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http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-1366.html
※画像等はリンク先参照。
ウクライナにおける人身/臓器の売買についての調査報告(第3部)
<記事原文 寺島先生推薦>
“When You See It, You Won’t Forgive”: Part III of an Investigative Report on Human Trafficking in Ukraine
https://libya360.wordpress.com/2023/02/28/when-you-see-it-you-wont-forgive-part-iii-of-an-investigative-report-on-human-trafficking-in-ukraine/
「それを見れば、だれも許さないだろう」:ウクライナにおける人身売買についての調査報告(第3部)
筆者:デボラ・L・アームストロング(Deborah・ L・Armstrong)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2023年2月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年3月29日
写真:New Eastern Outlook
年が明けて間もない2023年1月14日、ウクライナの首都キエフで行われた大規模な抗議活動の動画がSNSで拡散され始めた。抗議者の大半は女性だが、中には男性の姿も確認できる。女性たちは、ウクライナ軍第24師団の未亡人や妻たちであることが確認されている。
キエフにおける抗議者たちが、愛する者の遺体返却を求めている
抗議者たちは、埋葬するために兵士の遺骨を返せ!と要求している。主に英語で書かれたプラカードを持っている。いくつかのプラカードには、民族主義的なウクライナのシンボルであるガリシア獅子(第2次世界大戦中のSSのシンボル)も描かれている。デモ隊は「スラバ・ウクライナ!スラバ・ゲロヤム!」 と叫ぶ。これは、「ウクライナに栄光あれ!英雄に栄光あれ!」という意味だ。
ウクライナ国旗の色をした黄色と青の煙が放出され、唱和するデモ隊の上を漂い、10万人のユダヤ人、ポーランド人、そしてロシア人を虐殺した大量殺人者ステパン・バンデラの指示の下、第2次世界大戦でナチスと協力したウクライナ反乱軍OUN-Bの旗を象徴する赤と黒の煙と混ざり合っている。
愛する者の遺品返却を求めるキエフの女性たち。写真:Ruptly/zpnews.ru
他の動画では、女性たちが行方不明の夫、息子、父親、兄弟の写真を掲げている。なぜ、この人たちはみんな行方不明なのだろう? 戦死したのか、ロシア軍の捕虜にされたのか。彼女たちは、ロシアに愛する人の遺体を返すよう要求しているのだろうか? もしそうなら、なぜ彼女たちのプラカードは英語なのだろう? なぜロシアについては何も言われないのだろうか...?
それとも、デモ隊は、すべて愛国心という前提条件で注意深い枠組みを作りながらも、(実際は)自分たちのウクライナ政府に対して、声明を出しているのだろうか?
ウクライナにおける人身売買に関する私の調査報告書第1部、第2部をお読みいただいた方は、必ずしも同意していないウクライナ兵や民間人からの臓器摘出を目撃した、あるいは参加したと主張する人々の証言をすでにお読みになっているはずだ。
戦場での臓器狩りが、少なくとも1990年代後半から行われていたことは、2009年の欧州評議会(PACE)のディック・マーティ副議長による「コソボにおける人々に対する非人道的な扱いと違法な臓器売買」報告書で、すでにお読みいただいた通りだ。そして、戦場での臓器狩りは少なくとも1990年代後半から行われていたことは、ロシア内務大臣顧問のウラジミール・オフチンスキー博士によれば、コソボで移植プログラムの先頭に立った同じ人たちが、現在ウクライナで移植作業を指揮していると言われていることも、お読みいただいた通りだ。
ウクライナでこのような事業がより円滑に行われるためには、何が必要なのだろうか。第1部の証言者によると、ドナーの体から臓器を取り出して搬送するまでの時間は最短で7分、外科医は、実質的にはベルトコンベアのように遺体を処理しなければならないので、スピードが重視されるとのことだ。
おそらく、ウクライナの法律を改正すれば、この手順をより効率化し、本人がすでに亡くなっている場合の同意の必要性など、お役所仕事の一部を切り捨てることができるだろう。ロシアがウクライナ国境を越え、2022年2月24日に特別軍事作戦(SMO)を開始するわずか2カ月前の2021年12月16日、まさにそのようなことが起こっていた。
ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ国会)写真: Spzh.news
ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ国会)の305人の議員が投票し、法案No.5831を可決、ゼレンスキー大統領が署名し、翌日から施行された。同法案の全文(ウクライナ語)「人体解剖学的材料の移植を規制するウクライナの特定の立法行為の改正について」、同法案の要約は、ウクライナ国会のウェブサイトから閲覧できる。
2021年の法律では、書面による同意がない場合でも、故人から臓器を摘出することができ、故人の場合は同意が義務づけられなくなった。さらに、書面による同意には、認証や公証人の署名が不要となった。ドナーは権限を与えられた移植コーディネーターに同意を与えることができ、同意は電子的な形式で行うことができる。
