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(回答先: 「密室」実務者協議15回 議事録非公開…国会素通りの安保大転換 政府3文書改訂で事項合意(東京新聞) 投稿者 蒲田の富士山 日時 2022 年 12 月 13 日 08:19:04)
2022年12月14日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219740
敵基地攻撃能力(反撃能力)保有とともに、政府が目指す防衛費の大幅拡大。増税か国債かという議論も起きているが、そもそも仮想敵国を掲げて軍備拡張を認めさせる手法が戦前の帝国陸海軍のようだ。国力の差を無視して破局を招いた太平洋戦争の開戦から、今月で81年。際限なく膨らむ戦費調達の歴史をひもとき、教訓を考えた。(特別報道部・岸本拓也、西田直晃)
◆たばこ税は日露戦争のために新設され、「便利な財源」に
「軍拡競争をしだしたらキリがない。軍需産業という死の商人がのさばっている限り、戦争はなくならないのでは」
戦時中に旧満州(中国東北部)に渡り、引き揚げも経験した、神戸市の西澤愼さん(88)が昨今の防衛費拡大論議を憂う。太平洋戦争のさなか、戦費調達のために相次いだ増税や国債発行を思い出すからだ。
政府与党もいま、増額する防衛費の財源として増税を検討している。一例に挙がるのが「たばこ税」。歴史は古く、日露戦争(1904〜05年)の戦費調達のために新設された。その後もたびたび「便利な財源」として使われた。
大蔵省(現財務省)がまとめた「昭和財政史(戦前編)」によると、37年の日中戦争勃発後、増税ラッシュが始まった。貴金属やレコード、写真機への物品特別税が新設されたほか、砂糖消費税増税、映画館などの娯楽施設に入る際の入場税や遊興飲食税の新設が続いた。
41年12月8日に米国などと太平洋戦争に突入すると、所得税や酒税が増税され、電気ガス税や広告税、写真撮影や散髪、製本などに課税される特別行為税といった新税も加わり、国民の嗜好しこう品や生活用品、サービスといったあらゆるものの税負担が増していった。戦争末期の最高税率は、物品税が120%、遊興飲食税が300%に上った。
◆国民が議論に参加する機会がないままの大転換
それでも戦費は賄いきれず、多くは国債の発行に頼った。今月11日、自民党の萩生田光一政調会長が防衛費の財源を「1、2年は国債で」と言及したが、いわゆる「戦時国債」はたがが外れたように膨らんでいったことが特徴だ。
とくに日米開戦後は大量に発行。政府が「1億が債券買って総進軍」「勝利だ 戦費だ 国債だ」などと標語やポスターで国民にこぞって購入を促した。
前出の西澤さんは「私が将来徴兵されたときに必要となる費用のためにと、母が国債を買った。買わないと非国民扱いでしたし、買わない選択肢はなかったのだろう。でも戦後は国債は結局紙くずになった。あんな無責任なものはない」と振り返る。
国民が直接購入したものもあったが、巨額の国債発行の大半は日銀が直接引き受ける「禁じ手」で賄われた。財政規律が失われた結果、1937年度末に約130億円だった国債発行残高は、終戦後の45年度末には約1400億円と10倍以上に。当時の国民総生産(GNP)をはるかに上回る規模に膨らんだ。増税と国債依存によって、終戦前の国家財政に占める軍事費は約8割に上り、破局へと突き進んでいった。
戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏は、にわかに盛り上がる財源論議について、「増税うんぬんの前に、外国への攻撃能力(反撃能力)の保有を含む日本の安全保障政策の大転換が、国会審議を経ずになされようとしていることが大きな問題だ。完全に話の順序が間違っている」と指摘した上で続ける。
「この前段部分が国会できちんと議論されていないのに、増税の賛否を議論するのは、前段部分を認めたことになる。まるで詐欺のテクニック。国民が議論に参加する機会がないまま政府が一方的に進めてはいけない。一度立ち止まって前段部分の是非を議論する必要がある」
◆「仮想敵国」脅威をあおって軍拡
