<■688行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 主張 露の穀物合意離脱 食料危機を深める暴挙だ 2023/7/19 5:00 https://www.sankei.com/article/20230719-JQ2XEQN6JBOLFBEU6RJVB4RA4M/ ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン政権が、ウクライナなどとの黒海での 「穀物合意」 の履行を一時的に停止すると表明した。 アフリカや中東、南米など途上国の人々の食料危機を深刻化させかねない暴挙だ。 ロシアは即刻、無条件で合意に復帰しなければならない。 林芳正外相は 「今回のロシアの決定がもたらす負の影響は、ロシアが最終的な責任を負う」 と非難した。 国連安全保障理事会でも 「途上国などを人質に取っている」 と批判が相次いだ。 ロシアは2022年7月、国連とトルコの仲介で、ウクライナから穀物を輸出する船舶の安全航行を保証する 「回廊」 の設置などで合意、これまで3回、延長してきた。 今回の合意離脱の背景には、欧米の対露経済・金融制裁でロシアの穀物輸出に支障が出ているとの不満が指摘されている。 しかし、全ての責任は侵略をやめようとしないロシア自身にある。 国連やトルコは露農業銀行を国際決済ネットワーク 「国際銀行間通信協会(SWIFT)」 に再接続する―などの譲歩案も示したがロシアは応じていない。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 「ロシア抜きでも黒海回廊利用に必要な全てのことをする」 と述べたが、ペスコフ露大統領報道官は 「合意停止以降は黒海での民間船の安全航行を保証しない」 と述べた。 卑劣極まる発言だ。 ウクライナは世界有数の穀倉地帯で小麦の輸出量は世界5位だ。 ロシアがこのまま離脱し続けて輸出が滞れば、途上国の食料不足は一段と悪化しかねない。 米国のバイデン大統領は先週、外遊先のフィンランドで 「ウクライナの反転攻勢が前進し、どこかで交渉による解決を生み出す」 と述べ、 「プーチン大統領は既に戦争で負けた」 と強調した。 苦境に立つプーチン氏には、食料危機を煽り立てることで、ウクライナの領土を占領したまま、自国に有利な形で停戦交渉を始めたいとの意図も窺える。 プーチン氏は2023年7月下旬、アフリカ諸国を集めた2回目の 「ロシア・アフリカ首脳会議」 を自国で開催予定だ。 しかし、合意離脱で予測される穀物の供給不足や価格高騰は、首脳らの結束にも打撃を与えよう。 ロシアは自らの暴走が、日一日と世界で反発を増やしていることを思い知るべきだ。産経抄 2023/7/19 5:00 https://www.sankei.com/article/20230719-SWRG23COSRN6PP6XYH7WW6M5KU/ 「自殺について多数の報告があった」 「ほとんどいつも、首吊りであった」 「母たちは、しばしば子供の首をしめて、その悲惨な状態から子供を解放してやった」。 英国の歴史家ロバート・コンクエストは、『悲しみの収穫 ウクライナ大飢饉』(白石治朗訳)に淡々と記す。 ▼悲惨な状態とは、飢餓である。 1932年から1933年にかけて、ウクライナでは500万人の命が奪われた。 農民はパンの代わりに木の皮やネズミまで食べた。 人肉食の報告も残る。 「欧州の穀倉地帯」 と称される国で何故、大飢饉が起きたのか。 ▼独裁者スターリンと共産党指導部が農民に対して能力以上の穀物の供出を割り当て、最後の一粒まで取り立てたからだ。 しかも外部からの支援を断ち切った。 強制的な農業集団化も理由の1つだ。 コンクエストはスターリンによる 「飢餓テロ」 と断じた。 ▼ウクライナ産穀物の輸出に関する合意について、ロシアが一方的に離脱すると発表した。 黒海経由で輸送すると、運搬船がロシア軍から攻撃を受ける恐れがある。 ウクライナ産のトウモロコシや小麦は、アフリカやアジア、中東など40カ国以上に輸出されてきた。 ▼ロシアは欧米による経済制裁により自国の輸出が妨げられていると主張する。 この問題が解消されれば、合意延長に応じるという。 ただこのまま穀物の流通量が減少すれば、世界の食料価格の高騰を招きかねない。 プーチン大統領は、ウクライナの国民と領土を蹂躙しただけではない。 国際社会に向けて飢餓テロを仕掛けようとしている。 ▼コンクエストはウクライナの悲劇を引き起こしたスターリンについて、 「ぬけぬけとした偽善」 と 「言い逃れ」 を指摘する。 後世の歴史家から断罪される覚悟がプーチン氏にあるのか。 日本政府、G7で連携 露に穀物輸出合意復帰を要求 2023/7/18 22:15 https://www.sankei.com/article/20230718-FBLQWPX7OZOJ5NX4YSW2VU2BX4/ 日本政府は、黒海経由のウクライナ産穀物輸出に関する合意から離脱したロシアを強く非難し、先進7カ国(G7)で連携して合意への復帰を要求していく方針だ。 松野博一官房長官は2023年7月18日の記者会見で 「極めて遺憾だ」 「ロシアの決定が世界の食料供給にもたらす影響を懸念しており、状況を注視している」 と述べた。 林芳正外相も同日の記者会見で 「今回の決定がもたらす負の影響はロシアが最終的な責任を負う」 と非難した。 G7は2023年5月の首脳会議(広島サミット)で発出した声明で、ウクライナ侵略が世界中で食料安全保障の危機を悪化させたと指摘し、輸出合意の履行を関係国に求めたが、ロシアの離脱を防げなかった。 林氏は 「G7をはじめとする国際社会と連携し、ロシアが(合意に)復帰し、ウクライナからの穀物輸出が再開されるよう強く求めていく」 と強調した。 ウクライナ「露抜き」の穀物輸出模索 政府補償案も 2023/7/18 21:21 https://www.sankei.com/article/20230718-FXNV52WOUJKD3IFGTHVLZ6ZD2M/ ウクライナ産穀物の輸出合意からロシアが離脱した問題で、ウクライナのゼレンスキー大統領は2023年7月17日、ロシア以外の合意当事者であるトルコ、国連とともに黒海経由の輸出継続を目指す考えを示した。 