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ウクライナの武器枯渇
2022年12月23日
Brian Berletic
New Eastern Outlook
欧米とウクライナの軍幹部両方の何ヶ月にもわたるニセの自信と楽観主義の後、亀裂が現れ始めている。エコノミストとのウクライナ最高司令官ヴァレリー・ザルジニー将軍の最近のインタビューで、ウクライナの追加武器の切実な必要性とそれらを受け取れない場合の結果は非常に明白になった。
議論は、防空ミサイルから戦車、装甲車両、大砲、砲弾自体に至るまで資源の切実な必要性を中心に展開された。欧米とウクライナ双方が認めている全てが不足しており、おそらく近い将来または中期的未来にも供給できない。
「ロシアを背伸びさせる」からNATO「非軍事化」へ
ウクライナにおけるワシントンの対ロシア代理戦争はアメリカ政策立案者に、ウクライナ東部での敵対行為を拡大して「血と財政の両方でドンバス地域を維持するためロシアの費用を増加させる」ことを期待して「ウクライナに致死的援助を提供する」よう勧告したランド研究所の2019年論文「ロシアを背伸びさせる」の現実化だ。
この論文はドンバスにおけるロシアの装備と人命損失がソ連がアフガニスタンで被った費用の再現になるよう望んでいた。ロシア連邦は確かにウクライナで積み上がる費用に直面しているが、アメリカや他のNATO諸国、そして何よりウクライナ自体少なくともそれ以上ではないにせよ同じくらい苦しんでいると簡単に主張できる。
紛争でどちら側がどれだけ失っているかよりおそらく重要なのは戦闘中に人員と装備を再生する各々の軍事産業能力にとって、どちらがどれだけ失う余裕があるのかということだ。ほぼ一年の戦闘後ロシアの備蓄と軍隊がこの種の長引く激しい大規模な軍事紛争に備えていたことは明らかだ。ウクライナとその欧米スポンサーはそうではなかった。
ウクライナのザルジニー将軍はキーウがウクライナだと主張する2022年2月23日の国境を回復するため必要と主張する武器の「欲しいものリスト」をエコノミストに明かした。リストには戦車300両、歩兵戦闘車600?700両、榴弾砲500門が含まれていた。
この「欲しいものリスト」は、いわゆるハリコフとヘルソンの攻撃に先立ち西側諸国がウクライナに送付した武器、車両、弾薬で構成される大規模予備軍をウクライナが消費したことに続くものだ。複数旅団に相当する喪失に加えて、ロシア地上部隊が撤退し、代わりに長距離兵器を使用して現在十分構築された防御線の背後からウクライナ軍を攻撃したため膨大な量の装備も失われた。
領土を占領することで得られたウクライナ攻撃の一時的な政治的得点は欧米がウクライナに送る余裕があるものの大部分を費やす犠牲を払って得たのだ。
今やウクライナに対する西側援助の限界が益々認識されつつある。
11月のニューヨーク・タイムズ紙記事「アメリカとNATOはウクライナを武装させ自国の兵器を補充するために緊急発進している」は下記のように認めている。
昨年夏ドンバス地域でウクライナは毎日6,000から7,000発の砲弾を発射したとNATO高官は述べた。ロシアは一日あたり40,000から50,000発の弾丸を発射していた。
比較するとアメリカは毎月15,000発しか製造していない。
そのため欧米は、S-300防空ミサイル、T-72戦車、特にソ連口径の砲弾などウクライナが現在使用できるソ連時代の装備と弾薬が益々不足するのを見て緊急発進している。
ザルジニー将軍は300両の戦車を望んでいるがアメリカは改修が必要な90両のT-72戦車しかかき集められなかった。アメリカ政府メディアのラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオリバティによると、戦車は年末までにウクライナに到着すると予想されている。
ザルジニーが必要とする500基の榴弾砲はNATO備蓄には存在しない。しかし、たとえ彼らが持っていたとしても、それで発射する155mm弾は不足している。ニューヨーク・タイムズはロシアの40,000から50,000発に対し、ウクライナは一日に6,000から7,000発の弾丸を発射していたと主張しており、ウクライナと欧米支援者の備蓄とロシアの備蓄との間の格差を示している。
