクス、ロケット、化学工業、冶金などの産業があり、少なからぬ大学など研究施設もあった。穀物の生産も重要だが、ここにきて注目されているのは未開発のレアアースだ。
アメリカはウクライナを支配することでロシアとEUを分断するだけでなく、生物化学兵器の開発、マネーロンダリング、そしてレアアースの支配を目論んできた。ジョー・バイデン親子がウクライナに執着している理由のひとつはここにあると見られている。
しかし、今は見る影もない。ソ連消滅後、ロシアも10年間は惨憺たる状態だったが、西側の巨大資本から自立、新自由主義から離脱する道を歩み始めて復活した。西側へ従属する道を歩いてきたウクライナは破綻したわけだ。
そうした状況を作り出したのは新自由主義にほかならないが、その実態に気づいたウクライナ人は2004年から05年にかけてウクライナの選挙でヤヌコビッチを支持した。
そこでアメリカは選挙に介入、大多数の住民がロシア語を話す東部と南部を支持基盤とするヤヌコビッチの政権が樹立されることを阻止するため、抗議活動を演出している。いわゆる「オレンジ革命」だ。この時のアメリカ大統領はジョージ・W・ブッシュである。
ブッシュ政権が選んだビクトル・ユシチェンコは2005年1月から2010年2月まで大統領を務め、新自由主義を導入、大多数のウクライナ人が貧困化した。富は欧米の支配層へ流れたが、その手先になった一部のウクライナ人も巨万の富を築く。いわゆる「オリガルヒ」だ。
そこで、2010年1月から2月にかけて行われた大統領選挙ではヤヌコビッチが勝利する。その結果に反発したバラク・オバマ大統領は7月にヒラリー・クリントン国務長官をキエフへ送り込み、新政権に対してロシアとの関係を断ち切ってアメリカへ従属するように求めたが、西側の植民地になることを望まないヤヌコビッチ大統領はこの要求を拒否。そこからオバマ政権のクーデター計画が始まったと言われている。
現在、米英金融資本はウクライナを「民営化」しようとしている。その巨大資本の中心は「闇の銀行」とも呼ばれるブラックロック、そして巨大銀行のJPモルガン・チェース。民営化を実現するため、このふたつの「民間企業」はウクライナ復興銀行(URB)の設立を目指しているようだ。私的権力が支配する体制はファシズムにほかならない。
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