ロシアの離脱により、ウクライナの港湾や航路がロシアから攻撃を受ける危険性は高まった。 ウクライナは、損失が生じた場合の補償を政府が行う案も検討していくとみられる。 ゼレンスキー氏は2023年7月17日のビデオ声明で 「ウクライナと国連、トルコは(ロシア抜きで)食料回廊を続けることができる」 「これは全世界に必要なことだ」 と述べた。 国連のグテレス事務総長とトルコのエルドアン大統領に、3者での新たな枠組みについて提案する書簡を送ったという。 2022年7月に締結された合意は、ウクライナ南部オデッサなど3つの港湾に出入りする船舶の安全を合同で確保する内容。 ロイター通信によると、ロシアは合意離脱に伴い、 「(黒海での)航行の安全に関する保証はなくなる」 と国際海事機関(OMO)に書簡で警告した。 実際、露軍は2023年7月17〜18日、オデッサを含む南・東部をミサイルやドローン(無人機)で攻撃。 オデッサではウクライナ軍の迎撃でミサイルの破片が落下し、港湾施設に被害が出た。 ゼレンスキー氏は2023年7月17日、ロシア抜きで輸出を継続する具体的方策を明らかにしなかった。 ただ、報道によれば、ウクライナ政府はロシアの合意離脱に備え、政府が船舶に生じる損失を肩代わりする案を検討してきた。 政府が5億ドル(約693億円)規模の保険基金を設けることが柱となる。 国際的な護送船団を結成して運搬船を守る案もあるが、露軍の攻撃を受ける可能性があるため、参加する国が出てくるかは不明だ。 穀物合意の延長を求めてきたエルドアン氏は2023年7月19日にプーチン露大統領と協議する意向を明らかにし、事態の打開策が見い出されることに期待を示した。 ロシアは穀物合意を締結する見返りとして、露産穀物や肥料の輸出正常化に関する覚書を国連と交わした。 ロシアは金融や機械分野の対露制裁が露産穀物・肥料の輸出を妨げていると主張し、障壁が取り除かれていないとして合意から 「一時離脱」 した。 露農業銀行を国際決済ネットワーク 「国際銀行間通信協会(SWIFT)」 に再接続することや、農業機械部品の禁輸解除などを要求している。 ■ウクライナ産穀物の輸出合意 ロシアの海上封鎖により、農業大国ウクライナは小麦などの穀物を黒海経由で輸出できなくなった。 これを受け、ロシアとウクライナが2022年7月、国連、トルコの仲介で結んだ輸出再開の合意。 イスタンブールに4者の 「合同調整センター」 を設け、ウクライナの3港湾を出入りする船の検査や航路の安全確保に当たる。 合意は2022年11月と2023年3月、5月に延長され、計3290万トンが積み出された。 ロシアの侵攻前、ウクライナは穀物の大半を黒海経由で輸出していた。 「露が最終責任負う」 穀物合意離脱で林外相非難 2023/7/18 12:13 https://www.sankei.com/article/20230718-D363S7AY2VOIPBATSO2JZKHEGM/ 林芳正外相は2023年7月18日の記者会見で、ロシアによるウクライナ産穀物輸出合意の離脱を非難した。 「極めて遺憾だ」 「今回のロシアの決定がもたらす負の影響は、ロシアが最終的な責任を負う」 と述べた。 穀物輸出合意が 「グローバルサウス」 と呼ばれる新興・途上国への食糧供給や価格安定に貢献してきたと強調し、ウクライナからの穀物輸出再開を求める意向を示した。 松野長官、ロシアの穀物合意離脱 「極めて遺憾」 2023/7/18 11:34 https://www.sankei.com/article/20230718-OJBTYMH2ZFOBPNUBMIQMZ5QFOY/ 松野博一官房長官は2023年7月18日午前の記者会見で、ウクライナ産穀物を黒海経由で輸出する手続きを定めた 「穀物合意」 を巡り、ロシアが離脱を表明したことについて 「極めて遺憾だ」 「ロシアの決定が世界の食料供給にもたらす影響を懸念しており、状況を注視している」 と述べた。 その上で 「G7(先進7カ国)を始めとする国際社会と連携し、(合意が)再開されるよう強く求める」 と語った。 欧州からロシア批判噴出 WTOも悪影響危惧 2023/7/18 9:30 https://www.sankei.com/article/20230718-TFCGTEQ6EJMWLH6M4ZEUKFZ3SI/ ウクライナ産穀物輸出に関する同国とロシア、トルコ、国連の4者による合意から離脱したロシアに対し、欧州各国から2023年7月17日、一斉に批判が噴出した。 世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長も、食料価格の高騰に苦しむ低所得国の人々に更に悪影響が出ると危惧した。 フランス外務省は 「世界の食料安全保障を巡る恐喝をやめ、決定を取り消すべきだ」 とロシアに要求。 英国のクレバリー外相は 「最も強い言葉で非難する」 とし、ドイツのショルツ首相も 「ロシアは全世界を脅かしている」 と不快感を示した。 イタリアのメローニ首相も食料を武器として使うことは 「人道犯罪だ」 と批判し、中東やアフリカなどで食料危機が高まることを念頭に 「最貧国にとって誰が敵なのかを示した」 と訴えた。 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は 「EUはウクライナから農産物を世界の市場に届け続ける」 と表明した。(共同) ゼレンスキー氏、ロシア抜きでの輸出延長を提案 「穀物合意」失効 2023/7/18 8:57 https://www.sankei.com/article/20230718-JFMMKRNVYZPHJLOKX22LJTXV3E/ ウクライナ産穀物を黒海経由で輸出する手続きを定めたロシアとウクライナ、トルコ、国連の間の 「穀物合意」 からの離脱をロシアが発表した問題で、ウクライナのゼレンスキー大統領は2023年7月17日、ビデオ声明を発表し、トルコのエルドアン大統領と国連のグテレス事務総長に、ロシアを除く3者で穀物輸出を続ける方法を検討すべきだとする書簡を送ったと明らかにした。 