ウクライナ向けアメリカ助成案はM777用の追加155mm弾やNATOの他の国々がウクライナに提供する他のもの除外することが多い。これはアメリカが月に15,000発しか生産しておらず、ウクライナが通常2-3日で発砲するのとほぼ同数の弾丸を生産しているので備蓄が不足しているためだ。
生産を増やすには何年もかかるだろう。アメリカはウクライナに譲渡したもの置き換えるための追加武器と弾薬調達を手配している。しかしこれら調達計画はウクライナが今の戦闘能力を維持するのに必要なものを提供し続けるのに必要なレベルにほど遠い。
最近発表されたBreaking Defense記事にアメリカが今後数年間に調達する多くの軍需品や兵器システムが列記されている。今後数年にわたる調達プロセスを通じて取得される砲弾の数はわずか864,000発でウクライナが半年に発射するのとほぼ同数の砲弾だ。
現在のアメリカ調達計画はウクライナの長期支援を考慮していないようで、議論されている調達計画もない。ウクライナ「非軍事化」が進行中の特別軍事作戦の主目的の一つだとロシアは主張しているがアメリカとNATOもある意味で非武装化されているようだ。
ウクライナが枯渇する中、ロシア兵器は到着し続ける
ウクライナの二つの主要秋攻勢に直面してロシア軍は戦闘能力を維持しただけでなく、30万人以上の追加軍隊を部分的に動員した後、ロシアの戦闘能力は実際拡大した。余分な人員に加えて、ロシアは新しい兵器の着実な流れももたらしている。
アメリカが復元された90両のT-72戦車をかき集め、Army Recognitionは最大200両の真新しいT-90主力戦車が前線に納入されたと報じている。
ニューヨーク・タイムズは欧米がウクライナに送る武器と弾薬の数が減少していることについて論じ、ロシアが少なくとも月に40発の巡航ミサイルを製造している可能性があると認めているが、その数は遙かに多い可能性が高い。
ゲラン2長距離神風ドローンの着実な流れは欧米専門家がロシアがそれらを使い果たしたと主張した後もウクライナに「到着」し続けている。巡航ミサイルやドローンはウクライナ電力網を標的にするため使用されてきたが、他の長距離弾薬や重砲撃がウクライナ要員や装備を戦場で排除し続けている。
大半が国有の広大なロシア軍産複合体全体の生産量は捉えどころがないが、ロシア備蓄がどのように特に大規模な激しく長引く軍事紛争用に製造されたのか、同様にロシア軍もそのような軍事紛争を行うよう構成された方法を考えると、ロシア軍産複合体がそのような軍事紛争に必要なものを生産するため何年も前から大規模準備をした可能性が高い。
アメリカとNATO同盟諸国の合同資源に対してロシアが戦闘作戦をどれほど準備していたのか維持する用意がどれほど調っていたのかは時が経てばわかるだろう。確かなのはウクライナの秋攻勢が止まり、再びロシア軍が戦場を横断していることだ。
エコノミスト・インタビューでザルジニー将軍が次のように述べているのは言及する価値がある。
私は得るものを手に入れているが必要とするより少ない。マンネルヘイムがフィンランド兵に訴えたようにウクライナ兵士に訴える時ではまだない。我々はもっと多くの領土を取れるし、そうすべきだ。
ザルジニー将軍は勝つために必要と考えているものを欧米が提供するのを期待してマンネルヘイムがソ連に降伏する際フィンランド兵士にしたように対ロシア降伏についてウクライナ軍に呼びかける時が来たとは思わないかもしれないが、欧米も彼が勝つために必要なものを持っていないのは明らかで、それを得るべく真剣な準備もしていない。
唯一の希望はウクライナへの減少する供給が最終的に使い果たされる前にロシアが武器と弾薬を使い果たすという考えにかかっているようだ。それは新しいロシア巡航ミサイルやドローンがウクライナ中のインフラを攻撃するたび、または真新しいT-90主力戦車がドンバス地域で鳴り響くたび揺さぶられる願望だ。
Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/12/23/the-ukraine-arms-drain/
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