故人の同意がない場合、移植コーディネーター(取次人)は、故人の配偶者、または両親、兄弟、子供などの近親者から同意を得ることになっている。家族が見つからない場合、コーディネーターは故人を埋葬した人から同意を得ることができる。故人となった軍人の場合、部隊長が兵士の臓器摘出に同意することができる。
この法律は、また、内縁の配偶者は、故人の臓器摘出を妨げることができないことを明確にし、内縁の配偶者や代理家族などに同意を与えるための、親族に属さないひとに権威を与える人物の権利を奪っている。
ウクライナの国民健康・医療・健康保険委員会の委員長であるミハイロ・ラドゥツキーによると、死後の臓器提供の同意は、 Diia事業として知られるアプリを介して電子的に行うこともできるようになった。
ラドゥツキーは2021年にTelegram*で、この法律が「ドナーと受容者の適正を照合するアルゴリズムを改善し、臓器摘出の意思決定ができる人の範囲を拡大し、試験的移植事業から医療保証事業による2023年からの資金提供への移行を確立する」と書いた。さらに、2019年にはウクライナで78件の臓器移植が行われ、2021年末までに250件の手術が計画されていると指摘した。
* ロシア人技術者が2013年に開発し、現在はTelegram Messenger LLPが運営しているインスタントメッセージアプリケーションである。 スマートフォンのモバイルアプリケーションとして無料で利用できる。(ウィキペディア)
国民保健・医療・健康保険委員会委員長のミハイロ・ラドゥツキー。写真:ヴェルホーヴナ・ラーダ
つまり、この法律は、条文を読めばわかるように、故人の同意なしに、簡単に臓器を摘出することができる。戦闘が激しく混乱し、近親者の所在が不明な戦場において、それがどのように機能するかは、想像に難くない。特に、ある情報筋によれば、戦場では遺体は150ドルから200ドルで売られ、たった1つの遺体から採取された臓器の総額は1000万ドルに達することもあるそうだ。
さらに、ロシアのメディアやロシアのブログなどで、ウクライナ東部の人々が臓器をすべて摘出されて大量に埋葬されたとの報道が多数なされている。このような話は西側では嘲笑され、「ロシアの偽情報」として退けられるが、びっくりするほど多くの報道がある。
セルゲイ・ペレホドというブロガーは、国籍は不明だが(おそらくロシア人かウクライナ人)、2014年だけで起こった悲惨な発見のリストをまとめている。以下は、彼が指摘した残虐行為の一部である:
1. 9月24日、ドネツク人民共和国(DPR)の民兵は、ロウアー・クリンカとコムナールの集落で墓を発見し、そのうちの2つの墓には撃たれた男女の遺体が、3つ目には内臓のない40人の遺体があったことにショックを受けた。実際、アメリカ資本の『モスクワ・タイムズ』でさえ、このことを報道したほどである。
2. 5月5日、ウクライナでは「兵士の臓器が大量に摘出されている 」という噂が飛び交った。公式発表では、死者5名、負傷者12名と発表されたが、救急車の出入りが激しく、犠牲者はその2〜3倍は、いたのではないかと思われるほどだった。実際、少なくとも48人が労働組合ビルに追い込まれ、生きたまま焼かれたり、撃たれたり、殴り殺されたりしたオデッサ大虐殺は、そのわずか3日前の5月2日に起きており、この連載の第1部に登場する目撃者の一人は、この大虐殺後に多くの臓器を採取した、と言っている。
3. 5月20日、カラチュンの丘付近で夜間偵察活動中の民兵が、「腹が引き裂かれた」ウクライナ国家警備隊兵士180人の遺体を発見した。少し離れたトロイツク墓地付近では、さらに300体の遺体が発見され、埋葬されず、臓器が取り除かれていた。地元の人々は、赤十字の車や専門的な機器を持った外国人医師を見たと報告している。ウクライナのメディアはその日、カラチュンの丘で激しい戦闘があったことを報じたが、ロシアのメディア以外ではほとんど確認できない。
4. 6月28日、対テロ作戦地域(ATO)の情報筋は、ルガンスク地方のルビズネ近郊で内臓のない人々の墓を発見したと報じた。情報筋は、ウクライナ東部で「特殊集団」が活動しており、人間の臓器の売買に従事していると指摘した。
その最後の日に発見された集団墓地についての裏付けとなる記事は見つからなかった。しかし、2021年、ドンバス在住のラッセル・ベントレーは、ルガンスクのその同じ地域で200体の遺体が掘り起こされたときに立ち会い、彼らは2014年の夏、戦闘が激しくなったときに殺害されてそこに埋められたと書いている。
2021年、ドネツク郊外で発見された集団墓地の現場にいるDPRの民兵隊員。[出典:RT.com]
ラッセル・ベントレーを信じるべき? そのブロガーの言葉を信じるべきか? どんなブロガーでも信じるべきなのだろうか? 主流メディアが日常的に嘘やだまし、誤導をし、本当のニュースから私たちの注意をそらす今日、おそらく誰も信じることはできないだろう。
チップ・ボックの漫画: Yahoo news
いずれにせよ、ウクライナの集団墓地には、内臓を切り取られた兵士や民間人の遺体があるという恐ろしい話が、インターネット上に溢れている。そして、これらの話の1つでも、何か真実に基づいているのであれば、深く調べる価値がある。
2022年12月、Telegramに、そしてRumble(無料動画サイト)に、ロシア語を話す正体不明の男性が、ウクライナのハリコフ州の都市イジュームで目撃した残虐行為を説明する動画が登場した。彼は20代後半から30代前半に見え、尋ねる人によっては、ロシア空挺部隊、あるいはスペツナズと思われる空色のベレー帽を被っている。ベレー帽にはソ連の赤い星が付いていることから、彼はロシアの正規軍ではなく、ドンバス離脱人民共和国の民兵の一人ではないかと思われる:
彼のことはココ(英語字幕付き)で見られる。
