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※紙面抜粋
※2023年3月16日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
高市経済安保担当相(左)は大概にしろ。岸田首相は頬かむり(C)日刊ゲンダイ
放送法の政治的公平性の解釈を巡る総務省の行政文書問題で、連日、野党から国会で追及を受けて“火ダルマ状態”となっている高市経済安全保障担当相の口からまた、仰天発言が飛び出した。
15日の参院予算委では、高市が当初、「捏造」と完全否定していた「2015年2月13日の大臣レク(説明)」について記された行政文書に関する質疑が行われ、立憲民主党の杉尾議員が「高市大臣の言っていることには全く根拠がない。根拠がない中で、どんどん答弁が変わっていっている。全く信用できない」と迫った。すると、仏頂面で答弁に立った高市は開き直った様子で杉尾をにらみつけながら、こう言い放ったのだ。
「私が信用できない。(私の)答弁が信用できないなら質問しないでください」
自分の発言が信用できないなら、質問するな──。これを妄言、暴言と言わずに何と言うのか。こんな調子では国会審議が成り立つはずがないのは小学生でも分かる。議会制民主主義を公然と否定するような発言が、国権の最高機関の場である国会質疑の場で飛び出すなんて驚きを通り越して呆れるよりほかない。
しかも、仮にも高市は大臣であり、ワケの分からないトチ狂ったペーペー議員ではないのだ。
国会質疑が迷走する原因を招いたのは高市だ
そもそも、今のように国会質疑が迷走する原因を招いた張本人は他ならぬ高市自身ではないか。
「まったくの捏造文書だ」。立憲民主の小西参院議員が入手して公表した総務省の内部文書について3日の参院予算委で問われた際、こう声を荒らげて反論し、ケンカ上等のごとく「啖呵」を切っていたのが高市だ。
だが、間もなく総務省が、同省職員が職務上作成、取得した文書で、組織的に用いるために保有している「公文書」の意味を示す「行政文書」だと認めた途端に言動が一変。「私の関係する4枚だけは捏造」と変わり、さらに「内容が不正確」とゴニョゴニョ。しまいには、捏造と言い切っていた大臣レク自体についても「あり得たのではないか」と後退し、さすがに観念したのかと思ったら、今度は「放送法の政治的公平に関するレクは受けていない」と言い始めたから何をかいわんや。
「正確性について話をさせてください」と切り出したかと思えば、その理由は「テレビ朝日をディスるはずはない」「(私は)羽鳥(慎一)アナウンサーの大ファン」などと、正確性の根拠とは程遠い寝言同然の発言。そして極め付きが、「信用できないなら質問するな」というブチ切れ答弁なのだから支離滅裂という言葉がふさわしいだろう。
共同通信社の全国電話世論調査で、高市の説明に対して「納得できない」との回答が73.0%に上ったのも当然ではないか。
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「安倍政権では公文書の偽造や改ざんが繰り返されてきたにもかかわらず、なかなか表面化しなかった。高市大臣もそういう安倍政権を見てきたから、今回も総務省が行政文書と認めるわけがないと思って捏造と断言したのでしょう。しかし、総務省が認めてしまったため、その嘘を糊塗せざるを得なくなり、今のような状況に陥ったわけですが、今後、同省と同じように安倍政権下で行われていた愚挙が各省庁から出てくるかもしれません」
安倍政権の「負の遺産」にこれ以上振り回されるのはまっぴら
個別の番組ではなく放送局の番組全体を見て判断する──とされてきた放送法の「政府解釈」について、礒崎首相補佐官(当時=19年参院選で落選)が「この件は俺と(安倍)総理が決める話」と総務省に迫り、「一つの番組でも判断し得るケースがある」とねじ曲げた疑いが指摘されている今回の問題。
ダラダラと続いている高市騒動は、自民党政権による「放送法の私物化」。露骨な言論介入の「場外乱闘」のようなものだが、高市以外のメンメンの答弁も醜悪だ。
内閣法制局に諮らず、一部の与党議員が政府解釈を強引に変えていたことについて問われた岸田首相は「首相補佐官は総務省を含む行政各部に対し、指示や指揮監督を行う立場にない」などとトンチンカン答弁。本来は「指示や指揮監督を行う立場にない」はずの男が「安倍首相」という虎の威を借るキツネのようにふるまい、「首が飛ぶぞ」とヤクザまがいの言動で総務官僚を恫喝していた疑いがあるから問題なのであり、他人事のように答えている場合ではないだろう。
大体、今回明らかになった行政文書の内容について、岸田は「放送法の政府解釈の変更ではなく、補充的説明」と繰り返しているが、「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は専守防衛を逸脱しない」と詭弁を弄しているのと同じで、誰が信じるというのか。
マトモな首相であれば、放送法に関する過去の高市答弁を撤回させるなり、修正させるなりして、かつての政府解釈に戻すよう指示してもいい。
それなのに頬かむりして責任逃れしているのが岸田なのだ。
「第二の佐川出現」と揶揄される総務省局長
与党も与党だ。高市を追及する野党議員に対して「いつまでやっているんだ」みたいなヤジが議場に飛んでいるが、早く白黒をつけたいのであれば野党の要求に応じて行政文書に名前の出てくる当時の総務省幹部らを証人喚問すればいいだけ。礒崎や山田元総理秘書官、安藤元局長の3人でも十分、文書の中身の真偽や作成された経緯について分かるだろう。その証人喚問を与党は拒否し、てんで応じるつもりがないのだから高市と一緒に国会を愚弄している。そして、そんな政権の顔色をうかがっているだけの総務省もだらしない。この問題で矢面に立って答弁しているのは同省の小笠原局長だが、野党議員に何を問われても、「調査中」と繰り返すばかり。これではSNSなどで「第二の佐川出現」なんて揶揄されているのも無理はない。
行政文書(公文書)を捏造すれば当然、違法行為になるわけで、誰が考えても官僚が法を犯して意図的に行政文書を作成するとは考えにくい。
行政文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」なのだから、公僕としての誇りや自信があるなら全てを明らかにすればいい。それなのに安倍・菅政権ですっかり牙を抜かれてしまったのか、それとも森友問題の財務官僚の対応を見ていて、時の政権にヘーコラすることが出世の近道と考えたのか分からないが、とにかくヘタレだ。
いずれにしても、岸田も与党議員も総務官僚もつくづく言葉が軽い上、薄っぺらで見苦しい。学級崩壊した国会というのか、さながらグロテスクの見本市のようだ。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「今回の行政文書で、安倍政権下で強行されたメディア統制の実態が明らかになったわけですが、安倍ベッタリの政治家と言われた高市大臣にとって、その内容を認めることは安倍氏への裏切り行為になると考えているのではないか。ただ、もはや誰が嘘をついているのか、何が真実なのかは明らかであり、グダグダの国会質疑を見せられる有権者はたまったものではありません。高市大臣は『(捏造じゃなかったら)辞める』と言ったわけですから、そうするべきだと思います」
安倍政権の「負の遺産」にこれ以上、振り回されるのはまっぴらだ。
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