ゼレンスキー氏は、世界有数の穀物輸出大国であるウクライナが 「4億人分の食料を供給している」 と表明。 ウクライナとトルコ、国連の3者で合意を継続するか、合意の代替方式を策定することを提案した。 一方、露外務省は2023年7月17日、合意離脱を受けた声明を発表し、合意の一部として国連が約束した露産穀物・肥料の輸出障壁の撤廃措置が進展していないと改めて主張。 「約束や保証ではなく具体的な結果が得られた場合にのみ、ロシアは合意復帰を検討する」 とした。 露外務省は合意復帰の条件として、 ▽露農業銀行の国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」への再接続 ▽農業機械部品の禁輸措置の解除 ▽露運搬船に対する高額の保険料設定の見直し ▽各国による露運搬船の入港禁止措置の解除 などを挙げた。 同省はまた、合意失効前に国連が提示した複数の改善策はロシアの要求を満たしていないとも主張した。 合意は、ロシアの侵略で停滞したウクライナ産穀物の輸出を再開させ、世界的な食料価格高騰を解消する目的で2022年7月に成立。 各当事者の異論がなければ定期的に延長される仕組みだったが、ロシアは自国の国益を満たしていないとし、延長期限となった2023年7月17日に離脱を表明した。 合意失効で穀物の流通量が減り、世界の食料価格が上昇する恐れが指摘されている。 米、露の穀物合意離脱は「危険で無責任」と非難 2023/7/18 8:45 https://www.sankei.com/article/20230718-GOUZX2BZ3ZPDZI77KHNARZAL4U/ 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は2023年7月17日の記者会見で、ウクライナ産穀物の輸出合意からロシアが離脱したことについて、 「危険で無責任な決定だ」 と非難し、ウクライナが今後も穀物輸出を行えるよう 「他の国々との協力を進める」 と強調した。 カービー氏は、穀物合意はロシアのウクライナ侵略による世界的な食料価格の高騰を抑えるために決定的に重要な取り決めだとし、そこからロシアが離脱することは 「世界の食料問題を悪化させ、多くの弱い立場の人々に害をなす」 と指摘した。 またカービー氏は2023年7月17日の米CNNテレビで、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島と露本土を結ぶクリミア橋が攻撃されたことは、プーチン露大統領にとって 「象徴的な打撃となる」 と語った。 国連安保理 ロシア穀物合意離脱で「途上国への打撃」を懸念 2023/7/18 8:43 https://www.sankei.com/article/20230718-CMZBBEDWQBO4RIFRKQKN445QJU/ 国連安全保障理事会は2023年7月17日、ロシアが侵略を続けるウクライナ情勢を巡り公開会合を開いた。 ロシアが黒海を経由してウクライナ産穀物を輸出する 「穀物合意」 の離脱を決めたことに対し、 「途上国への打撃が特に大きい」 との批判や 「合意への復帰」 を求める声が相次いだ。 英国のクレバリー外相はロシアの離脱決定を 「アフリカや中東、中南米の最も貧しい人々の口から食べ物を奪う行為」 と批判した。 米国のトーマスグリーンフィールド国連大使も 「新たな残虐行為」 と糾弾、日本の武井俊輔外務副大臣は 「世界の他の地域を人質に取っている」 と非難した。 ガーナ代表は離脱決定に 「遺憾」 を、エクアドルとモザンビークの代表は 「失望」 をそれぞれ表明した。 他方、中国代表は穀物合意を 「評価している」 と述べるにとどめた。 露代表は2022年7月の穀物合意の見返りとして交わした露産穀物・肥料の輸出正常化を図る国連との覚書を 「空手形」 と呼び、合意離脱の責任を国連の側に押し付けた。 覚書について、国連のグテレス事務総長は安保理に先立ち、米欧の協力を得て露産穀物・肥料の輸出を制裁の適用対象から外し、輸出に際して保険に加入できる措置を導入してきたと説明。 「いくつかの障害は残っている」 と認めながらも、ロシアの輸出は 「完全に回復しつつある」 と述べ、合意離脱を決めたロシアへの不満を滲ませていた。 ウクライナのクレバ外相は安保理で 「ロシアは占領したウクライナからの出港分を含め、輸出量を増やしている」 と述べ、グテレス氏の主張を後押しした。 国連事務総長 ロシアの穀物合意離脱に「深い遺憾」 2023/7/18 6:19 https://www.sankei.com/article/20230718-XGH62SFJQNPUZBQTSZ73TNJIUA/ ロシアが黒海を経由してウクライナ産穀物を輸出する 「穀物合意」 の一時離脱を決めたことについて、国連のグテレス事務総長は2023年7月17日、世界の食料価格が高騰し 「人的被害が増える」 と述べ、深い遺憾を表明した。 合意延長を目指し、米欧の協力を得て導入した措置によって露産の穀物・肥料の輸出は 「完全に回復しつつある」 と述べ、ロシアへの不満を滲ませた。 グテレス氏は、ロシアを直接批判する言葉は語らなかったが、穀物合意の延長は 「ロシアにとって選択」 だが、飢餓や物価高が直撃する 「途上国の人々に選択の余地はない」 と訴えた。 自らは 「世界の食料市場の安定化の道筋を見出すことに専心する」 と述べた。 グテレス氏は、2022年7月の穀物合意の見返りとしてロシアと国連の間で交わした覚書に基づき、米国や英国、欧州連合(EU)の協力を得て、露産の穀物・肥料の輸出を制裁の適用対象から外したり、輸出に際して保険に加入できるようにした措置を導入してきたと説明。 「いくつかの障害は残っている」 と認めつつ、ロシアの輸出はほぼ回復しているとの認識を示した。 グテレス氏はまた、ロシアが2022年11月に要求した凍結資産の解除リストに基づき 「70%以上の資産凍結を解除した」 とも説明。 米金融大手JPモルガンを通じ、国際決済ネットワーク 「国際銀行間通信協会」(SWIFT) の枠外の方法で、露農業銀行のために 「特注の決済メカニズム」 を構築していたことも明らかにした。 