http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/382.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年2月27日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
具体策ゼロ(自民党大会で演説する岸田首相=26日)/(C)JMPA
花粉の飛散と暖かな日差しに本格的な春の到来を実感する季節だが、物価高で懐は寒い。国民の暮らしは深刻化する一方だ。
総務省が24日に発表した1月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)が104.3と、前年同月比で4.2%も上昇した。これは、第2次石油危機の影響で物価が高騰した1981年9月(4.2%)以来、41年ぶりの高い水準。日銀が物価安定の目標として掲げてきた「2%」の倍以上になっている。しかも、上昇はこれで17カ月連続だ。
円安や資源高の影響で、食料品やエネルギーが値上がりしていることが原因とされるが、同じく24日に衆院の所信聴取に臨んだ日銀総裁候補の植田和男氏は、「緩和策の継続」を強調していた。すでに10カ月連続で物価上昇は2%を上回り、4%を超える水準になって庶民は苦しんでいるというのに、まだまだ安定的な物価上昇率2%には達していないからと、日銀は円安に誘導する大規模緩和を続けるのである。
「ロシアによるウクライナ侵攻の影響で資源高が続いているのは確かですが、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIも3.2%上昇している。1990年3月以来の高い水準です。政府は2月から電力・ガスの負担軽減策を講じるとしていますが、すでにエネルギーも輸入食材も関係ないコアコアCPIがこれだけ上昇してきている以上、『物価の安定的な2%上昇』などと言っている場合ではないでしょう。日銀の次期総裁候補である植田氏は、マーケットや政府与党、日銀現総裁らに配慮して大規模緩和の継続を明言したのでしょうが、緩和策を続けるということは、今後も国民生活が持続的に圧迫されることに他なりません。国民は安定的な物価高なんて望んでいない。政府も日銀も、政策決定者は裕福だから、物価高で困窮する国民の実態が分かっていないのではないか」(経済評論家・斎藤満氏)
国民の声を聞く力があるとアピールしていた「岸田ノート」も、最近さっぱり見かけなくなった。
政府の賃上げ要請が新たな格差に
26日、都内のホテルで開かれた自民党大会で岸田首相は「物価高から国民の生活や企業活動を守る」と言い、「何をおいても物価高に打ち勝つ賃上げが必要だ」と、構造的な賃上げの実現を目指す考えを表明。しかし具体策はなく、民間企業への“お願い”ベース。「エネルギーや食品の価格を抑え込むという国民との約束をこれからも守る」とも言っていたが、現状はエネルギーや食品以外の物価も上昇していて、しかも岸田は防衛費を増やすために増税すると言っている。数%の賃上げではとても負担増をカバーできそうにない。
「賃金がアップすればまだいいですが、中小零細企業の多くはコスト高で賃上げできる環境にない。非正規社員は対象外という企業もあります。賃上げで一息つけるのは大企業の正社員だけになりかねず、政府の賃上げ圧力には、新たな格差拡大の懸念もある。トヨタ自動車が満額回答だとか、3メガバンクが5〜7%の賃上げだとか、今年の春闘では景気のいいニュースが報じられていますが、収入が増えない非正規社員や年金生活者は置き去りです」(斎藤満氏=前出)
財務省が発表した今年度の国民負担率は47.5%になる見込み。そこへきての物価高で可処分所得は減るばかりだ。岸田が総裁選から政権発足当初まで掲げていた「所得倍増」は一体どこへ行ってしまったのか。
「令和の所得倍増」も「新しい資本主義」も掛け声だけ
可処分所得を増やすには減税が手っ取り早いが、岸田は決して減税には言及しない。経団連会長を招いた党大会で「構造的な賃上げを実現」とか言って内輪で盛り上がっているのも、しょせんは4月の統一地方選を意識したパフォーマンスでしかないのだ。
少子化対策に関しても同様で、党大会でも「従来とは次元の異なる子ども・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」と言っていたが、口先だけでマジメにやる気がないことは、木原官房副長官の「子どもが増えれば予算は倍増」というフザケた発言が象徴している。
具体策は何も見えず、自民党内からも「何をしたいのか」「どこが異次元なのか」と困惑の声が上がる始末だ。6月の「骨太の方針」に盛り込むと言っているが、要は少子化対策が国民に受けるという“統一地方選対策”だ。支援を充実させるように見せて有権者を引き付ける。少子化・子育て対策なら増税も許容されるという計算もあるだろう。
「令和の所得倍増も、分配を重視した新しい資本主義も掛け声倒れで、岸田首相が着実に実行したのは安倍元首相の路線を踏襲した軍拡の加速だけです。それ以外は、口から出まかせのインチキで、国民生活を良くするための政策は何ひとつしていない。ウクライナへの55億ドルの追加支援を決めたことも、悪いとは言いませんが、もっと自国民のために使えないものか。足元の物価高でこれだけ国民が疲弊しているのに、何の対策も打ち出せないのは、あまりに無能と言わざるを得ません。事態を打開する知恵が何もなく、検討を重ねて先送りするだけの“お手上げ内閣”です。せめて金融政策を転換して正常化すればいいのに、政権維持のために党内最大派閥の安倍派に気を使い、それを打ち出せずにグズグズしている。それで被害を被っているのが国民なのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
まなじりを決して「NO」を
アベノミクスの副作用はあまりに大きい。緩和策を続けるかぎり物価高が国民生活を蝕む。かといって、やめれば官製相場は下落する。昨年末に長期金利の許容変動幅を0.25%から0.5%に広げただけで、日銀は8兆円以上の含み損を抱え込んだ。これ以上、大規模緩和からの修正を進めて利上げを許容すれば日銀は債務超過に陥る。政府も国債の利払い費で首が回らなくなる。だから、この物価高でも何もできず、大規模緩和の継続を言い続けるしかない。金融政策を正常化できない。
国民生活に直結する物価高や子育て対策で有効策を打ち出せない岸田が、G7のリーダー気取りでウクライナ問題に前のめりなのは、自分の無力・無能を覆い隠すための目くらましなのだ。
20日に55億ドルの追加支援を発表し、ロシアによる侵攻から丸1年の24日深夜には、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席するG7のオンライン会議を議長国として初主催。ロシアへの制裁強化を盛り込んだ首脳声明を発表した。
5月に広島で開かれるサミット前のウクライナ訪問も画策し、支持率アップを夢想して高揚しているが、自身のメンツと保身より国民生活のためにリーダーシップを発揮してほしいと考えている有権者は少なくないはずだ。
党大会で岸田は「自民党にとって、国民に最も身近なところで行われる統一地方選挙は最も大切な選挙です。まなじりを決して、来たる統一地方選挙を必ず勝ち抜こうではありませんか」と訴えたが、こんなデタラメ政権を勝たせてしまえば、物価高対策も少子化対策も進まずに、待っているのは増税だけ。
「自分たちの生活を少しでも良くするには、この暗愚政権を終わらせるしかない。統一地方選は、国民生活の苦しさが分からない政権に『NO』を突きつける絶好の機会です」(五十嵐仁氏=前出)
まなじりを決する必要があるのは国民の方だ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK289掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK289掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。