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敗北を見えなくするため、ネオコンはウクライナでの戦乱を継続させる
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202304230000/
2023.04.23 櫻井ジャーナル
シリアに続き、ウクライナでもネオコンはロシアに敗北した。その事実を誤魔化すために戦闘の継続は有効なのだろう。そのためにアメリカ政府はウクライナのクーデター政権に対する軍事支援を継続しようとしているが、その結果、戦場になった国の人びとは破壊と殺戮の犠牲になる。
2010年の大統領選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領をアメリカのバラク・オバマ政権が2014年2月、ネオ・ナチを使って排除したところからウクライナでの戦乱は始まる。
そのクーデターは2013年11月からキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で始まった抗議集会から始まるが、当初は「カーニバル」的なイベントにすぎず、問題はないように見えた。様相が一変するのは年明け後。ネオ・ナチが前面に出てきたのだ。
ネオ・ナチのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ、トラクターやトラックを持ち出してくる。ピストルやライフルを撃っている様子を撮影した映像がインターネット上に流れた。
ユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われた。西側ではこの狙撃はヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、逆のことを報告している。バイデン政権を後ろ盾とするネオ・ナチが周辺国の兵士の協力を得て実行したということだ。
7割以上の有権者がヤヌコビッチを支持していたウクライナの東部や南部では反クーデターの機運が高まり、クーデターから間もない3月16日にはクリミアでロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施された。投票率は80%を超え、95%以上が賛成する。
その一方、オデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチに虐殺される。そうした中、5月11日にドネツクとルガンスクでも住民投票が実施された。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われたのだが、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)している。この結果を受けて両地域の住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は動かない。そして戦闘が始まった。クリミアやドンバス(ドネツクとルガンスク)を制圧できなかったのはアメリカ/NATOにとって大きな誤算だった。
当時、軍や治安機関にもネオ・ナチ体制を許するメンバーは存在、ドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そうしたこともあり、ドンバスでの戦闘は反クーデター軍が優勢だった。
そこでドイツやフランスが仲介するかたちで成立したのがミンスク合意だが、キエフのクーデター政権は守らない。アメリカ支配層のやり口を知っている人びとはこの合意について時間稼ぎに過ぎないと言っていたが、その推測は正しかった。アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューで認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。
それから8年、アメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を増強、ソレダルでは岩塩の採掘場を利用して全長200キロメートルという「地下要塞」が築かれたが、同じようの要塞はドンバスの周辺に広がっているようだ。ドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺し始めればロシア軍が介入、それを迎え撃つための地下要塞だと推測する人もいる。
この推測が正しいなら、相当数のロシア軍がドンバスで足止めを食うことになり、クリミアが攻撃されても兵力を割けないということも想定できる。2014年にクーデターがあった直後、ウラジミル・プーチン大統領の側近のひとりはアメリカ/NATOがドンバスを攻撃した後、クリミアへ軍事侵攻するとテレビの討論番組で語っていた。
ウクライナ軍は昨年3月にドンバスへの軍事侵攻を始める予定だったと言われているが、その直前にロシア軍が動く。地上部隊を投入するのではなく、ミサイルを打ち込んだのだ。地上では現地部隊のほか、チェチェンの義勇軍や傭兵会社ワグナー・グループが主に使われている。
ドンバスを攻撃するために集結していたウクライナの軍や親衛隊はミサイル攻撃で大きなダメージを受け、要塞化された拠点も陥落していった。
親衛隊の中核だったアゾフ特殊作戦分遣隊(通称、アゾフ大隊あるいはアゾフ連隊)が拠点にしていたマリウポリもそうした要塞のある場所だったが、ロシア軍か介入した翌月になると親衛隊の人質になっていた住民が解放され始め、実態を証言、それを現地に入っていたジャーナリストが伝える。(例えばココやココやココやココ)
その前から、脱出した市民がマリウポリにおけるアゾフ大隊の残虐行為を証言、映像をツイッターに載せていた人もいた。その人のアカウントをツイッターは削除したが、一部の映像はインターネット上に残っている。
フリーランスのジャーナリストのほか、フランスの有力メディアTF1やRFI、あるいはロシアやイタリア人の記者とマウリポリへ入ったとしている。その結果、西側の有力メディアが流す「報道」が偽情報、あるいは作り話だということが明らかになっていく。ウクライナのクーデター体制を支援している西側の私的権力はそうした情報をインターネット上から必死に消してきたが、人びとの気をくすべてを消し去ることはできない。
西側の有力メディアがどのように情報を改竄するかの具体例も明らかにされた。例えば、昨年3月9日にマリウポリの産婦人科病院が破壊された攻撃の場合、西側メディアはロシア軍が実行したと宣伝してた。
その宣伝でアイコン的に使われたマリアナ・ビシェイエルスカヤはその後、報道の裏側について語っている。彼女は3月6日、市内で最も近代的な産婦人科病院へ入院したが、間もなくウクライナ軍が病院を完全に占拠、患者やスタッフは追い出されてしまう。彼女は近くの小さな産院へ移動した。最初に病院には大きな太陽パネルが設置され、電気を使うことができたので、それが目的だろうと彼女は推測している。
そして9日に大きな爆発が2度あり、爆風で彼女も怪我をした。2度目の爆発があった後、地下室へ避難するが、その時にヘルメットを被った兵士のような人物が近づいてきた。のちにAPの記者だとわかる。そこから記者は彼女に密着して撮影を始めた。彼女は「何が起こったのかわからない」が、「空爆はなかった」と話したという。
つまりロシア軍の空爆ではなかったということだが、APだけでなく西側の有力メディアはロシア軍の攻撃で産婦人科病院が破壊され、母親と乳児が死傷しているというストーリーにされてしまった。
問題の病院から患者やスタッフがウクライナ軍に追い出されたことはマリウポリから脱出した市民も異口同音に語っている。その部隊はおそらくアゾフ連隊だろう。脱出した市民によると、脱出しようとした市民をネオ・ナチは銃撃、少なからぬ人が死傷したという。また市民の居住空間に入り込み、ロシア軍の攻撃を避けようとしてきたともしている。
ドイツの雑誌「シュピーゲル」はマリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出した住民のひとり、ナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたのだが、すぐに削除する。ショルツ内閣や米英の政権にとって都合の悪い事実、つまり残虐なウクライナの占領軍からロシア軍が救い出してくれたと話しているからだ。(ノーカット映像)
こうした住民の証言を利用し、固有名詞を入れ替えて話を逆にし、ロシア軍を悪者にする「報道」を続けている西側の有力メディアはまだ存在するようだ。
2014年のクーデターで内戦をウクライナで始め、アメリカ/NATO軍とロシア軍を衝突させようとしてきたのはネオコンにほかならない。そのネオコンは遅くとも1992年初めにはアメリカの国防総省を制圧、2001年9月11日の出来事で圧倒的な力を持った。
統合参謀本部は支配しきれていないようだが、国務省やCIAは影響下にあり、宣伝機関として有力メディアも支配している。その有力メディアとも関係するが、多くのシンクタンクも支配されている。そうした仕組みによって人びとに幻影を見せ、彼らは世界を戦乱で破壊しようとしているのだ。
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