こうした無謀な戦費調達はなぜ可能になったのか。一つのきっかけは、政府が1923年に第一の仮想敵国を従来のロシアから米国に切り替えたことだ。
明治大の山田朗あきら教授(日本近現代史)は「前年のワシントン海軍軍縮条約で、日本が保有する主力艦の数を米国に抑え込まれたため、反発した」と背景を説明する。31年の満州事変以降は国家主義が高揚し、「海軍は正面切って軍拡に走った。人を大動員した陸軍に対し、軍需品に膨大なカネを使ったのが海軍だった」と語る。
そして37年に日中戦争が始まると、「海軍は『中国を支える米英を抑えなければ勝てない』と、両国の脅威を強くあおってさらに大軍拡に突っ走った」。一般会計とは別に軍が自由に使える「臨時軍事費特別会計」を導入。決算はなく終戦までが1会計年度とされ、財源のほとんどが国債で賄われた。「帝国議会がチェックしない打ち出の小づちを手にした」。その結果、航空機の時代となって活躍の場が失われた戦艦大和など「誤った軍拡の象徴が誕生した」とみる。
だが、そこまでして軍備を整えても、国際情勢を読み違えた日本は孤立を深め、米英と戦火を交えることになった。当時、米国の国内総生産(GDP)は日本の5倍以上と国力の差は明らかだったが、引き返すことはできなかった。
国力を無視した軍拡が頓挫したケースは、この限りではない。国際ジャーナリストの伊藤千尋氏は「東西冷戦期にはソ連も、米国との軍拡競争で結果的に経済破綻を招いた。戦前の日本とある意味では似ている」と話す。
これらの前例は、北朝鮮や中国の脅威を理由に戦費調達を進める現在の日本と重なるという。「対抗できる戦力がないと、国際社会で生きていけないと思い込んでいる。過去に苦い経験があるのに、同じ轍てつを踏もうとしている状況だ」
だが、北朝鮮のミサイル発射は、そもそも米国との交渉を有利に進めるためのもの。一方の中国は、2022年の国防予算が26兆円で、既に日本の約5倍に達している。そして、88兆円の米国に追い付くような勢いで、さらに急増を続けている。
「競うことがそもそもおかしい。軍拡の競争は最終的には衝突するか、破綻せざるを得ない」。伊藤氏は「米中など他国の対立に加わるのではなく、具体的な平和外交の道筋を考える必要がある」と訴える。
◆使える財源、使える装備の議論なく…増税ありき?
そもそも、降って湧いたような「防衛増税」に疑念を抱くのは、立教大大学院の金子勝特任教授(財政学)。「増税の是非ばかりが注目を集めているのは目くらましでは」といぶかる。
政府は、27年度以降の追加財源約4兆円のうち、1兆円強を増税で対応する方針を示している。だが、このほかにも歳出改革を実施し、決算剰余金が財源として使える。さらに特別会計の剰余金や国有資産の売却収入などを集めた「防衛力強化資金」も活用できる。
「昨年度は1.4兆円だった決算剰余金は積み増しが可能で、防衛力強化資金も年度をまたいで使える基金に転用できる。財政投融資の資金もあり、増税しなくても必要な財源を賄える」。金子氏はこうした選択肢で既に防衛予算全体を増やす道筋ができていると指摘したうえで、政府の対応を問題視する。
「有効な防衛装備や財源の範囲で可能なことが何かをまず議論すべきだった。それが既定路線のように語られている。国会の財政民主主義は破壊され、まさに議会のチェックが失われた戦中の臨時軍事費特別会計と同じ印象を受ける」
◆デスクメモ
誰でも命より大事なものはない。近隣国が強い、攻めてくる、と言われれば不安になる。でも世界最強の軍隊を持つ米国に、そのような恐怖を抱く人は少ないだろう。「仮想敵国」ではないからだ。冷戦構造が色濃く残る東アジアで、そうした国を増やす外交努力は十分だったのか。(本)
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- 軍事大国化につながる安保政策の大転換 「専守防衛」崩し敵基地攻撃能力保有 安保関連3文書改定を閣議決定(東京新聞) 蒲田の富士山 2022/12/17 01:58:12
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