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茂木幹事長がスタンドプレーで浴びる“返り血”…少子化対策の財源「保険料引き上げ」におわせで
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/321133
2023/04/06 日刊ゲンダイ
火消しは容易ではない(自民党の茂木敏充幹事長)/(C)日刊ゲンダイ
岸田政権の目玉政策である「異次元の少子化対策」。その財源を巡る自民党の茂木幹事長の発言が炎上している。4日夜のBS番組で「増税と国債は考えていない」と明言したうえで、「さまざまな保険料の拠出は検討していかなければいけない」と社会保険料の引き上げをにおわしたからだ。
「茂木さんは、少子化問題についてかなり前のめりになって発言を連発しています。児童手当の所得制限撤廃も最初に言い出し、その後も給食費の無償化を提唱している。しかも、事前に官邸と相談もなく発言したと言われています。いつものスタンドプレーということでしょう。今回の財源についての発言は、統一地方選前に増税を否定する狙いもあったのでしょうが、保険料にも言及してしまい、“返り血”を浴びた格好です」(永田町関係者)
増税も社会保険料も国民に負担を強いることに変わりはない。さっそく、ネット上では茂木発言に対し、怒りの投稿が相次ぐ。
〈増税も保険料値上げもどっちも同じだろ〉〈国民から金を詐取することしか考えられないのか〉〈社会保険料増やしたら逆効果になるくらいわからんかね〉
本末転倒の対策
目玉の「異次元の少子化対策」で、学校法人視察後に取材に応じる茂木幹事長(C)共同通信社
実際、社会保険料アップによる少子化対策は、逆効果になる可能性がある。立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)が言う。
「少子化が止まらないのは、経済的理由から結婚や出産を諦める人が少なくないからです。一部を除き、物価高騰に賃金上昇が追いつかないのに、社会保険料を引き上げ、国民負担をさらに増やせば、ますます少子化は加速するでしょう」
「国民負担率」とは、国民の所得に占める税金や社会保険料の負担割合。国民がどれだけ公的な負担をしているかを示し、大きいほど国民の懐は苦しくなる。
財務省の公表データによると、国民負担率は民主党政権の2012年度までは30%台だったが、13年度の安倍政権以降は40%台で推移。22年度は47.5%と50%に迫っている。なお、年間の出生数が200万人に達していた1970年度の国民負担率は24.3%だった。
「昔は、税や社会保険料の負担が少なかったので、躊躇なく結婚や出産ができた面があります。少子化が進むのは政府が国民負担率5割近くもの負担を国民に負わせていることが大きい。最大の少子化対策は政府が税金や社会保険料を軽減し、国民負担率を引き下げることです。財源に社会保険料を充てることは本末転倒です」(浦野広明氏)
22年の出生数は79万人と過去最少を記録。政府予測より11年早く「80万人割れ」となった。本末転倒の対策では出生数の“ジリ貧”は続きそうだ。
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