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◆宗教の役割◆
動物には宗教は無く、宗教は人類が集団社会生活をする際に発明されたとも言われる。
特に農耕が始まって社会集団が巨大化して行くにつれ、統治の観点からも、「何とか諸法度」とか「何とか法令」のように外側から枠を嵌めるだけでなく、内側からより普遍性を持った宗教を基盤として、盗んではいけない、殺してはいけない、を始めとした強い道徳律で支えないと社会は安定しなかったのだろう。
即ち俗な言葉で言えば、「どこかでお天道さまが見ている」という感覚が共有される事が必要だったのだと思われる。これが様々な内容なから、古今東西宗教が存在した所以の一つだろう。
ところが20世紀初頭、ソ連というマルキシズムに支えられた巨大な無神論、無宗教、唯物論国家が出現する。宗教に支えられた内なる道徳律は抑圧され希薄となる。クレムリンはその代替物として密告社会を構築した。そして何とか約70年持った末にソ連は崩壊した。
現在では、同じく唯物論国家として中国が電脳監視体制によって、宗教の役割を代替させている。
振り返って日本人には宗教観が希薄と言われる。神社に初詣に行き、教会で結婚式を挙げ、亡くなった後は、僧侶にお経を上げてもらう。こだわりが無くてよいとも言えるが、唯物論との境もまた曖昧な感じになっている。この間隙を埋めるのが「世間」による同調圧力である。山本七平の言った「日本教」俗にいう「世間教」というもので、これが内なるものか外なるものか見方は分かれるが、日本人の道徳律を支えていると言えるだろう。
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◆死生観・世界観◆
さて古今東西様々な宗教がある中で、死生観、世界観は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の「最後の審判説」と仏教、ヒンズー教のような「輪廻転生説」、古神道も含まれる「アニミズム」、加えて「唯物論」に大別される。「最後の審判説」とは雑な説明になるが、人は死後その行いによって天国(仮)や煉獄のようなところに行って留まり、世界最終戦争後、最後の審判の日に本選別で永遠の天国(本物)と地獄行きが決まるというものだ。
「輪廻転生説」、「アニミズム」、「唯物論」にも様々なバリエーションがあるが、こちらは特に説明は不要だろう。
それではどの死生観・世界観が実相であるのか? ヘーゲルは「宗教哲学講義」の中で宗教を自然崇拝のアニミズムからキリスト教まで直線上に並べ、例によって発展史観で整理して見せた。キリスト教を至上とするのは当時の教会からの圧力もあったにせよ、それは西洋人としての「あなたの感想でしょ」とも思える。
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一東洋人として筆者は、仏教等の「輪廻転生説」の方が合理的にも思えしっくりするところではある。実際のところは、死んだり幽体離脱(出来るんかい!?)してみなければ分からないが、あの世は想いだけで作られている世界であるならば、案外全部が本当で、「最後の審判村」「輪廻転生村」等の住み分け構造になっているかも知れない。(唯物論ではそもそもあの世は存在しないが)
宗教は、理屈を超えたところに有難味があり、同時にそこに危険が内在する。筆者にはそこに宗教の永遠に解けぬ謎、本質があるようにも思える。
さて今日、安倍元首相銃撃事件を契機に統一教会問題がクローズアップされた。またウクライナ戦争には、カトリック、正教、正教宗派の亀裂が少なからず通奏低音として流れている。加えてロシアが負けて弱体化すればするほど、唯物論国家の中国に正教を国教とするロシアが従属し呑み込まれて行くことになるだろう。
連鎖する危機の時代、それに対処すると共にその帰趨を定めるためにも各自今一度、宗教観の整理が必要と思われる。
https://agora-web.jp/archives/230102081200.html
佐藤戦略総研 http://blog.livedoor.jp/ksato123/
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