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※紙面抜粋
※2023年3月30日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
取り繕いがほころばないうちに…(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
2023年度予算が28日、成立したのを機に永田町では通常国会会期末(6月21日)までの衆院解散・総選挙の可能性を指摘する声が一気に高まってきた。
「先送りできない課題に取り組む。今はそれしか考えていない」
同日夕、記者団から早速、解散に踏み切るのかどうかについて問われた岸田首相は、これを強く否定。29日の衆院内閣委員会でも、岸田はあらためて「今、衆院の解散は考えていない」と明言し、防衛力強化やエネルギー政策の転換、子ども・子育て政策の拡充──といった政策課題を挙げながら、「国会で議論が行われており、説明責任を果たしていくことに尽きる」「解散権は首相の専権事項だが、まずはこうした政策に取り組むことが第一だ」と答えていた。
前回の衆院選(2021年10月)から1年5カ月。衆院議員の任期満了は25年10月だ。自民党総裁選の任期は24年9月だから、それまでに岸田が解散、総選挙を決断しても不思議ではないものの、それでも解散風が吹く時期としては早過ぎるだろう。
岸田自身が“火消し”に躍起になっているにもかかわらず、なぜ、早期解散、総選挙の空気が強く吹き始めたのかと言えば、“表向き”の理由は2つある。ひとつは、自民党の次期衆院選の候補者調整が進んでいることだ。
解散、総選挙しても与党が勝つとは限らない
岸田は2月、党本部や官邸で森山選対委員長と面会した際、候補者調整を急ぐよう指示。これを受け、同党は「10増10減」の対象となる15都県134選挙区のうち、約8割に当たる111選挙区で支部長を決定。4月中にも全国で候補者調整を終える見通しと報じられている上、同党の茂木幹事長も28日、「首相がいつ判断をしてもいいように準備を進めるのが幹事長の役割だ」と発言。
すでに解散、総選挙に備えた態勢づくりを着々と進めているとみられている。
対する野党第1党の立憲民主党は289の小選挙区のうち、今のところ、公認候補の予定者は半数にも満たない。立憲の安住国対委員長は「本気で解散する気なのかもしれない」「我々野党は受けて立たなければいけない」などと強気の姿勢を崩していないが、候補者擁立もままならず、野党協議も進まない現状では、ハッキリ言って勝負にならないと指摘せざるを得ないだろう。
解散風が出ている2つ目の要因は、政権支持率が回復基調に転じたことだ。日経新聞とテレ東の最新の世論調査によると、岸田内閣の支持率は48%で、2月の前回調査から5ポイント増加。共同通信(前回比4.5ポイント増)や朝日新聞(同5ポイント増)、NHK(同5ポイント増)の調査でも軒並み上昇した。
訪日した韓国の尹錫悦大統領と首脳会談し、最大の懸案だった徴用工問題など日韓関係の改善に向けて取り組んだことや、ウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した姿勢が評価された──などと報道されているが、いずれにしても、野党の足並みがそろわず、久々の支持率回復という「追い風」に与党がイケイケムードになっているのは間違いないだろう。いくら岸田が解散しないと言ったところで、党内外に疑心暗鬼が広がるのは当然だろう。
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「支持率が回復傾向にあるとはいっても、不支持率は5割前後あるわけで、解散、総選挙で与党がそのまま勝つとは限らないでしょう。おそらく与党が意識しているのは、立憲が維新と共闘する事態になること。実現すれば与党候補はバタバタと落選するでしょう。選挙が弱い議員は、そうなる前に早く解散してほしい。そんな願望の声が出ているのかもしれません」
防衛費や少子化対策、旧統一教会の問題が再燃するのは時間の問題
候補者擁立にほぼメドが付き、支持率も回復傾向にある──。前述した通り、これが与党が今、早期解散、総選挙を強く叫ぶ“表向き”の理由とされているのだが、もう一つ“本音”としてささやかれているのが、岸田政権の「ボロが出ないうちに解散」という思惑だ。
昨年12月、唐突に「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有や防衛費の大幅増額を決定した岸田。23年度から5年間で防衛費総額を43兆円に増やすとし、財源として増税以外の歳出改革で3兆円強、剰余金の活用で約3.5兆円をそれぞれ捻出することや、税外収入をためる「防衛力強化資金」をつくる──とブチ上げたものの、具体的にどの経費を削るのか、安定財源につながるのかといった具体的な議論は曖昧なままだ。岸田は国会で野党から敵基地攻撃について質問されても、「手の内を明かす」と真正面から答えない場面も目立った。
後半国会では、いよいよ防衛費の増額に必要な財源確保法案の論戦が焦点となり、増税反対で一致する野党が同法案を“狙い撃ち”してくるだろう。さらに「今後の検討事項」とはぐらかしてきた肝いりの少子化対策についても、岸田が大風呂敷を広げた「子ども予算の倍増」の具体策が厳しく問われるのは間違いない。
口先政権の支持率は再び急降下する
つまり、国民の多くが反対している防衛増税や、財源や規模がウヤムヤの「口だけ少子化対策」の中身が本格的に問われることになるわけで、この先、国会審議が進むほど、ヤルヤル詐欺と言われる口先政権の化けの皮がはがれ、支持率が再び急降下する可能性が高くなるのだ。
そうなれば岸田が追い込まれるのは誰の目にも明らか。ならば辛うじて支持率に回復の兆しが見られる今こそ、解散、総選挙に打って出る千載一遇のチャンスではないのか──。おそらく、盛んに解散風をあおりまくっている与党、自民党議員らの胸中はそんなところだろう。
そして、そんな党内の声に押されたのか、あるいはおもんぱかったのかは分からないが、このタイミングで岸田は物価高騰に対する経済対策などと称して低所得世帯に3万円を給付することを閣議決定。22年度の予備費2.2兆円を活用するというのだが、本来、予備費は予算編成段階で想定できない不測の事態に備えるものだ。国会の審議を経ずに政府の判断で使用できるとはいえ、まるで小切手のように好き勝手に使うのだから何をかいわんや。
しかも、4月の統一地方選や衆参5補選を控えた中でばらまくというのだから、野党議員が指摘している通り、「税金私物化による選挙対策」としか言いようがないだろう。元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「前半国会は高市大臣をめぐる放送法の行政文書問題もあり、防衛費や少子化対策、旧統一教会といった重要な問題が見えにくくなってしまった。しかし、いったんは収まったように見えても、それぞれの課題や問題は依然として解決しておらず、いずれ再燃するのは間違いない。もはやボロが出るのは時間の問題であり、解散、総選挙を訴える与党議員はそれを恐れているのでしょう」
解散、総選挙の時期がいつになろうが、岸田政権がいずれ行き詰まることになるのだ。
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