SWIFTについては、露農業銀行の子会社の再接続をEUの協力を得て可能にするとプーチン露大統領に直接提案しており、グテレス氏は 「無視」 され、 「深く失望」 していると述べた。 露合意離脱「恐れない」 輸出継続とゼレンスキー大統領 2023/7/18 0:37 https://www.sankei.com/article/20230718-F33PL4XGVFKQBGJGX4EB5XBX4Y/ ロシアがウクライナからの黒海を通じた穀物輸出合意からの離脱を表明したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は2023年7月17日、ロシア離脱後も 「黒海回廊を使用できるように全力を尽くす」 「我々は恐れていない」 として、輸出を継続する考えを表明した。 大統領報道官がゼレンスキー氏の声明を公表した。 ゼレンスキー氏は、ウクライナが穀物を積んだ船の出港を認め、トルコが船の通過を許可すれば、穀物輸出は継続できるとの見方を示し、自国の外務省に、トルコと国連に働きかけるよう指示したという。(共同) 「ロシアは人類を人質」 米国連大使、穀物合意離脱の撤回要求 2023/7/17 23:43 https://www.sankei.com/article/20230717-ONZMCKE5SZNFVB6H4QXF7GQHX4/ ロシアが一時離脱を発表したウクライナ産穀物を黒海を経由して輸出する 「穀物合意」 について、米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は2023年7月17日、ニューヨークの国連本部で記者団に 「ロシアは人類を人質に取った」 と語り、一時離脱の撤回を要求した。 トーマスグリーンフィールド氏は穀物合意を、2022年2月のロシアのウクライナ侵略開始後に高騰した食料価格を引き下げた 「希望の光」 と評価した上で、この希望や進歩を 「ロシアは投げ捨てた」 と批判した。 穀物合意を巡り、ロシアは合意延長に応じる条件として露農業銀行を通じた国際決済ネットワーク 「国際銀行間通信協会(SWIFT)」 への再接続などを求めている。 トーマスグリーンフィールド氏は 「ロシアが政治的な駆け引きをしている間に特に(ウクライナ産穀物への依存度が高い)中東やアフリカで子供や授乳中の母親らが実際に苦しむことになる」 と訴えた。 制裁受けているはずが…“ロシア産小麦輸出量増” 米農務省 2023年7月18日 20時44分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230718/k10014134091000.html ロシアは、欧米側の制裁によって農産物の輸出が滞っていると主張していますが、アメリカ農務省は、ロシアの小麦の輸出量はむしろ増加しているとする報告書を発表しています。 現状についてロシアの「友好国」のイランなどで取材しました。 アメリカ農務省が2023年5月にまとめた報告書によりますと、輸出先の国からのデータなどをもとに調べたところ、2022年から2023年にかけての1年間ではロシアの小麦の輸出量は、前の年に比べて36%増えて4500万トンとなり、過去最多を記録することが予想されるとしています。 また輸出先としては、トルコやエジプト、イラン、サウジアラビアのほか、スーダンやアルジェリアといった中東やアフリカの国々が上位を占めているということです。 更に、ロシアが主導する「ユーラシア経済同盟」の加盟国にも陸上輸送で小麦が輸出され、中でもカザフスタンへの輸出量が多いということです。 一方、ロシアのインターファクス通信は、2023年6月、ロシアのパトルシェフ農業相が 「2023年の農産物の輸出額はおよそ15%から20%、前の同じ時期を上回っている」 と述べたと伝えています。 国営のタス通信も2023年7月、パトルシェフ農業相の話として 「2023年7月から2024年6月にかけての1年間で、最大で5500万トンの穀物を輸出する計画だ」 という見通しを伝え、輸出先としては、ロシアに友好的な国が9割近くを占めるとしています。 ■ロシア“友好国”のイラン ロシアからの穀物輸入量増加 イラン税関の統計によりますと、ロシアから輸入した穀物の量は、2023年6月までの3か月間でおよそ74万トンと、前の年の同じ時期と比べておよそ1.5倍、侵攻前の2021年と比べておよそ2.5倍に増えています。 イラン港湾海事局でアンザリ港を担当するナザリ氏は 「2023年はロシアから輸入するトウモロコシの量が増えている」 「大事なのは取り引き先の国の要望に沿うことなので、私たちは、ロシア側の求めにもっと応える用意がある」 と話していました。 ロシアとしては、カスピ海航路でイランを経由して、その先の中東の湾岸地域へ穀物などを輸出したい思惑もあるとみられます。 アンザリ自由貿易区域庁のニアジ長官は 「ロシアにとって湾岸諸国と繋がることはとても重要な成果となるため、ロシアは渇望している」 と話していました。 ■ロシアとイラン繋ぐ両国間に位置する“カスピ海ルート” 日本の国土とほぼ同じ広さを持つカスピ海は元々、チョウザメの卵から作るキャビアや、豊富な埋蔵量を誇る海底油田などで知られます。 イラン側は否定しているものの、イランがカスピ海を輸送路としてロシアへ無人機や弾薬などの兵器を供与していると、欧米からは指摘されています。 更に、ロシアとしては、軍事侵攻が長期化する中、ロシア経済を維持する上で、カスピ海は重要な貿易ルートとなっています。 ロシアとイランの両国は、共に欧米から制裁を科される中、 「南北輸送回廊」 と呼ばれ、ユーラシア大陸を縦断する物流網の構築に力を入れてきました。 道路や鉄道を使うルートでは他の国を通過する必要があるのに対し、カスピ海航路を利用すれば、両国がどの国も介さずに直接、物資を輸送できることになります。 ■イランの港にはロシア国旗掲げた多くの船が イランの首都テヘランから北西におよそ250キロ離れたアンザリ港は、カスピ海に臨むイラン側の主要な港です。 普段は、安全保障上の理由などから報道機関の立ち入りが制限されていますが、2023年6月末、NHKの取材班は当局から許可を得て港での撮影が認められました。 