ロシア軍がウクライナ人の子どもの臓器狩り作戦を暴く
ウクライナで起こっている恐怖の実録。子どもからアドレノクロム*や臓器を摘出することは・・・
* アドレナリンの酸化によって生成される分子式C₉H₉NO₃の化合物。誘導体のカルバゾクロムは止血薬として用いられる。化学名は類似しているがクロムとは無関係である。 (ウィキペディア)
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イジュームで子どもの臓器狩りが行われていると語るロシア語話者の男性
「その集団は、わかったのですが、イジューム周辺に子供たちを集めていたんです」と、ロシア側が発見したことに言及して彼は語っている。「2歳から6、7歳の小さな子供たちを、あの...特別な場所に連れてきました」。ここで兵士は、本当に恐ろしいことを思い出したときのように、少し間を置いた。彼は深くため息をついてから、こう続けた。「子供たちは1階で服を脱がされました。そして2階で...」
彼は再び言葉を止め、その目には呪われたような表情を浮かべる。「2回目は...切り刻まれました」と、彼は静かに言う。映像は一旦中断され、おそらく男性が回復するための時間が設けられたのだろう。映像は再開され、彼はカメラに映らないときに聞かれたかもしれない別の質問に答える。「廃棄物のように、穴に入れられたり、どこかへ持ち出されて埋められたりするんだ。あいつらは、まるで子豚やウサギのような家畜を屠殺するかのように、彼ら(子どもたち)のことを話していたんだ。まるでどこかの農場のように、「おー、運んできたぞ」という感じだったんです。わかりますか?」
この兵士はかなり震えているようだ。彼は続けて言う。「話には聞いていたが、信じられなかった。この目で見るまでは、理解できないだろう。しかし、それを見たら、だれだって許せなくなりますよ」。
臓器が摘出された遺体が発見されたという報道の多くはロシア側から発信されているように見えるが、ウクライナでの臓器狩りについては、2000年代から世界中で多くの記事が発表されている。ロシアのSMO(特別軍事作戦)が始まるまでは、このような記事は簡単に見つけることができた。そして突然、西側の主流メディアは、このような記事を「ロシアの偽情報 」と呼ぶようになった。
ミハイル・ジス博士。写真: Ynetnews.com
例えば、2003年、米国国立医学図書館は、臓器売買ネットワークが「エストニア、ブルガリア、トルコ、グルジア、ロシア、ルーマニア、モルドバ、そしてウクライナなどの貧しいヨーロッパ諸国を標的にしており、人々は圧力をかけられてわずか2500ドルで自分の腎臓を売らされている 」と述べた欧州評議会の議会からの報告書を引用した。
2010年、エルサレム・ポスト紙は、ウクライナと他の旧ソ連諸国での臓器売買のために12人のイスラエル人が逮捕されたと報じた。彼らは、主に肝臓をイスラエル人や他の国の国民に、体の一部につき1万ドルで売っていたとして告発された。移植は主にキエフ、アゼルバイジャン、そしてエクアドルで行われていた。
2011年、ウクライナ・ウィーク紙は、ウクライナで闇臓器売買が盛んであるとの記事を掲載した。記事では、キエフの「闇移植医」グループが2010年に26人の遺体から解剖中に眼球を取り出し、臓器は移植のためにキエフの病院に移されたことを詳述している。記事はまた、2007年にイスラエル人のミハイル・ジスがドネツクで逮捕されたことにも触れている。イスラエルでの医師免許が取り消されたため、闇取引のお金を稼ぐためにウクライナに移住していた。そこでモルドバ人とウクライナ人が1万ドルで臓器を売ることに合意し、ジスは手術をするたびに13万5千ドルを受け取り、そのお金はアメリカの銀行口座に振り込まれたとされている。
また、2011年、ブルームバーグは、イスラエル人や東欧人が運営する犯罪組織が、身寄りのない人々に腎臓などの臓器を売るよう強制していたことが、5大陸の調査員によって、大規模で絡み合ったネットワークとして明らかになったことを報じた。
WHOは2012年、@人間の臓器が1時間に1個の割合で、闇市場で売られていること、A健康で若い臓器を必要とする富裕層が、中国、インド、パキスタンの犯罪組織から入手した腎臓に15万ドル以上を支払っていること、そしてBこの犯罪組織は、たった3、500ドルでも、喉から手が出るほどお金を必要としている人から、臓器を採取していると警告した。
また、2012年には、オーストラリアの新聞が、ウクライナで「骨やその他の人体組織が、薄汚れた白いミニバスの中でクーラーに詰め込まれている」という悲惨な発見を報じた。当局が押収した文書によると、遺体は、フロリダに本社を置く米国の医療製品会社「RTI Biologics」の子会社が所有するドイツの工場に向かう途中であったことが明らかになった。
「肋骨2本、アキレス腱2本、肘2本、鼓膜2本、歯2本、などなど...」 ウクライナの家宅捜索で遺体の一部が発見されたOleksandr Frolovの写真を手にする親族。写真 シドニー・モーニング・ヘラルド紙
2016年、ワシントンDCのシンクタンクであるアトランティック・カウンシルは、「ウクライナは人身売買との戦いにもっと力を入れるべき」と題した記事を掲載し、ウクライナ出身の16万人以上の男性、女性、子供が 「労働、セックス、強制物乞い、そして臓器摘出のために搾取されている」と述べている。
この記事は、ウクライナの問題の多くが「ロシアの侵略」であるとしながらも、米国国務省と欧州評議会の人身売買対策専門家グループ(GRETA)によると、「国家レベルでの連携が不十分」であったと、ウクライナ当局を批判している。
2014年に発表されたGRETAの報告書では、「政府省庁間の連携が悪い」とし、ウクライナの人身売買に関する統治評議会が5年間開催されていなかった、と述べられている。
