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ウクライナ反転攻勢でもロシアは全面撤退しない ゼレンスキー大統領が目指すべき“戦争終結の落とし所”/マネーポストWE
マネーポストWEB によるストーリー • 昨日 7:15
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E5%8F%8D%E8%BB%A2%E6%94%BB%E5%8B%A2%E3%81%A7%E3%82%82%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AF%E5%85%A8%E9%9D%A2%E6%92%A4%E9%80%80%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84-%E3%82%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E3%81%8C%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D-%E6%88%A6%E4%BA%89%E7%B5%82%E7%B5%90%E3%81%AE%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%97%E6%89%80/ar-AA1cmajo?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=37d09af2617e4eaab6e5bb6e7f832e9f&ei=11
終結の兆しがいまだ見えないウクライナ戦争。ロシア国内からは「ウクライナとの戦争で、ロシア経済は疲弊している」という声も聞こえてくるという。ウクライナも反転攻勢に出ようとする中、経営コンサルタントの大前研一氏は「ゼレンスキー大統領から停戦・和平への道を模索した方が良い」と提言する。その真意ついて、大前氏が解説する。
ウクライナ戦争の出口は全く見えない。米欧から兵器の供給を受けたウクライナが近く大規模な反転攻勢に出るとされ(本稿執筆時点)、今後はウクライナ側が優勢になる可能性がある。実際、ゼレンスキー大統領は「今年、侵略者の敗北を不可逆的なものにできる」と意気軒昂だが、たとえウクライナの反撃が奏功したとしても、ロシアを全面撤退に追い込むことはできないと思う。
なぜなら、親ロシア派が支配する東部のドネツク州とルガンスク州をウクライナが完全に制圧することは難しいだろうし、南部のヘルソン州とザポリージャ州も、仮に全域を取り返したとしても、両州を流れるドニプロ川は幅が最大16kmもあるので、防御を維持するのは至難の業だと思うからだ。クリミア半島もロシア系の住民が7割を占めるので、再びウクライナが支配することはできないだろう。
そのように考えると、ウクライナは今こそ「停戦」に持ち込むべく、東部2州の親ロシア派支配地域に「特別な地位」を与える2014年の「ミンスク合意【※】」に戻るべきだと思う。
【※ミンスク合意/2014年に勃発したウクライナ東部紛争を巡る和平合意。その内容は「包括的な停戦」「東部の親ロシア派支配地域に“特別な地位(高度で幅広い自治)”を与える恒久法の採択」、「ウクライナからの外国部隊の撤退」「ウクライナ政府による国境管理の回復」など】
つまり、東部についてはウクライナからの独立を一方的に宣言した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」に高度な自治を認め、クリミア半島および南部2州のドニプロ川以南の奪還も諦めて停戦を目指すべきだと思うのだ。
南部はドニプロ川を朝鮮半島の「38度線」のような停戦ラインにして、そこから南北2kmずつを非武装地帯にするという方法が、戦争終結の落としどころではないかと思う。
ロシア“第3の核”阻止が最優先
これから何よりも危惧すべきは、劣勢になったロシアが「核」を使用することだ。都市を壊滅させるような大規模な破壊能力を持つ「戦略核」までは使わないにしても、個々の戦場で敵の軍事拠点などに限定して使用する「戦術核」については、プーチン大統領が同盟関係にある隣国ベラルーシに配備すると決定している。しかし、ロシアが戦術核を使用したら、米欧も報復攻撃に踏み切り、核戦争に突入しかねない。
そこでロシアは、核兵器を使わず、それに相当する被害を与える方法を考えているかもしれない。すでに占拠しているザポリージャ原子力発電所に爆弾を仕掛け、放射性物質を使ったテロ行為を準備している可能性があると報じられている。
もし、6基の原子炉があるザポリージャ原発をロシア軍が撤退時に遠隔操作で爆破したら、大量の放射性物質がウクライナ全土とヨーロッパに撒き散らされる。「戦略核」でも「戦術核」でもないが、甚大な被害を生む“第3の核兵器”だ。
今回、広島を訪れたゼレンスキー大統領は「現代の世界に核による脅しの居場所はない」としてプーチン大統領の核使用を牽制したが、どんな核攻撃も絶対に阻止しなければならない。そのためにも、まずは前述のような着地点で停戦にこぎつけ、ウクライナの復興・再生に向かうべきなのだ。
そして、停戦後しばらくしたら、ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)とEU(欧州連合)への加盟を目指せばよい。そうやってウクライナが米欧との同盟関係を強化すれば、ロシアの再侵攻は難しくなる。それでも5年後、10年後には再び局地的な紛争が起きるかもしれないが、とにかく和平を実現することが、今後のゼレンスキー大統領の最も重要な責務だと思う。
一方のプーチン大統領は、東部2州の親ロシア派支配地域と南部2州のドニプロ川以南を獲得すれば、「本当の戦争に勝利した」と宣言できて面目を保てる。だが、もはや彼に求心力はないし、健康面の不安も取り沙汰されているから、遠からず退陣することになるだろう。
元コメディ俳優のゼレンスキー大統領は、“第1幕”でミンスク合意を反故にしてロシアの侵攻を招いた。“第2幕”では戦時の指導者としてよくやってきたが、このまま徹底抗戦を続け、クリミア半島まで奪還すると主張していたら戦争がいっそう泥沼化するだけであり、着地点が見えない。
だから“第3幕”ではシナリオを変え、一刻も早い停戦・和平への道を模索するという役割を演じなければならないと思うのである。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『世界の潮流2023〜24』(プレジデント社刊)など著書多数。
※週刊ポスト2023年6月23日号
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