港には、確認できただけで4隻のロシアの貨物船が停泊していて、多くのロシア国旗がはためいていました。 このうち、取材当日の朝、イラン側の港に到着したばかりだという船には大麦が積まれていて、港ではダンプカーに積み替えて、港内の貯蔵庫に次々と運ばれていました。 イラン港湾海事局によりますと、ロシアとの取り引き拡大に伴い、アンザリ港で2022年1年間に取り扱ったコンテナの量は2021年と比べ、およそ40%増えたということです。 更に、港を国内の鉄道網と接続する線路の建設も2023年9月の完成を目指して進められていて、完成すれば、この港からペルシャ湾までが鉄道で繋がることになります。 この港を管轄するアンザリ自由貿易区域庁のニアジ長官は 「周辺国の地政学的な状況が、この経済特区の輸送路としての役割をより重要にしている」 「この港を回廊に組み込むことでイランは制裁に立ち向かうことができる」 と話しています。 ■ロシア大統領府 “ロシア抜き輸出 リスク考慮する必要” ロシア政府がウクライナ産の農産物の輸出を巡る合意の履行停止を発表したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は反発し、ロシア抜きでも輸出を継続したい考えを示しています。 これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は2023年7月18日、記者団に対し、農産物が輸出される黒海の輸送ルートは戦闘地域に近いとした上で 「適切な安全の保証がなければ、一定のリスクが生じる」 「このためロシア抜きで行われる場合、リスクを考慮する必要がある」 と警告し、ウクライナ側の動きを牽制しました。 また、ペスコフ報道官は、ロシアはアフリカなどの国々に対し、ロシア産の農産物を無償で提供する考えを維持していると強調しました。 その上で、来週27日と28日にロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開くアフリカ諸国との首脳会議で、ロシア産の農産物について意見が交わされるという見通しを示し、アフリカ諸国との関係強化を図る狙いがあるとみられます。 ロシア ウクライナ産農産物 輸出合意の履行停止 批判相次ぐ 2023年7月18日 19時54分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230718/k10014133901000.html ロシア政府は、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行停止を発表し、ロシア産の農産物などの輸出が実現されない限りは、合意に復帰することはないと強調しました。 これに対し、国連のグテーレス事務総長が 「困窮している全ての人たちに打撃を与える」 と述べるなど、世界的な食料危機への懸念が高まっています。 ウクライナ産の農産物の輸出を巡るロシアとウクライナの合意について、合意の延長期限となっていた2023年7月17日、ロシア大統領府のペスコフ報道官は 「合意の履行を停止した」 と発表しました。 また、ロシア外務省は 「約束や保証ではなく、具体的な結果を得られた場合のみ、ロシアは合意の再開を検討する用意がある」 としていて、滞っていると主張するロシア産の農産物などの輸出が実現されない限りは、ウクライナ産の農産物を巡る合意に復帰することはないと強調しています。 これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は 「ロシアは明らかに政治的な問題を解決するため圧力を掛けている」 と強く非難しました。 また、仲介役を担ってきたトルコのエルドアン大統領は 「合意の延長に向けた外交努力を続けている」 「プーチン大統領と電話で話す」 などと述べ、ロシアへの働き掛けを続ける考えを強調した他、同じく仲介にあたる国連のグテーレス事務総長は 「深く失望している」 「ロシアの決定は、困窮している全ての人たちに打撃を与えるだろう」 と述べるなど、世界的な食料危機への懸念が高まっています。 ■ゼレンスキー大統領「ロシア抜きでも合意継続を」 ウクライナのゼレンスキー大統領は2023年7月17日に公開した動画で 「この合意を受けて、これまでおよそ3300万トンの農産物が45か国に輸出された」 「その60%はアフリカとアジアの国々に届いている」 と述べ、合意の意義を強調すると共に、農産物がアフリカ諸国などには届いていないとするロシア側の主張に反論しました。 また、ゼレンスキー大統領は合意について 「ロシア抜きでも続けることは出来るし、そうすべきだ」 と述べました。 その上で、トルコのエルドアン大統領と国連のグテーレス事務総長に書簡を送ったことを明らかにし 「トルコと国連、それにウクライナの3者で似たようなものか、今の合意を継続することを提案した」 と述べ、ウクライナ産農産物の輸出継続に向けて仲介役のトルコや国連と連携していく考えを示しました。 ■ウクライナの小麦農家 ロシアを非難「もう言葉もない」 ロシアが合意の履行停止を発表したことについて、ウクライナの小麦農家からは、ロシアを非難すると共に、世界の穀物価格が上昇するなど影響を懸念する声が聞かれました。 キーウ州南部の農家、バシル・ソローカさんが、所有しているおよそ700ヘクタールの小麦の畑では、収穫期を迎えています。 ソローカさんは、ロシアがウクライナ産の農産物の輸出を巡る合意の履行停止を発表したことについて 「これがロシアのやり方であり、もう言葉もない」 と非難しました。 また、ウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻以降、輸出が停滞したことなどで、小麦の買い取り価格が大きく下がり、収入も減ったということでソローカさんは 「プーチン大統領は政治的な交渉を目的に穀物合意を止め、ウクライナに危害をもたらそうとしている」 「とても不愉快だ」 と述べ、今後、農家などに更なる影響が出ることを不安視していました。 