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No. 1693 日本、ワシントンの端役として再び入隊する
投稿日時: 2023年2月3日
Japan Re-enlists as Washington’s Spear-Carrier
by Patrick Lawrence
日本の首相がワシントンに行き、ホワイトハウスで首脳会談を行うのはいつも同じことだ。何も起こらないように見えるし、たとえ重要なことが起きても、注意を払うべきなのに誰もあまり注意を払わない。そしてたとえ少し気をつけたとしても、たいてい勘違いする。1960年1月、岸信介首相がワシントンを訪れたとき、アイゼンハワー大統領はこの戦犯を祝福し、日本国民が激しく反対した安全保障条約に調印した。その週、『ニューズウィーク』誌は岸首相を「あの親しみやすく事情に精通した日本のセールスマン」と評した。
岸はまさにセールスマンだった。3年後、彼は武装警察を使って国会から野党議員を排除し、日本人が安保条約と呼ぶものを、自民党の議員だけが出席して批准するよう強要した。タイム誌は、10年前に絞首刑にされるはずだったこの男について、「誇りとパワーと情熱のつまった60キロの体は、彼の国の驚くべき復活を完璧に体現している」と記した。
そして今度は、岸田文雄首相だ。彼は1週間前、無責任な大統領と大統領執務室で首脳会談を行った。岸田の体重がどれくらいか、または彼自身や彼の国にどれほどの誇りをもっているかは知らないが、岸とアイゼンハワーの首脳会談と同じように、ジョー・バイデンは日本の平和主義憲法が禁じる軍国主義への急旋回を祝福したのである。
ここには長い歴史がある。アメリカのニューディール派たちは、1945年8月の降伏後すぐに日本の平和主義憲法を制定した。しかし、トルーマン政権が1947年に冷戦を開始させて以来、アメリカは絶え間なく、極悪非道にも、日本に憲法を破るよう迫ってきた。私が東京にいたころは、「もっとやれ」とよく言われていた。そして今、岸田はそれに応えている。もし彼が何かの完璧な体現者であるならば、それは1945年8月の敗戦以来、日本の保守派と国粋主義者の政治集団がアメリカとの関係を築いてきた卑屈な迎合である。
私は岸田がホワイトハウスで過ごした時間の中で、アメリカが強要する地球の二極化がさらに進み、東西、南と北、アメリカ帝国とその敵である中国やロシアとの間で仲介役を担える国がまた一つ、降伏すると読んだ。スウェーデン、フィンランド、ドイツは、ウクライナの政権を支持するという名目で、世界秩序におけるこの立派な地位をすでに放棄した。日本は今、それに続いている。
岸田・バイデン首脳会談に至る簡単な時系列を追うことは有用である。バイデンは昨年5月に東京を訪れ、当選したばかりの岸田と会談し、「同盟を継続的に近代化し、二国間の役割と任務を進化させ、戦略を一致させ目標を共に優先させるなど共同能力を強化する」ことを約束した。1ヶ月前、岸田内閣は2023年の防衛予算を戦後日本史上最大の73億ドル増額し、今後5年間で防衛費を倍増させ、国内総生産(GDP)の2%を目指すと発表した。東京は何十年もの間、防衛費をGDPの1%に抑えてきた。
先週ワシントンに到着する前に、岸田はヨーロッパを大回遊し、ベルリンを除くすべてのG7の首都に立ち寄った。どの都市でも話題は同じだった。東京は今後、西側諸国との同盟に完全にコミットしたメンバーとして、同盟を活性化するすべてに署名するだろう。ロンドンでは、岸田は相互防衛協定を締結し、相手国への軍隊駐留を許可した。この後、東京、ロンドン、ローマが新型戦闘機を数か月後に共同開発することで合意した。
そして今、大統領室で首脳会談が行われ、両首脳は、「日本を中国に対抗できる強力な軍事大国にするために協力し、両国間の同盟を強化して、アジアにおける安全保障上の利益の要となる」ことを約束したと政府が監督するニューヨークタイムズは報じている。口先だけの芸達者なバイデンは、公式声明に「より困難な仕事は、我々がどのように、どこで意見が違うのかを見つけること」と付け加えなければならなかった。78歳のジョーは実に辛辣なのだ。
これは非常に大きな問題で、そう、第一次世界大戦の最盛期に岸・アイゼンハワーが行ったことと同じ意味を持つということである。与党自民党は、自衛隊を「不戦」の9条から解放するために平和主義的な憲法を何度も変えようとして失敗し、長年にわたって定期的に「再解釈」、つまりゴムバンドのように引き伸ばしてきた。2年前に退陣し、昨年暗殺された国粋主義者の首相、安倍晋三は、自衛隊の海外での戦闘任務を可能にする法案を国会で強行可決した。
それは2015年のことだった。岸田は今、さらに踏み込んで、そして状況はより加速している。憲法に関する国内問題であったものを、世界的な公約に変えたのだ。また、日本をアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国、そしてフランスを上回る軍事大国にするための道筋をつけた。防衛に関する新たな支出の多くは、東京が管轄権を主張する本国の島や海域をはるかに超えて日本の力を誇示するためのミサイルシステムと軍艦に使われることになる。米国製トマホークを含むミサイルは、中国本土の標的を攻撃することができるようになるだろう。
