http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/391.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年2月28日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
憲法クーデター内閣(閣議に臨む岸田首相=央)/(C)共同通信社
一般会計総額が過去最大の114兆3812億円となる2023年度予算案が28日、与党の賛成多数で可決され、衆院を通過。憲法の衆院優越規定に基づき、年度内成立が確実となった。28日午前の衆院予算委員会で締めくくり質疑後、予算案を採決。本会議に緊急上程して採決する流れだ。野党側は与党が先週提示した27日採決を拒んだものの、結局は例年通りの展開で、国会審議は終始、政府・与党ペースで進んでいる。
防衛力の強化、コロナ禍からの経済再生、エネルギー危機への対応、子育て対策--。先週末の自民党大会で岸田首相が「先送りできない課題」と力んだ政策だが、どれもこれも議論は深まらない。この国の形を変え、存亡にかかわる極めて重要な政治テーマだというのに、だ。
27日の衆院予算委理事会で、政府は専守防衛を逸脱する敵基地攻撃能力の行使例提示を拒否。「対抗的な措置を取られることにより、国の安全を害する恐れがある」とこれまで同様、詭弁を重ねた。岸田は22日の予算委で「分かりやすい説明は重要だ」とし、提示へ向けて調整していると説明していたが、一転してゼロ回答のゴマカシである。
続く予算委で岸田は、敵基地攻撃の要として導入を予定する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得予定数についてはようやく400発とする方針を表明したが、それとて「米議会で数量の報告が行われる事情もある」から。23年度予算案に取得費2113億円を計上しながら、米国から情報が流れる可能性がなければダンマリを決め込むつもりだったわけだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「こうもシャンシャンで予算案が衆院を通ってしまうのは、野党の体たらくゆえん。とりわけ、野党第1党の立憲民主党の責任は大きい。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と細田議長との関わり、首相長男の岸田翔太郎秘書官の公用車観光疑惑、荒井前秘書官のLGBTQ差別発言など、不祥事にパクパク食いつき、同時並行で追及すべき問題をないがしろにした。国会のレベルが下がり、新聞やテレビなどの大手メディアは本質的な論点を書かない、報じない。これでは岸田政権の思うツボです」
もはや憲法クーデター内閣
昨年末、岸田政権は米国の意向を丸のみする形で安保関連3文書の改定を閣議決定。国会で一切審議せず、米国と一緒に戦争のできる国となるべく安保政策を大転換させた。そうして防衛力強化の名の下、推し進められる防衛費倍増をめぐる問題はほかにもある。防衛費調達を目的にする建設国債の発行だ。新年度予算案に戦後初めて盛り込まれ、自衛隊の隊舎整備や護衛艦建造費など計4343億円に建設国債をあてる。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「ウクライナ戦争を奇貨とばかりに、岸田政権は日本を取り巻く安保環境の厳しさを声高に叫び、防衛力強化の必要性を主張し、大手メディアも基本的に政権の姿勢を肯定する立場で報道しています。先制攻撃につながりかねない敵基地攻撃能力保有や、GDP比2%の防衛費が本当に必要なのか。そうした真剣な討議は行われないまま、何となく軍拡はやむを得ないというムードが広がり、ズルズルきてしまっている。建設国債発行で防衛費を調達するなんて戦争前夜そのもの。太平洋戦争末期の1944年の国家予算に占める軍事費の割合は85.5%に達し、その大半は国債で賄われた。つまり、一線を越えてしまえば、歯止めが利かなくなるということ。財政法4条が赤字国債発行を禁じているのは健全財政のためだけではなく、平和主義を貫くためです。岸田首相は立憲主義を踏みにじり、憲法に基づく法律を蹴っ飛ばす。ひと言で言えば憲法クーデター内閣。独裁政治の手法がキッチリと報じられれば、内閣支持率はもう一段、さらに一段と下落するはずです」
干支が一回りしても3.1万人が避難生活
岸田政権の発足から1年半。安倍元首相銃撃事件によって明るみに出た統一教会と自民党の癒着、国葬強行、さらにはコロナ無策。昨夏、下落傾向に転じた支持率は「危険水域」に沈んだまま。低支持率の不人気内閣が妙な安定感で国政運営に臨めるのは、与党との距離感争い、あるいは腹をくくってスタンスを定められない野党の弱さによるもの。そして、大メディアが妙ちくりんな国政をマトモに報じないせいだ。
日経新聞とテレビ東京の世論調査(24〜26日実施)では、支持率は前回1月調査と比べて4ポイント上昇。2カ月連続アップの上、4カ月ぶりに4割台に回復したが、その背景にあるのはさながら戦前のような大マスコミの報道姿勢だ。軍拡と原発回帰、国民生活に直結する大問題を深掘りせず、大本営発表にくみしている。
東日本大震災発生から間もなく12年。干支が一回りしても、いまだ故郷に戻れず、避難生活を強いられている被災者は3.1万人に上る。日常生活を奪った原発事故は収束していない。岸田は安倍の常套句「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」を完コピする一方、憲政史上最長政権を率いた安倍ですら手を付けられなかった原発復権に突き進む。しかも、その手口はタカ派の先人よりも悪辣だ。
岸田政権は10日、原発の「最大限活用」を明記した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定。既設の原発を可能な限り活用するとして、現在「原則40年・最長60年」としている運転期間の上限を事実上撤廃。「安全対策」などのため停止していた期間を運転期間から除外し、60年を超えた運転を可能にする法改正案を今国会に提出する方針だ。エネルギー政策の大転換もまた、「プーチンの戦争」による資源逼迫を口実にあっという間に決まった。
「三条委員会」の規制委に圧力
岸田は8月末、原発活用に向けた検討を指示。経産省の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の基本政策分科会に推進派議員を集め、結論ありきで年末に議論が取りまとめられた。そうして岸田が手を突っ込んだのが、原発事故を教訓に発足した原子力規制委員会。60年超の運転には規制委所管の安全規制を含めた一連の制度変更が必要だからだ。規制委は13日、委員の1人が反対のまま異例の多数決で新規制づくりに乗り出す方針を決定。賛成委員からも「せかされて議論してきた」と批判されながらも、政府方針に足並みを揃えた。
ところが、飽き足らない岸田は17日、新たな安全規制の具体化や丁寧な説明などを西村環境相と西村経産相に指示。環境相は規制委の事務局である原子力規制庁の片山啓長官を大臣室に呼んで非公開の場で指示を伝達し、片山は規制委の山中伸介委員長に報告したという。
規制委は大臣らの指揮監督を受けず、独立して権限を行使できる「三条委員会」だ。それにもかかわらず、高コスト・高リスクの古いエネルギーにしがみつく経産省、原子力ムラ、財界の意向に沿って、岸田は露骨な圧力をかけた。ウクライナ戦争の文脈で「法の支配」を連発しているが、無法者がよく言えたものだ。
「憲法に基づく政治を行って初めて内閣の正当性は担保される。憲法無視の岸田政権は存在自体が不当で、政策に対する賛否以前の問題なのです。なぜ大手メディアはおべっかを使うのか」(金子勝氏=前出)
自民党政権と一体となって脅威を煽り、安倍-菅-岸田と続く憲法破壊を黙認し、経産省の原発利権死守シナリオを垂れ流す大メディアの大罪も問われなければおかしい。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK289掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK289掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。