その上で 「ウクライナの小麦がなければ、世界の穀物価格が上昇し、アフリカなどの国々に悪影響を及ぼすことは明らかだ」 「世界の国々は懸念を表明するだけでなく、具体的な行動を起こすべきだ」 と述べ、国際社会にはロシアに対して、断固たる対応を取ってほしいと訴えていました。 ■EU委員長「ロシアの身勝手な行動だ」 ロシア大統領府の発表についてEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長はツイッターに投稿し 「ロシアの身勝手な行動だ」 と述べて強く非難しました。 その上で 「世界の弱い立場の人たちの食料安全保障のためEUは対応している」 としてウクライナ産の農産物をEU域内の港から輸出するという支援の取り組みを続ける考えを強調しました。 ■米 ブリンケン国務長官「許しがたい、あってはならない」 アメリカのブリンケン国務長官は2023年7月17日、記者会見で 「ロシアがウクライナとの戦争で、食料を武器として利用したために食料を切実に必要としているところでの入手がより困難になるだろう」 「許しがたいことであり、あってはならないことだ」 と述べ、ロシアを強く非難しました。 その上で、ロシアに対し速やかに合意に復帰するよう求めました。 また、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は記者会見で、 「我々は引き続きウクライナが他のルートを含め、穀物を必要としている市場に届ける取り組みを支援する」 と述べ、同盟国などと共に取り組んでいくと強調しました。 一方、ロシアが欧米側の制裁措置によって農産物の輸出が滞っていると主張していることについて、 「ロシアの食料や肥料は制裁対象ではない」 と述べ反論すると共に、これまで通りロシアの農産物の輸出を制限することなどはしないとしています。 ■エジプト市民 「パンが買えなくなる」 ウクライナなどから多くの農産物を輸入している中東のエジプトでは、今後、パンなどの価格が更に高騰するのではないかと懸念の声が上がっています。 エジプトは、主食のパンの原料となる小麦を世界で最も多く輸入していて、その大半をロシアとウクライナからの輸入に頼ってきました。 ロシアによるウクライナ侵攻によって小麦の輸入が滞る中、エジプトでは他の地域から輸入を増やそうと努めていますが、国内消費に追いつかず、一部の商店では、パンの価格が侵攻前と比べ、5倍以上に跳ね上がっています。 首都カイロの市場で買い物をしていた市民からは今後、パンなどの価格が更に高騰するのではないかと懸念の声が上がっています。 市場で買い物をしていた男性は 「エジプト人にとって、パンは水と同じで生活に不可欠なものだ」 「これ以上値上がりしたら、パンが買えなくなる」 「遠い国の戦争で私の生活も厳しくなっている」 と話していました。 また、別の女性は 「全ての商品が値上がりしていて、生活ができない」 「元の生活に戻るためにも早く戦争が終わってほしい」 と話していました。 ■アメリカ農務省 “ロシアの小麦輸出量はむしろ増加” ロシアは、欧米側の制裁によって農産物の輸出が滞っていると主張していますが、アメリカ農務省は、ロシアの小麦の輸出量はむしろ増加しているとする報告書を発表しています。 アメリカ農務省が2023年5月にまとめた報告書によりますと、輸出先の国からのデータなどを基に調べたところ、2022年から2023年にかけての1年間ではロシアの小麦の輸出量は、前の年に比べて36%増えて4500万トンとなり、過去最多を記録することが予想されるとしています。 輸出先としてはトルコやエジプト、イラン、サウジアラビアの他、スーダンやアルジェリアといった中東やアフリカの国々が上位を占めているということです。 更に、ロシアが主導する 「ユーラシア経済同盟」 の加盟国にも陸上輸送で小麦が輸出され、中でもカザフスタンへの輸出量が多いということです。 一方、ロシアのインターファクス通信は、2023年6月、ロシアのパトルシェフ農業相が 「2023年の農産物の輸出額はおよそ15%から20%、前の同じ時期を上回っている」 と述べたと伝えています。 国営のタス通信も2023年7月7日、パトルシェフ農業相の話として 「2023年7月から2024年6月にかけての1年間で、最大で5500万トンの穀物を輸出する計画だ」 という見通しを伝え輸出先としては、ロシアに友好的な国が9割近くを占めるとしています。 ■小麦の先物価格 乱高下も シカゴ商品取引所では小麦の供給が滞るとの見方から、国際的な小麦の先物価格が一時、大きく上昇しました。 その後は急落し、乱高下しています。 2023年7月17日のシカゴ商品取引所では、ロシア政府の発表を受けて国際的な取り引きの指標となる小麦の先物価格が一時、大きく上昇し、先週末の終値と比べた上昇率は7%を超えました。 ロシア政府が、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行停止を発表したことを受けて世界有数の小麦の輸出国、ウクライナからの供給が滞るとの見方が出たことが主な要因です。 その後、小麦の先物価格は、発表前を下回る水準まで急落するなど、ロシアによる今回の発表がウクライナ産の小麦の輸出にどのような影響を及ぼすか様々な見方が交錯し、乱高下しています。 ウクライナは 「ヨーロッパの穀倉」 とも言われ、FAO=国連食糧農業機関によりますと、2021年の小麦の輸出量は世界第5位となっています。 市場関係者は 「ロシアによる合意の履行停止の影響に加え、世界的な気温の上昇が、小麦の収穫に影響して需給が引き締まることも懸念されて小麦の先物価格は上昇しやすい状況にあり、先行きは不透明だ」 と話しています。 ■世界の食料事情に詳しい専門家の分析は 世界の食料事情に詳しい資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は、ロシアが合意の履行停止を発表したことについて 「ウクライナ産の農産物の輸出を巡る合意は、飢餓問題が深刻な中東や北アフリカ向けの輸出を増やす狙いがあったが、実際はウクライナからヨーロッパ向けの小麦の輸出が増えている」 「ロシアから見れば、自国産の穀物や化学肥料を思うように輸出できない中、貧しい国に行き渡っていないという不満があったのではないか」 と分析しています。 