「人体は売り物ではない」と書かれたウクライナの看板(2016年、キエフにて)には、人身売買の被害者が電話できるホットラインが記載されている。写真: アトランティック・カウンシル
また、ジュネーブ安全保障セクター・ガバナンスセンター(DCAF)が2015年に発表したもう一つ調査では、ウクライナは臓器狩りを含む人身売買の「発地、通過そして到達国」であると結論付けている。報告書の全文はこちらのリンクから読める。
ロシアのSMOが始まった後、西側のニュースはウクライナでの違法な臓器狩りの報道はほぼしなくなった。しかし、2022年3月、BBCは、数千人のウクライナの子どもたちが行方不明になっており、人身売買業者の手に落ちた恐れがあると報じた。
2022年2月、ドイツの国防大臣クリスティーネ・ランブレヒトは、ウクライナが移動式火葬場を完備した野戦病院を受け取ることになると述べた。ウクライナに武器を送ることに反対していたランブレヒトは、「ウクライナ戦争への、ベルリンの対応をめぐる監視の目が厳しくなる中で」今年1月に辞任した。
野戦病院と火葬場のニュースは、ウクライナ軍に深刻な動揺をもたらしたと報道されたが、やがて西側の主要メディアは、火葬場はロシアが運営し、ロシア軍の犠牲者数を隠すために使われたと主張する記事で、もちきりになった。
ただでさえ希少で、しばしば虚偽と見分けるのが難しい真実は、新聞の束の中の針に喩えられるようになった。
ジョエル・ペットの漫画/The Week
ブラック移植とグレー移植
ドナーやその家族の同意なしに行われる違法な臓器移植は、「ブラック移植」と呼ばれている。しかし、同時に「グレー移植」もある。これは、ドナーの生活が絶望的かつあるいは貧困であることが多く、強引に臓器を売らされるものだ。
腎臓や肝臓の一部は数千ドルで売れるが、その健康リスクは甚大だ。手術そのものに関する直接的なリスクに加え、高血圧、痛み、神経損傷、ヘルニア、腸閉塞、そして慢性疾患の可能性の増加といった長期的な健康リスクもある。また、障害保険や生命保険に加入しにくくなるなど、さまざまなリスクがある。
2022年10月、アジアニュースネットワークは、外国人ドナーとの移植を仲介する東京のNPO法人を通じて、経済的に苦しいウクライナ人が腎臓を売買される臓器提供者として確認されたという記事を掲載した。
この記事は、ウクライナ語のウェブサイトで、腎臓を売りたい人にお金を提供する書き込みが出現していることが触れられている。このような投稿は、2020年のCovid19以降、4倍の頻度で出現するようになったと記事は述べている。投稿には、売買したい臓器の年齢、血液型、種類、そして価格が記載されている。「完璧に健康な20歳!」などと、臓器の 「質」も記載されている。また、電話番号や住所などの連絡先も記載されている。
この記事によると、これらの投稿は、ロシアのSMOが始まった後も、途切れることなく表示され続けたという。神経科医を名乗る人物のある投稿には、「経済的苦境に陥っているのなら、あなたの腎臓を買います」と書かれていた。彼は、アメリカやインドだけでなく、「日本にも拠点がある」とも付け加えていた。
「家が買える!」と謳った投稿もあった。記事によると、あるウクライナ人女性は、58歳の日本人女性に提供された腎臓の対価として15,000ドルを受け取ったという。ひとりのトルコ国籍の人物は臓器の売買に関与したとして、ウクライナ当局に逮捕された。
一方、正式なルートで移植を申請した法遵守主義のウクライナ市民は、待ち続けなければならない。
腎臓移植を待っている透析中のウクライナ女性。写真 :アジアニュース
臓器提供を直接迫ることはほとんどの国で違法だが、臓器提供の動機付けをすることについては、世界中で関心が高まっている。2月には、マサチューセッツ州の議員が、刑務所の受刑者が刑期を短縮するために臓器や骨髄を提供することを認める法案を提出した。
このような法律の倫理性にはまだ疑問が残るが、法案の民主党提案者であるジュディス・ガルシア州下院議員は記者団に対し、「黒人や茶色人種社会に対する不当な収監や 過剰取り締まりの悪循環」を解消するのに役立つかもしれない、と述べた。
ガルシアは、黒人とヒスパニック系は特有の健康状態により臓器移植の必要性が高いが、差別的な投獄率により黒人の待機期間が長くなり、適合する(臓器の)数が制限されると説いた。
この法案には、すでに多くの批判がある。ワシントンDCに拠点を置く刑事司法改革擁護団体『強制最小化に反対する家族たち』のケビン・リング会長は、この法案について、「ディストピア小説に出てくるような内容だ」と述べている。彼は記者団に対し、「臓器提供の促進は良いことだ。過剰な懲役刑の軽減も良いことだ。ただ、この2つを結びつけるのは倒錯的だ」と述べた。
法案で提案された制度は、臓器や骨髄の提供と引き換えに、囚人に60日から1年までの減刑を与えるというもので、各囚人の減刑幅を決定する委員会が置かれることになっている。
現在、米国では受刑者の臓器提供を禁止する法律はないが、受刑者の感染症のリスクが高いことから、移植学会では1990年代から受刑者の臓器提供を控えてきた。
連邦刑務所の囚人は臓器を提供することはできるが、家族にだけだ。
結論
この3回にわたる詳細な報告を終えて、女性や子どもの性的搾取や奴隷貿易など、世界各地で違法化されているにもかかわらず一部で続いている人身売買については、まだその表面すら触れていないことを実感している。ウクライナは、商業的な性的搾取や奴隷の供給源、通過国、そして目的地として、すでによく知られている国である。
これらのテーマは、それ自体が詳細な調査報告に値するものだ。後日、さらに問題を掘り下げるつもりである。
ウクライナの人身売買に関する調査シリーズの第3部は、これで終わる。第1部はこちら、第2部はこちらでお読みください。