60数年前の岸のように、岸田は今新しい「防衛戦略」を国会に通さなければならない。岸田の政治的可能性を予測できないが、私は岸田が失敗するか、または政府の支配者たちがやろうとしていることに対して日本人や私たちを目覚めさせるような激しい戦いに直面することを望む多くの日本人を支持する。日本は、法律や国民感情によって、『タイムズ』紙が好意的に言うような「強力な軍事大国」であってはならない。冷戦の終結と欧米との経済的平等の達成以来、日本は困難ながらも自国の新しい目的を模索してきた。西太平洋におけるワシントンの一番の端役として再入隊することは、弱腰の再犯以外の何物でもない。
東京は中華人民共和国に対する敵意と挑発のキャンペーンにおいて、ワシントンと共に立ち上がることを選択した、ということは明らかである。昨年夏のナンシー・ペロシの壮大な台湾訪問の後、日本の領海に着弾した5発の中国製ミサイルが、政治的機会を与えただけでなく、岸田の行動指針に重みを与えたのである。
しかし東京は過去数年前ならこの問題を違った形で扱っていただろう。外交的ないざこざはあっただろうし、日本人が必要としない中国製製品に対して一時的な制裁措置もあったかもしれない。しかし、日本は米国と本土の間で微妙なバランスを保っていただろう。これは確かなことだ。岸田外相のように、ワシントンを訪れた首相がウクライナ紛争に口を挟むこともないだろう。これもそうだ。
私は、日本の新しい忠誠の宣言が日本の安全を高めるとは思えない。ワシントンは何よりも、太平洋の緊張を高めることを望んでいる。 岸田は、反中国的好戦性の育成に協力することを多くの前例がありながら不用意に承諾してしまったのだ。
ここにも歴史がある。日本人は、1870年代に近代化を始めて以来、世界の中での自分たちの位置づけについて、はっきりとしたアンビバレンス(両面感情)を抱いてきた。明治時代の知識人、福沢諭吉は1885年に『脱亜論』という随筆を発表している。現代ではこの思想に多くの改良が加えられている。アジアを出て西洋に入る「脱亜入欧」、アジアを出てアメリカに入る「脱亜入米」。最近では、西洋を出てアジアに入る「入亜脱欧」、アジアと西洋の両方に入る「入亜入欧」、アジアに入り西洋と仲良くする「入亜親欧」。
その中でも、「在亜親欧」(アジア人として西洋と友好的であること)は最も興味深い。アジア人であること、あるいは「アジアに存在すること」(別の訳語)は、一世紀以上にわたって国家のアイデンティティが混乱してきた後で、かなりの飛躍になる。岸田はこの概念を捨てて、不可能のような、「アジアを離れる」という古い考えに賛成したのである。
永続的な混乱を超越するには十分だといえる。しかし岸田内閣は最悪の形でそれをやってのけた。日本の本来の位置はドイツに似ている。日本の運命は西洋と東洋の間に立つことであり、このことについて混乱する必要はないのである。
すべて過ぎ去った。日本が欧米の安全保障同盟の中でどのように位置づけられるのか、私には見当もつかないが、対等なパートナーでないことは間違いないだろう。セオドア・ルーズベルトの時代から、アメリカは太平洋を目の高さでまっすぐに見たことがない。微妙に、またはそうでなくとも、下に見る方法しか知らないのだ。
安倍晋三が、岸信介を祖父に持つ、門外漢の軍国主義者・国家主義者であるとすれば、岸田文雄は、その経歴から、現在の自分の方向性を読むにはあまりふさわしくない人物である。岸田は自民党の中でも古く、伝統的に外交的関与を好み、憲法9条を守る外交ハト派で構成される宏池会の幹部として長い間活動してきた。その一方で、2012年から8年後に安倍首相が退陣するまで外務大臣を務めた。昨年首相に選出されたとき、ワシントンがしきりに引き合いに出す、中国の想定される侵略行為に、岸田はすぐに反対を表明した。私が思いつかないので、誰かまとめてそのリストを出してほしいものだ。
日本の保守派、特にその主流のナショナリストの中には、私たちが省みられない伝統がある。これは微妙なパラドックスであり、私は以前、海外の編集者に説明するのが難しいと感じていた。日本のナショナリストは、どんなにナショナリズムが強くても、いつもワシントンの手のひらの上でパテのようになってしまうのだ。岸信介はその好例である。これは、「丸い目」の粗暴な侵入から日本と「日本らしさ」を守ろうとする人々の意識の中に、勝者に対する敬意があるためだと思う。
ワシントンは、日本国民を虐待した岸首相を愛したように、アメリカが書き、日本が大切にしている憲法を全面的に改正しようとした安倍首相を愛した。たとえ失敗したとしても、安倍首相はこの問題に新たな正当性を与えた。今、ワシントンは岸田文雄を愛している。岸田は憲法を無視して自民党の別の解釈変更でワシントンの喜ぶことをするだけの知識はある。日本にとっても、アジアにとっても、そして我々にとってもこれは敗北である。
https://scheerpost.com/2023/01/21/patrick-lawrence-japan-reenlists-as-washingtons-spear-carrier/
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