また、世界の食料供給への影響については 「世界の小麦の貿易量は年間2億トン余りで、このうち9400万トンを中東や北アフリカ諸国などが輸入している」 「輸入先の大半はウクライナやロシアなので、ウクライナからの輸入が滞ることになれば、再び価格が高騰し、食料事情が更に悪化する可能性がある」 と懸念を示しました。 日本への影響についても 「日本の主な輸入先であるアメリカやカナダは今、中西部で干ばつの傾向にあり、影響が懸念されている」 「国際的な穀物の取引価格の上昇も重なれば、輸入価格に影響していくことが考えられる」 と指摘しました。 その上で、日本が取るべき対応については 「日本は基本的に海外からの調達に依存し過ぎて農業の生産基盤が弱体化している」 「国内生産の強化や備蓄の拡大などを進めていくべきだ」 と話しています。 ■松野官房長官「ロシアの決定は極めて遺憾」 松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で 「ロシアの決定は極めて遺憾だ」 「決定が世界の食料供給にもたらす影響を懸念しており、状況を注視していく」 と述べました。 その上で 「世界の食料安全保障を確保していくため、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携しながら、ロシアが合意に基づく穀物輸出の枠組みに復帰し、再開されるよう強く求めていく」 と述べました。 ■林外相「負の影響はロシアが最終的な責任負うことに」 林外務大臣は閣議の後の記者会見で 「極めて遺憾で、非難する」 「ロシアの決定がもたらす負の影響は、ロシアが最終的な責任を負うことになる」 と述べました。 その上で 「国際的な枠組みを継続するため精力的に取り組んできた国連やトルコの努力を評価している」 「引き続き両者の取り組みを注視し、後押ししていきたい」 「ロシアが国際的な枠組みに復帰し、ウクライナからの穀物輸出が再開されるように強く求めていく」 と述べました。 ■野村農相「穀物の国際価格や食料供給への影響 懸念」 野村農林水産大臣は閣議の後の記者会見で 「日本は小麦の多くをアメリカやカナダから輸入している」 「このため我が国の穀物の供給量に直ちに支障が生じる状況にはない」 と述べました。 その上で 「ウクライナ産の農産物の輸出を巡る合意は、世界の食料市場の価格低下と安定化に大きく貢献しており、今回の履行停止により小麦やトウモロコシなど穀物の国際価格や世界の食料供給への影響が懸念される」 「引き続き、緊張感を持って対応していきたい」 などと述べ、今後の状況を注視する考えを示しました。 ウクライナ産農産物 輸出めぐる合意 ロシア「履行停止」と発表 2023年7月17日 20時34分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230717/k10014133631000.html ウクライナ産の農産物の輸出を巡る、ロシアとウクライナの合意について、ロシア大統領府は2023年7月17日、 「合意の履行を停止した」 と発表しました。 国連とトルコの仲介によって、2022年7月から続いてきた輸出の枠組みが停止された形で、世界的な食料危機への懸念が一層高まるとみられます。 ウクライナ産の農産物の輸出を巡っては、1年前の2022年7月に、トルコと国連の仲介で合意し、その後、合意期限は3度に渡って延長されました。 しかし、ロシア側はロシア産の農産物などの輸出が、欧米側の制裁措置によって滞っていると主張し、次の合意の期限が2023年7月17日に迫る中、期限の延長に応じない構えを示していました。 これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は2023年7月17日、 「合意の履行を停止した」 「残念ながらロシアの輸出に関する部分が、これまで履行されていない」 と述べ、ロシア側が合意の履行を停止したと発表しました。 その上で 「ロシア側の部分が履行されたら、直ちに、この枠組みでの合意の履行に復帰する」 としています。 また、ロシア外務省のザハロワ報道官は 「延長の反対について、ウクライナとトルコ、国連に正式に通知した」 としています。 合意の延長を巡っては、国連のグテーレス事務総長がプーチン大統領に書簡を送った他、トルコ政府もエルドアン大統領などが働き掛けを強めていましたが、2022年7月から続いてきた輸出の枠組みが停止された形で、世界的な食料危機への懸念が一層高まるとみられます。 ■ロシア外務省「具体的な結果を得られた場合のみ、再開を検討」 ウクライナ産の農産物をめぐるロシアとウクライナの合意の履行を停止したことについて、ロシア外務省は2023年7月17日、声明を発表しました。 このなかではロシア側が主張してきた農産物などの輸出について、制裁を受けているロシアの 「農業銀行」 が国際的な決済ネットワークであるSWIFTに再び接続することなどが実現できていないとして、欧米側の制裁措置を強く批判しています。 その上で 「ロシアは合意の延長に反対し、本日ウクライナとトルコ、国連に通知された」 「これは航行の安全を保証することの撤回や、イスタンブールに設置された船舶の航行を監視する機関、共同調整センターの解散などを意味する」 として、ウクライナ産の農産物輸出の枠組みについては期限が終了する2023年7月18日以降は、効力が停止されると主張しました。 更に、ロシア外務省は声明で 「約束や保証ではなく、具体的な結果を得られた場合のみ、ロシアは合意の再開を検討する用意がある」 としていて、ロシア産の農産物などの輸出が実現されない限りは、ウクライナ産の農産物を巡る合意に復帰することはないと強調しています。 ■農産物の輸出めぐる合意内容とは ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからロシア軍はウクライナ南部の黒海を封鎖するなどし、世界有数のウクライナ産の小麦やトウモロコシなどの農産物の輸出が滞り、世界的な食料価格の高騰が懸念されていました。 