デボラ・アームストロングは現在、ロシアに力点を置いた地政学について執筆している。以前は米国の地方テレビニュースに携わり、2つの地方エミー賞を受賞した。1990年代前半には、ソビエト連邦の末期に滞在し、レニングラード・テレビでテレビコンサルタントとして働いた。
<記事原文 寺島先生推薦>
“When You See It, You Won’t Forgive”: Part III of an Investigative Report on Human Trafficking in Ukraine
「それを見れば、だれも許さないだろう」:ウクライナにおける人身売買についての調査報告(第3部)
筆者:デボラ・L・アームストロング(Deborah・ L・Armstrong)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2023年2月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年3月29日
写真:New Eastern Outlook
年が明けて間もない2023年1月14日、ウクライナの首都キエフで行われた大規模な抗議活動の動画がSNSで拡散され始めた。抗議者の大半は女性だが、中には男性の姿も確認できる。女性たちは、ウクライナ軍第24師団の未亡人や妻たちであることが確認されている。
キエフにおける抗議者たちが、愛する者の遺体返却を求めている
抗議者たちは、埋葬するために兵士の遺骨を返せ!と要求している。主に英語で書かれたプラカードを持っている。いくつかのプラカードには、民族主義的なウクライナのシンボルであるガリシア獅子(第2次世界大戦中のSSのシンボル)も描かれている。デモ隊は「スラバ・ウクライナ!スラバ・ゲロヤム!」 と叫ぶ。これは、「ウクライナに栄光あれ!英雄に栄光あれ!」という意味だ。
ウクライナ国旗の色をした黄色と青の煙が放出され、唱和するデモ隊の上を漂い、10万人のユダヤ人、ポーランド人、そしてロシア人を虐殺した大量殺人者ステパン・バンデラの指示の下、第2次世界大戦でナチスと協力したウクライナ反乱軍OUN-Bの旗を象徴する赤と黒の煙と混ざり合っている。
愛する者の遺品返却を求めるキエフの女性たち。写真:Ruptly/zpnews.ru
他の動画では、女性たちが行方不明の夫、息子、父親、兄弟の写真を掲げている。なぜ、この人たちはみんな行方不明なのだろう? 戦死したのか、ロシア軍の捕虜にされたのか。彼女たちは、ロシアに愛する人の遺体を返すよう要求しているのだろうか? もしそうなら、なぜ彼女たちのプラカードは英語なのだろう? なぜロシアについては何も言われないのだろうか...?
それとも、デモ隊は、すべて愛国心という前提条件で注意深い枠組みを作りながらも、(実際は)自分たちのウクライナ政府に対して、声明を出しているのだろうか?
ウクライナにおける人身売買に関する私の調査報告書第1部、第2部をお読みいただいた方は、必ずしも同意していないウクライナ兵や民間人からの臓器摘出を目撃した、あるいは参加したと主張する人々の証言をすでにお読みになっているはずだ。
戦場での臓器狩りが、少なくとも1990年代後半から行われていたことは、2009年の欧州評議会(PACE)のディック・マーティ副議長による「コソボにおける人々に対する非人道的な扱いと違法な臓器売買」報告書で、すでにお読みいただいた通りだ。そして、戦場での臓器狩りは少なくとも1990年代後半から行われていたことは、ロシア内務大臣顧問のウラジミール・オフチンスキー博士によれば、コソボで移植プログラムの先頭に立った同じ人たちが、現在ウクライナで移植作業を指揮していると言われていることも、お読みいただいた通りだ。
ウクライナでこのような事業がより円滑に行われるためには、何が必要なのだろうか。第1部の証言者によると、ドナーの体から臓器を取り出して搬送するまでの時間は最短で7分、外科医は、実質的にはベルトコンベアのように遺体を処理しなければならないので、スピードが重視されるとのことだ。
おそらく、ウクライナの法律を改正すれば、この手順をより効率化し、本人がすでに亡くなっている場合の同意の必要性など、お役所仕事の一部を切り捨てることができるだろう。ロシアがウクライナ国境を越え、2022年2月24日に特別軍事作戦(SMO)を開始するわずか2カ月前の2021年12月16日、まさにそのようなことが起こっていた。
ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ国会)写真: Spzh.news
ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ国会)の305人の議員が投票し、法案No.5831を可決、ゼレンスキー大統領が署名し、翌日から施行された。同法案の全文(ウクライナ語)「人体解剖学的材料の移植を規制するウクライナの特定の立法行為の改正について」、同法案の要約は、ウクライナ国会のウェブサイトから閲覧できる。
2021年の法律では、書面による同意がない場合でも、故人から臓器を摘出することができ、故人の場合は同意が義務づけられなくなった。さらに、書面による同意には、認証や公証人の署名が不要となった。ドナーは権限を与えられた移植コーディネーターに同意を与えることができ、同意は電子的な形式で行うことができる。
故人の同意がない場合、移植コーディネーター(取次人)は、故人の配偶者、または両親、兄弟、子供などの近親者から同意を得ることになっている。家族が見つからない場合、コーディネーターは故人を埋葬した人から同意を得ることができる。故人となった軍人の場合、部隊長が兵士の臓器摘出に同意することができる。
