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イギリスはウクライナへ劣化ウラン弾を供給、環境を汚染する
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202305010000/
2023.05.01 櫻井ジャーナル
イギリスのジェームズ・ヒーピー国防閣外大臣は4月25日、同国がウクライナへ供給した「チャレンジャー2」戦車と劣化ウラン(DU)弾はすでにウクライナ軍の管理下にあり、イギリス国防相は発射地点を監視していないことを明らかにした。チャレンジャー2は劣化ウラン弾を発射できる。
劣化ウラン弾は2003年3月にアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した際、問題になった。この攻撃に参加したのはアメリカ軍24万8000人のほかイギリス軍4万5000人、オーストラリア軍2000人、ポーランドの特殊部隊GROMの隊員194名、そしてクルドの武装集団ペシュメルガから7万人だとされている。
こうした侵略軍によってファルージャでは大量殺戮が実行されたが、その際に劣化ウラン弾が使われたという。その後、ファルージャやバスラでは新生児に奇形や脳の障害などが多発しているという報告がある。環境汚染毒物学紀要という専門誌に掲載された論文によると、ファルージャで2007年から10年にかけて生まれた新生児の場合、半数以上に先天性欠損があったという。1990年代以前には2%以下、2004年に占領軍から攻撃される前は約10%だとされている。
バスラの産院における先天性欠損の割合は、1994年から95年にかけて1000人のうち1.37人だったが、2003年には23人、そして2009年には48人に増えている。また、ファルージャやバスラの子どもたちの頭髪から鉛が通常の5倍、水銀が通常の6倍と異常に高いともいう。そうした原因は劣化ウラン弾だと一般的には言われている。劣化ウラン弾が環境を汚染し、放射能障害を引き起こすことは間違いないだろう
しかし、それ以外の原因もあると考える人がいる。例えば、2011年10月にファルージャを調査したウルスター大学のクリストファー・バスビー教授によると、そこで濃縮ウラニウムを人の髪の毛や土の中から検出したと語っている。
2006年7月から9月にかけてイスラエル軍はレバノンを軍事侵攻したものの、ヒズボラに敗北。その際にイスラエルが誇るメルカバ4戦車も破壊された。それ以降、イスラエルはミサイルや航空機での攻撃が主体になる。その侵攻作戦の直後にバスビー教授はレバノンへ入った。
バスビーは残されたクレーターを調査、その中で濃縮ウラニウムが見つかったという。レバノンやガザを走っていた自動車のフィルターからもそうした物質が発見されたという。劣化ウラン弾ではなく、濃縮ウラニウムを使う兵器が利用された可能性がある。
これに対し、ロシア軍は4月から最新鋭戦車のT-14をドンバスへ配備し始めたようだ。弾道弾の射程は7キロメートル、ATGM(対戦車誘導ミサイル)を使用する場合は12キロメートルだと言われ、性能はNATOの戦車を上回る。しかもロシア軍の戦車は航空兵力の支援を受けられるが、ウクライナ軍は困難だ。劣化ウラン弾で戦況を変えることはできない。単に環境を汚染するだけだ。
昨年11月、シュピーゲル誌はドイツ軍がロシアとの戦争の準備をしているとする記事を掲載した。ドイツ軍のエバーハルト・ツォルン参謀総長が「軍隊の作戦ガイドライン」と題された秘密の草案を作成。ロシアを「差し迫った脅威」だとし、ドイツ軍はこの時点でロシア軍との戦争を準備し始めたとみなされている。
アンナレーナ・ベアボック外務大臣は昨年8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言して非難され、欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と公言している。
西側では「反転攻勢」が宣伝されているが、すでにアメリカ/NATO軍は武器弾薬が枯渇。武器弾薬が十分にあり、戦力が温存されているロシア軍に「反撃」することは難しい。
2014年2月にバラク・オバマ政権はネオ・ナチを利用したクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を2014年2月に倒したものの、クリミアやドンバスを制圧できない。ロシア軍の生産力と戦闘能力を見誤り、アメリカ/NATOの敗北は決定的だ。ウクライナが「反転攻勢」することはできそうにない。
そうした中、中国が「停戦」を実現しようと動いている。アメリカのメンツを潰さずに戦闘を終えるシナリオを考えているのだろう。ウクライナはロシアからEUへ天然ガスや石油をウクライナ経由で運んでいたが、中国の「一対一路(BRI)」もウクライナを通過する。ウクライナのクーデターは19世紀から続く長期戦略に基づいているが、短期的にみるとロシアのパイプライン、中国のBRIが重要なファクターだろう。
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