このため2022年7月、ウクライナとロシア、それに仲介役の国連とトルコの4者によってトルコのイスタンブールで締結されたのが、ウクライナ産の農産物の輸出を巡る合意でした。 合意内容にはウクライナの農産物を黒海に面した南部のオデーサなど3つの港から地中海へと繋がる決められたルートで運び出し、船が港を出入りする際にはウクライナ側が機雷が敷設されていない安全なルートに誘導することが盛り込まれています。 また、黒海の海上輸送の調整にあたる機関をイスタンブールに設置し、航行の安全を確保することなどが含まれています。 この合意は120日間有効で、双方から修正などの求めがなければ、自動的に同じ期間延長されるとしています。 しかし、ロシアは 「ロシア産の農産物の輸出が依然、制限されている」 として延長する期間を2か月に短縮すると主張し、2023年7月17日で2か月が経ち期限となることから、その後、延長されるかどうかが焦点となっていました。 ■トルコ沖合では航行の許可待つ船が滞留 ウクライナを行き来する貨物船の検査が行われてきたトルコの沖合では、航行の許可を待つ船が滞留しています。 トルコのイスタンブールに設置された船舶の航行を監視する機関、共同調整センターでは、ウクライナとロシア、それに仲介役の国連とトルコの担当者が合同で、ウクライナを行き来する船の検査を行っています。 しかし、2023年6月27日以降、ウクライナへ向かう貨物船の検査のための申請は認められず、合意の期限が迫る中、29隻の貨物船が検査を待っている状況です。 イスタンブールの沖合では、2023年7月17日もウクライナに向かうとみられる貨物船などが停泊している様子が確認されました。 共同調整センターによりますと、2023年上半期の検査数は減少傾向が続いていて、ウクライナ側は、ロシア側が意図的に積み荷の検査を遅らせ、多くの船がトルコの沖合に留まっているとして非難しています。 ■FAO ウクライナ代表“作付け転換する動きに懸念” FAO=国連食糧農業機関、ウクライナ事務所のボティエル代表はNHKのオンラインでのインタビューに応じ、ウクライナではロシアによる軍事侵攻の影響で、今期の小麦などの生産量は2022年に続いて減少する見通しだと指摘しました。 その上で、ボティエル代表は 「戦争によって、生産者が小麦や大麦から油をとるための作物などに作付けを変えている」 と述べ、ウクライナでは輸出が難しくなっている穀物から、別の農産物に作付けを転換する動きが出ていると指摘しました。 その上で、こうした傾向の影響について 「この状況は市場にネガティブなサインを送っている」 「この傾向はウクライナでは長期化するだろうし、懸念している」 と述べ、世界の穀物市場にマイナスの影響を与えかねないという見方を示しました。 ■輸出できずに国内滞留の穀物 約1000万トン 国連とトルコが仲介するウクライナからの農産物の輸出について、トルコのイスタンブールに設置された 「共同調整センター」 によりますと、2022年8月から2023年7月16日までにウクライナの3つの港からトウモロコシや小麦など3290万トンが輸出されたということです。 ピークだった2022年10月には420万トンに及んだものの、2023年6月は210万トンと、その半分にとどまっています。 一方、ウクライナの業界団体によりますと、輸出できずに国内に留め置かれたままとなっている穀物は、油をとるための種も含めておよそ1000万トンに上っているということです。 また、業界団体は、軍事侵攻前の2021年に3300万トンだった小麦の収穫量は、2022年は2020万トンとおよそ39%減少し、更に2023年は1790万トンと侵攻前からおよそ46%ほど落ち込むと予測しています。 トウモロコシについては、侵攻開始前の3760万トンから2023年はおよそ36%少ない2420万トンに落ち込むと予測しています。 世界有数の穀物の生産を誇ってきたウクライナで生産が一層減少することで世界的な食料価格の更なる高騰に繋がらないか懸念が広がっています。 ■エルドアン大統領「外交努力を続ける」 トルコのエルドアン大統領は2023年7月17日、ロシア大統領府がウクライナ産の農産物の輸出を巡る合意の履行を停止したと発表したことについて、 「合意の延長に向けた外交努力を続けている」 「ロシアとトルコの外相が電話で会談し、私もプーチン大統領と電話で話す」 「2023年8月にはプーチン大統領をトルコに迎えたい」 と述べ、ロシアへの働き掛けを続ける考えを強調しました。 その上で、 「プーチン大統領も合意の継続を望んでいると信じている」 と述べ、仲介役として合意の継続に期待を示しました。 ■国連事務総長「非常に残念だ」 ロシアとウクライナの仲介にあたってきた国連のグテーレス事務総長は2023年7月17日、ニューヨークの国連本部で急遽記者会見し、ロシアが、ウクライナ産農産物の輸出を巡る合意の履行を停止したと発表したことについて 「非常に残念だ」 と述べました。 グテーレス事務総長は、この合意によって輸出された食料が飢餓に苦しむ世界各地の人々を救ってきたとした上で、 「ロシアの決定は、困窮している全ての人たちに打撃を与えるだろう」 と指摘しました。 また、プーチン大統領に宛てて書簡を送り、合意延長に向けた提案を伝えたものの受け入れられなかったことについて、 「深く失望している」 と述べました。 一方、今後については 「我々が取り組みをやめることはない」 「解決への道筋を見い出すことに全力を注ぐ」 と述べ、国連として事態打開のための仲介を続ける考えを強調しました。 ■EUは強く非難 ロシア大統領府の発表についてEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長はツイッターに投稿し 「ロシアの身勝手な行動だ」 と述べて強く非難しました。 その上で 「世界の弱い立場の人たちの食料安全保障のためEUは対応している」 として、ウクライナ産の農産物をEU域内の港から輸出するという支援の取り組みを続ける考えを強調しました。
[12初期非表示理由]:管理人:スレ違いの長文多数のため全部処理
|