この法律は、また、内縁の配偶者は、故人の臓器摘出を妨げることができないことを明確にし、内縁の配偶者や代理家族などに同意を与えるための、親族に属さないひとに権威を与える人物の権利を奪っている。
ウクライナの国民健康・医療・健康保険委員会の委員長であるミハイロ・ラドゥツキーによると、死後の臓器提供の同意は、 Diia事業として知られるアプリを介して電子的に行うこともできるようになった。
ラドゥツキーは2021年にTelegram*で、この法律が「ドナーと受容者の適正を照合するアルゴリズムを改善し、臓器摘出の意思決定ができる人の範囲を拡大し、試験的移植事業から医療保証事業による2023年からの資金提供への移行を確立する」と書いた。さらに、2019年にはウクライナで78件の臓器移植が行われ、2021年末までに250件の手術が計画されていると指摘した。
* ロシア人技術者が2013年に開発し、現在はTelegram Messenger LLPが運営しているインスタントメッセージアプリケーションである。 スマートフォンのモバイルアプリケーションとして無料で利用できる。(ウィキペディア)
国民保健・医療・健康保険委員会委員長のミハイロ・ラドゥツキー。写真:ヴェルホーヴナ・ラーダ
つまり、この法律は、条文を読めばわかるように、故人の同意なしに、簡単に臓器を摘出することができる。戦闘が激しく混乱し、近親者の所在が不明な戦場において、それがどのように機能するかは、想像に難くない。特に、ある情報筋によれば、戦場では遺体は150ドルから200ドルで売られ、たった1つの遺体から採取された臓器の総額は1000万ドルに達することもあるそうだ。
さらに、ロシアのメディアやロシアのブログなどで、ウクライナ東部の人々が臓器をすべて摘出されて大量に埋葬されたとの報道が多数なされている。このような話は西側では嘲笑され、「ロシアの偽情報」として退けられるが、びっくりするほど多くの報道がある。
セルゲイ・ペレホドというブロガーは、国籍は不明だが(おそらくロシア人かウクライナ人)、2014年だけで起こった悲惨な発見のリストをまとめている。以下は、彼が指摘した残虐行為の一部である:
1. 9月24日、ドネツク人民共和国(DPR)の民兵は、ロウアー・クリンカとコムナールの集落で墓を発見し、そのうちの2つの墓には撃たれた男女の遺体が、3つ目には内臓のない40人の遺体があったことにショックを受けた。実際、アメリカ資本の『モスクワ・タイムズ』でさえ、このことを報道したほどである。
2. 5月5日、ウクライナでは「兵士の臓器が大量に摘出されている 」という噂が飛び交った。公式発表では、死者5名、負傷者12名と発表されたが、救急車の出入りが激しく、犠牲者はその2〜3倍は、いたのではないかと思われるほどだった。実際、少なくとも48人が労働組合ビルに追い込まれ、生きたまま焼かれたり、撃たれたり、殴り殺されたりしたオデッサ大虐殺は、そのわずか3日前の5月2日に起きており、この連載の第1部に登場する目撃者の一人は、この大虐殺後に多くの臓器を採取した、と言っている。
3. 5月20日、カラチュンの丘付近で夜間偵察活動中の民兵が、「腹が引き裂かれた」ウクライナ国家警備隊兵士180人の遺体を発見した。少し離れたトロイツク墓地付近では、さらに300体の遺体が発見され、埋葬されず、臓器が取り除かれていた。地元の人々は、赤十字の車や専門的な機器を持った外国人医師を見たと報告している。ウクライナのメディアはその日、カラチュンの丘で激しい戦闘があったことを報じたが、ロシアのメディア以外ではほとんど確認できない。
4. 6月28日、対テロ作戦地域(ATO)の情報筋は、ルガンスク地方のルビズネ近郊で内臓のない人々の墓を発見したと報じた。情報筋は、ウクライナ東部で「特殊集団」が活動しており、人間の臓器の売買に従事していると指摘した。
その最後の日に発見された集団墓地についての裏付けとなる記事は見つからなかった。しかし、2021年、ドンバス在住のラッセル・ベントレーは、ルガンスクのその同じ地域で200体の遺体が掘り起こされたときに立ち会い、彼らは2014年の夏、戦闘が激しくなったときに殺害されてそこに埋められたと書いている。
2021年、ドネツク郊外で発見された集団墓地の現場にいるDPRの民兵隊員。[出典:RT.com]
ラッセル・ベントレーを信じるべき? そのブロガーの言葉を信じるべきか? どんなブロガーでも信じるべきなのだろうか? 主流メディアが日常的に嘘やだまし、誤導をし、本当のニュースから私たちの注意をそらす今日、おそらく誰も信じることはできないだろう。
チップ・ボックの漫画: Yahoo news
いずれにせよ、ウクライナの集団墓地には、内臓を切り取られた兵士や民間人の遺体があるという恐ろしい話が、インターネット上に溢れている。そして、これらの話の1つでも、何か真実に基づいているのであれば、深く調べる価値がある。
2022年12月、Telegramに、そしてRumble(無料動画サイト)に、ロシア語を話す正体不明の男性が、ウクライナのハリコフ州の都市イジュームで目撃した残虐行為を説明する動画が登場した。彼は20代後半から30代前半に見え、尋ねる人によっては、ロシア空挺部隊、あるいはスペツナズと思われる空色のベレー帽を被っている。ベレー帽にはソ連の赤い星が付いていることから、彼はロシアの正規軍ではなく、ドンバス離脱人民共和国の民兵の一人ではないかと思われる:
彼のことはココ(英語字幕付き)で見られる。
ロシア軍がウクライナ人の子どもの臓器狩り作戦を暴く
ウクライナで起こっている恐怖の実録。子どもからアドレノクロム*や臓器を摘出することは・・・
* アドレナリンの酸化によって生成される分子式C₉H₉NO₃の化合物。誘導体のカルバゾクロムは止血薬として用いられる。化学名は類似しているがクロムとは無関係である。 (ウィキペディア)
