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ヨーロッパを破壊しているNATOを自国に引き込もうとしている日本という国
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202307100000/
2023.07.10 櫻井ジャーナ
NATOは東京連絡事務所を2024年中に設置するとされているが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はその計画を承認しなかったという。NATOとは北大西洋条約機構を意味するのであり、「北大西洋地域の安全保障」を維持することが目的だという理由からだ。
すでにNATO軍はユーゴスラビアを攻撃、アフガニスタンへ部隊が派遣されているが、東アジアまで手を広げるべきでないという主張なのだろうが、イェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。
NATOの初代事務総長でウィンストン・チャーチルの側近だったヘイスティング・ライオネル・イスメイによると、NATOを創設した目的はソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることのあった。実際のところ、第2次世界大戦後のヨーロッパをアメリカとイギリスが支配する仕組みだ。
現在、世界規模でアメリカ離れが進行している。中東やアフリカだけでなく、東アジアやラテン・アメリカでも見られる現象だ。東アジアでは日本、韓国、台湾、フィリピンをアメリカは確保しようとしているものの、日本以外は国内に反対勢力が存在している。
そこで創設されたのがAUKUS、つまりオーストラリア(A)、イギリス(UK)、アメリカ(US)の軍事同盟だ。2021年9月にオーストラリアがイギリスやアメリカとAUKUSを創設したと発表している。それにともない、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。
NATOはアメリカとイギリスがヨーロッパを支配するために創設されたが、東アジア版はユーラシア大陸の東側を支配する仕組みとして想定されているはずだ。
しかし、この支配システムはウクライナで破綻した。ロシアを過小評価した結果だ。
例えば、外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとされている。
実は、この分析が間違っていることは2008年8月に判明している。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京で夏季オリンピックが開かれていた期間を狙い、南オセチアを奇襲攻撃したのだが、完膚なきまで叩きのめされた。
イスラエルは2001年からジョージアに武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練しはじめている。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなども含まれていた。
当時のジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたりいたことも知られている。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。
そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、同年7月にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。南オセチアへの奇襲攻撃はその翌月だ。アメリカ政府の承認を受けての奇襲攻撃だったのだろう。
アメリカはアル・カイダ系武装集団を使い、2011年春にリビアやシリアへ軍事侵攻、13年11月から14年2月にかけてウクライナではクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。このクーデターでアメリカ政府はネオ・ナチを使っている。
ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部の住民はクーデターを拒否し、南部のクリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは内戦が始まった。オデッサではクーデターに反対していた住民をネオ・ナチの集団が虐殺している。
内戦ではドンバス軍が優勢で、アメリカ/NATOはキエフ体制の軍事力を強化する時間が必要だった。そこで結ばれたのがミンスク合意。ドイツやフランスが仲介したのだが、アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。
その後、8年をかけてアメリカ/NATOはクーデター政権に兵器を供給、兵士を訓練、ドンバスの周辺に要塞線を築いた。アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリや岩塩の採掘場があるソレダルの要塞は特に有名だ。ここにはソ連時代、核戦争に備えて地下施設が建設されていたという。
アメリカ/NATOの支援を受けたウクライナ軍は昨年2月、ドンバスに対する軍事侵攻に備えて部隊をドンバス周辺に集結させていた。その部隊が動く直前にロシア軍は集結していたウクライナ軍や軍事施設、そして生物兵器の研究開発施設を攻撃、破壊した。
その段階でウクライナ軍の敗北は決定的だったのだが、すでにルビコンを渡っていたジョー・バイデン政権はウクライナで勝たなければならない。そこでウクライナ政府にロシア政府と停戦交渉をするなと命令した。この辺の経緯は本ブログでも繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。
そして先月上旬にウクライナ軍は「反転攻勢」を試みる。言うまでもなくアメリカやイギリスの命令だ。ロシア軍はウクライナ軍の攻撃に備えて二重、三重の防衛線を構築していた。地雷原だけでなく、戦車の走行を妨害する障害物、監視施設、砲兵による支援などで構成され、航空兵力も準備されているのだが、これをウクライナ軍が突破するのは困難だと見られていた。実際、その予想通りになっている。
ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相が言うように、ウクライナの軍事的努力は絶望的であり、これ以上の援助を送ることは死者を増やすだけである。バイデン政権に残された手段のひとつはアメリカが得意とする偽旗作戦を実行し、NATO軍を前面にだしてロシア軍と戦わせる、つまり第3次世界大戦を始めることだが、それに同調するNATO加盟国が多いとは思えない。
ヨーロッパにおいてNATOは疫病神的な存在だ。その疫病神の連絡事務所を自国に設置させようという日本の政府が正気だとは思えない。
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