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ウクライナ軍「史上最大の作戦」カウントダウン…ロシア軍の防衛ラインを突破できるのか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/323678
2023/05/29 日刊ゲンダイ
領土奪還に全力(ウクライナのゼレンスキー大統領)/(C)JMPA
ウクライナ軍が反転攻勢に打って出る。同軍のザルジニー総司令官は27日、通信アプリ「テレグラム」に「われわれのものを取り戻す時が来た」とのメッセージと共に、戦場に向かうウクライナ軍の動画を投稿。軍のトップが大規模な反転攻勢の開始を表明したのは初めてとみられる。
ウクライナのダニロフ国家安全保障国防会議書記も27日放送の英BBCへのインタビューで、反転攻勢について「あす、あさって、または1週間以内にも起こり得る」と明言。近いうちに反攻開始に踏み出す可能性があるが、問題はロシア軍の防御を突破できるかどうかだ。
カギを握るのが、ロシア軍がウクライナ東部から南部まで約1000キロにわたって築いた塹壕の攻略。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏がこう解説する。
「ロシア軍はウクライナ軍の戦車の前進を阻むために、防衛ラインを二重、三重に構築しています。対戦車用に深さ約2.5メートルの溝を掘り、その溝を戦車が越えてきても破壊できるように対戦車用地雷を敷設。さらに『竜の歯』と呼ばれる、四角錐の形をした鉄筋コンクリート製の障害物などをいくつも並べています。ウクライナ、ロシア両軍とも互いに制空優位な状況ではないため、ウクライナ軍は大々的に地上戦を展開する他ない。防衛ラインの攻略に向けてさまざまな作戦プランを練っているでしょう」
大規模な反攻は「1回」が限度
投稿された動画(ウクライナ国防省のツイッターから)
幾重にも張られた防衛網に正面突破で挑んだのでは玉砕してしまう。「陽動作戦」が肝になりそうだ。
「ウクライナ軍は昨夏、ウクライナ南部への攻勢を強めつつ、ロシア軍が混乱しているスキを突いて東部の要衝を奪還しました。ウクライナ側に立つ『ロシア義勇軍団』や特殊部隊などによるロシア国内の破壊工作と連動して、電撃作戦を遂行することも考えられます。防衛ラインの1カ所でも穴をあけることができれば、ロシア軍の補給路を寸断し、大打撃を与えることができるかもしれません」(世良光弘氏)
ウクライナ軍にとって、今回の作戦は「逃すことのできない歴史的な機会」(ダニロフ書記)。1度きりの大勝負だ。
「いくら西側諸国から財政支援や武器支援を受けているといっても、人員も戦車も数は限られます。大規模な反転攻勢は1回が限度でしょう。非ステルス戦闘機『F16』が実戦に投入されるのは来年でしょうし、投入されたとしても、ロシア軍を圧倒できるほどのゲームチェンジャーではない。この反転攻勢が今後の戦局を占うといっても過言ではありません」(世良光弘氏)
ウクライナ軍による「史上最大の作戦」が始まる。
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