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イジュームで子どもの臓器狩りが行われていると語るロシア語話者の男性
「その集団は、わかったのですが、イジューム周辺に子供たちを集めていたんです」と、ロシア側が発見したことに言及して彼は語っている。「2歳から6、7歳の小さな子供たちを、あの...特別な場所に連れてきました」。ここで兵士は、本当に恐ろしいことを思い出したときのように、少し間を置いた。彼は深くため息をついてから、こう続けた。「子供たちは1階で服を脱がされました。そして2階で...」
彼は再び言葉を止め、その目には呪われたような表情を浮かべる。「2回目は...切り刻まれました」と、彼は静かに言う。映像は一旦中断され、おそらく男性が回復するための時間が設けられたのだろう。映像は再開され、彼はカメラに映らないときに聞かれたかもしれない別の質問に答える。「廃棄物のように、穴に入れられたり、どこかへ持ち出されて埋められたりするんだ。あいつらは、まるで子豚やウサギのような家畜を屠殺するかのように、彼ら(子どもたち)のことを話していたんだ。まるでどこかの農場のように、「おー、運んできたぞ」という感じだったんです。わかりますか?」
この兵士はかなり震えているようだ。彼は続けて言う。「話には聞いていたが、信じられなかった。この目で見るまでは、理解できないだろう。しかし、それを見たら、だれだって許せなくなりますよ」。
臓器が摘出された遺体が発見されたという報道の多くはロシア側から発信されているように見えるが、ウクライナでの臓器狩りについては、2000年代から世界中で多くの記事が発表されている。ロシアのSMO(特別軍事作戦)が始まるまでは、このような記事は簡単に見つけることができた。そして突然、西側の主流メディアは、このような記事を「ロシアの偽情報 」と呼ぶようになった。
ミハイル・ジス博士。写真: Ynetnews.com
例えば、2003年、米国国立医学図書館は、臓器売買ネットワークが「エストニア、ブルガリア、トルコ、グルジア、ロシア、ルーマニア、モルドバ、そしてウクライナなどの貧しいヨーロッパ諸国を標的にしており、人々は圧力をかけられてわずか2500ドルで自分の腎臓を売らされている 」と述べた欧州評議会の議会からの報告書を引用した。
2010年、エルサレム・ポスト紙は、ウクライナと他の旧ソ連諸国での臓器売買のために12人のイスラエル人が逮捕されたと報じた。彼らは、主に肝臓をイスラエル人や他の国の国民に、体の一部につき1万ドルで売っていたとして告発された。移植は主にキエフ、アゼルバイジャン、そしてエクアドルで行われていた。
2011年、ウクライナ・ウィーク紙は、ウクライナで闇臓器売買が盛んであるとの記事を掲載した。記事では、キエフの「闇移植医」グループが2010年に26人の遺体から解剖中に眼球を取り出し、臓器は移植のためにキエフの病院に移されたことを詳述している。記事はまた、2007年にイスラエル人のミハイル・ジスがドネツクで逮捕されたことにも触れている。イスラエルでの医師免許が取り消されたため、闇取引のお金を稼ぐためにウクライナに移住していた。そこでモルドバ人とウクライナ人が1万ドルで臓器を売ることに合意し、ジスは手術をするたびに13万5千ドルを受け取り、そのお金はアメリカの銀行口座に振り込まれたとされている。
また、2011年、ブルームバーグは、イスラエル人や東欧人が運営する犯罪組織が、身寄りのない人々に腎臓などの臓器を売るよう強制していたことが、5大陸の調査員によって、大規模で絡み合ったネットワークとして明らかになったことを報じた。
WHOは2012年、@人間の臓器が1時間に1個の割合で、闇市場で売られていること、A健康で若い臓器を必要とする富裕層が、中国、インド、パキスタンの犯罪組織から入手した腎臓に15万ドル以上を支払っていること、そしてBこの犯罪組織は、たった3、500ドルでも、喉から手が出るほどお金を必要としている人から、臓器を採取していると警告した。
また、2012年には、オーストラリアの新聞が、ウクライナで「骨やその他の人体組織が、薄汚れた白いミニバスの中でクーラーに詰め込まれている」という悲惨な発見を報じた。当局が押収した文書によると、遺体は、フロリダに本社を置く米国の医療製品会社「RTI Biologics」の子会社が所有するドイツの工場に向かう途中であったことが明らかになった。
「肋骨2本、アキレス腱2本、肘2本、鼓膜2本、歯2本、などなど...」 ウクライナの家宅捜索で遺体の一部が発見されたOleksandr Frolovの写真を手にする親族。写真 シドニー・モーニング・ヘラルド紙
2016年、ワシントンDCのシンクタンクであるアトランティック・カウンシルは、「ウクライナは人身売買との戦いにもっと力を入れるべき」と題した記事を掲載し、ウクライナ出身の16万人以上の男性、女性、子供が 「労働、セックス、強制物乞い、そして臓器摘出のために搾取されている」と述べている。
この記事は、ウクライナの問題の多くが「ロシアの侵略」であるとしながらも、米国国務省と欧州評議会の人身売買対策専門家グループ(GRETA)によると、「国家レベルでの連携が不十分」であったと、ウクライナ当局を批判している。
2014年に発表されたGRETAの報告書では、「政府省庁間の連携が悪い」とし、ウクライナの人身売買に関する統治評議会が5年間開催されていなかった、と述べられている。
「人体は売り物ではない」と書かれたウクライナの看板(2016年、キエフにて)には、人身売買の被害者が電話できるホットラインが記載されている。写真: アトランティック・カウンシル
また、ジュネーブ安全保障セクター・ガバナンスセンター(DCAF)が2015年に発表したもう一つ調査では、ウクライナは臓器狩りを含む人身売買の「発地、通過そして到達国」であると結論付けている。報告書の全文はこちらのリンクから読める。
ロシアのSMOが始まった後、西側のニュースはウクライナでの違法な臓器狩りの報道はほぼしなくなった。しかし、2022年3月、BBCは、数千人のウクライナの子どもたちが行方不明になっており、人身売買業者の手に落ちた恐れがあると報じた。
2022年2月、ドイツの国防大臣クリスティーネ・ランブレヒトは、ウクライナが移動式火葬場を完備した野戦病院を受け取ることになると述べた。ウクライナに武器を送ることに反対していたランブレヒトは、「ウクライナ戦争への、ベルリンの対応をめぐる監視の目が厳しくなる中で」今年1月に辞任した。
野戦病院と火葬場のニュースは、ウクライナ軍に深刻な動揺をもたらしたと報道されたが、やがて西側の主要メディアは、火葬場はロシアが運営し、ロシア軍の犠牲者数を隠すために使われたと主張する記事で、もちきりになった。
ただでさえ希少で、しばしば虚偽と見分けるのが難しい真実は、新聞の束の中の針に喩えられるようになった。
ジョエル・ペットの漫画/The Week
ブラック移植とグレー移植
ドナーやその家族の同意なしに行われる違法な臓器移植は、「ブラック移植」と呼ばれている。しかし、同時に「グレー移植」もある。これは、ドナーの生活が絶望的かつあるいは貧困であることが多く、強引に臓器を売らされるものだ。
腎臓や肝臓の一部は数千ドルで売れるが、その健康リスクは甚大だ。手術そのものに関する直接的なリスクに加え、高血圧、痛み、神経損傷、ヘルニア、腸閉塞、そして慢性疾患の可能性の増加といった長期的な健康リスクもある。また、障害保険や生命保険に加入しにくくなるなど、さまざまなリスクがある。
2022年10月、アジアニュースネットワークは、外国人ドナーとの移植を仲介する東京のNPO法人を通じて、経済的に苦しいウクライナ人が腎臓を売買される臓器提供者として確認されたという記事を掲載した。
この記事は、ウクライナ語のウェブサイトで、腎臓を売りたい人にお金を提供する書き込みが出現していることが触れられている。このような投稿は、2020年のCovid19以降、4倍の頻度で出現するようになったと記事は述べている。投稿には、売買したい臓器の年齢、血液型、種類、そして価格が記載されている。「完璧に健康な20歳!」などと、臓器の 「質」も記載されている。また、電話番号や住所などの連絡先も記載されている。
この記事によると、これらの投稿は、ロシアのSMOが始まった後も、途切れることなく表示され続けたという。神経科医を名乗る人物のある投稿には、「経済的苦境に陥っているのなら、あなたの腎臓を買います」と書かれていた。彼は、アメリカやインドだけでなく、「日本にも拠点がある」とも付け加えていた。
「家が買える!」と謳った投稿もあった。記事によると、あるウクライナ人女性は、58歳の日本人女性に提供された腎臓の対価として15,000ドルを受け取ったという。ひとりのトルコ国籍の人物は臓器の売買に関与したとして、ウクライナ当局に逮捕された。
一方、正式なルートで移植を申請した法遵守主義のウクライナ市民は、待ち続けなければならない。
腎臓移植を待っている透析中のウクライナ女性。写真 :アジアニュース
臓器提供を直接迫ることはほとんどの国で違法だが、臓器提供の動機付けをすることについては、世界中で関心が高まっている。2月には、マサチューセッツ州の議員が、刑務所の受刑者が刑期を短縮するために臓器や骨髄を提供することを認める法案を提出した。
このような法律の倫理性にはまだ疑問が残るが、法案の民主党提案者であるジュディス・ガルシア州下院議員は記者団に対し、「黒人や茶色人種社会に対する不当な収監や 過剰取り締まりの悪循環」を解消するのに役立つかもしれない、と述べた。
ガルシアは、黒人とヒスパニック系は特有の健康状態により臓器移植の必要性が高いが、差別的な投獄率により黒人の待機期間が長くなり、適合する(臓器の)数が制限されると説いた。
この法案には、すでに多くの批判がある。ワシントンDCに拠点を置く刑事司法改革擁護団体『強制最小化に反対する家族たち』のケビン・リング会長は、この法案について、「ディストピア小説に出てくるような内容だ」と述べている。彼は記者団に対し、「臓器提供の促進は良いことだ。過剰な懲役刑の軽減も良いことだ。ただ、この2つを結びつけるのは倒錯的だ」と述べた。
法案で提案された制度は、臓器や骨髄の提供と引き換えに、囚人に60日から1年までの減刑を与えるというもので、各囚人の減刑幅を決定する委員会が置かれることになっている。
現在、米国では受刑者の臓器提供を禁止する法律はないが、受刑者の感染症のリスクが高いことから、移植学会では1990年代から受刑者の臓器提供を控えてきた。
連邦刑務所の囚人は臓器を提供することはできるが、家族にだけだ。
結論
この3回にわたる詳細な報告を終えて、女性や子どもの性的搾取や奴隷貿易など、世界各地で違法化されているにもかかわらず一部で続いている人身売買については、まだその表面すら触れていないことを実感している。ウクライナは、商業的な性的搾取や奴隷の供給源、通過国、そして目的地として、すでによく知られている国である。
これらのテーマは、それ自体が詳細な調査報告に値するものだ。後日、さらに問題を掘り下げるつもりである。
ウクライナの人身売買に関する調査シリーズの第3部は、これで終わる。第1部はこちら、第2部はこちらでお読みください。
デボラ・アームストロングは現在、ロシアに力点を置いた地政学について執筆している。以前は米国の地方テレビニュースに携わり、2つの地方エミー賞を受賞した。1990年代前半には、ソビエト連邦の末期に滞在し、レニングラード・テレビでテレビコンサルタントとして働いた。
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