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※2022年10月29日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※文字起こし
世界中の中央銀行が、一斉に「インフレ抑制」に動いているのに、またしても黒田日銀はノーアクションだった。
予想通り、日本銀行は、28日に開いた金融政策決定会合で、現行の「異次元緩和」を続けていくことを決定した。異次元緩和を続ける理由として、黒田総裁は「日本経済は新型コロナウイルス禍からの回復途上にあり、これをしっかり支えていくことが必要だ」と発言してみせた。
要するに、日本経済は脆弱だから金融緩和を継続するしかない、ということらしい。たしかに、黒田が指摘するように、いま欧米各国と同じように金利を上げたら、住宅ローンを払えなくなる人が続出し、中小企業の破綻が相次ぐ恐れがある。
しかし、よくも平然と「日本経済は回復途上にあり……」などと口にできたものだ。金利を上げられないほど日本経済を弱体化させたのは、いったいどこの誰なのか。この10年間、アベノミクスを推し進めてきた黒田なのではないか。日本経済を弱らせた張本人のくせに他人事のような態度は無責任にもほどがある。ふざけるのもいい加減にしろ、という話だ。10年続けた異次元緩和が、日本経済を弱体化させたのは紛れもない事実だ。
「年初からの通貨の下落率を見れば、日本経済の弱体ぶりは一目瞭然です。下落しているのは日本円だけではありませんが、日本円の対ドルの下落率は突出している。9月末でユーロは14%、韓国ウォンも17.5%なのに、日本円は20%を超えている。日本円はバーツやルピアに対しても1〜2割下げています」(経済評論家・斎藤満氏)
過去10年、アメリカのGDPは16兆ドルから26兆ドルに増え、ドイツも2.8兆ドルから3.8兆ドル、中国は9.6兆ドルから20兆ドルに拡大しているのに、日本だけは5.2兆ドルから4.3兆ドルに低下している。とうとう平均賃金も韓国に抜かれてしまった。
競争力を失った日本企業
異次元緩和の最大の罪は、10年かけて日本経済を“シャブ漬け”にし、ゆっくりだが、確実に衰退させたことだ。
もともと日本の強みは高い技術力であり、国際競争力だった。ところが、いまや輸出大国には程遠い状況だ。2022年度上半期の貿易赤字は、過去最大の11兆円に達してしまった。年間20兆円に膨らむのは確実だろう。日本の得意分野だった半導体まで大量に輸入しているありさまである。かつて工業製品を輸出して稼いでいた日本の姿は見る影もない。
深刻なのは、円安が進んでも輸出が増えないことだ。以前なら円安が進めば価格競争力が強まり輸出が増えたのに、数量ベースでも輸出が増えていない。
「戦後、日本企業は、ニクソンショック、プラザ合意……と危機に陥るたびに技術革新を進め、力をつけてきました。デフレ不況と呼ばれた1998〜2012年でも企業は収益をあげていた。日本企業は高い技術力をバックに自力で稼いできたのです。ところが、異次元緩和によって“円安”と“低金利”という黙っていても儲かる環境となり、企業は努力をしなくなってしまった。設備投資も、人材投資も、研究投資も怠った。その結果、アメリカで生まれたGAFAといった新興企業も育たなかった。EV(電気自動車)の開発も大きく遅れています。黒田日銀の最大の失敗は、金融緩和すれば日本経済は成長すると勘違いしたことです。クルマに例えると、金融政策は“ブレーキ”であって“エンジン”ではない。ブレーキは速度を落としたり停止させることはできても、走らせることはできない。あくまでもエンジンは企業の稼ぐ力です。恐らく黒田総裁も、途中で勘違いに気づいたはず。でも、異次元緩和の失敗を認めることになるので継続するしかなかったのでしょう」(斎藤満氏=前出)
なぜ、公約通り2年で異次元緩和を終わらせなかったのか。
10年間もシャブ漬けにしたために、日本経済は自力では立てなくなっている。
物価高で国民生活は限界
異次元緩和が失敗に終わったため、日本は利上げもできず、その結果「円安」が続き、インフレも止まらない状態だ。黒田バズーカのツケを庶民が負わされている状況である。給料がほとんど上がらないのに、狂乱物価で生活はもう限界だ。
FNNの世論調査では、物価高で生活が「苦しくなった」と答えた人が67.1%に上っている。
なにしろ、10月は食品の値上げが6700品目に上り、年内の値上げは2万品目を超える。マヨネーズは昨年7月から3回も値上げされ、食用油に至っては6回も価格が上がっている。
今後は、さらに上昇幅が拡大する恐れがある。総務省が28日に発表した東京都区部の10月の消費者物価指数(中旬速報値)は、前年同月比3.4%も上昇。この都区部の指数は全国消費者物価指数の「先行指標」とされている。
「異次元緩和を始めてから10年になるが、庶民への恩恵はほとんどありませんでした。トリクルダウンは起きず、実質賃金も上がらなかった。その挙げ句、円安物価高なのだから、庶民は踏んだり蹴ったりです。黒田総裁は過去、国会で『スーパーに行ったことはあるが、買い物は妻に任せている』と言い放っていました。庶民の生活実態が分からないのでしょう」(経済アナリスト)
経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「黒田総裁にはもはや打つ手がないのだと思います。国民生活より、とにかく来春の任期まで波風立てずにやり過ごすことを考えているのではないか。ただ、黒田総裁が退き、誰が後任になっても金利を正常な状態に戻すのは難しいでしょう。長く異次元緩和を続けてきた結果、日本経済はゆがみ、簡単に手を付けられる状態ではなくなっています」
亡国政策を続ける岸田政権
これ以上、日本経済を蝕む異次元緩和を続けたら、この国は本当に終わってしまう。即刻やめないとダメだ。一刻も早く、日本企業をドーピングなしで戦える体に戻す必要がある。
ところが、岸田首相は異次元緩和=アベノミクスを継続しているのだから、どうしようもない。やめる気がまったくない。
28日「総合経済対策」を閣議決定した後の会見で、海外メディアから「物価高が続く中、緩和政策を続けることに国民の理解を得られると思うか」と問われた時も、「過度の変動に適切に対応する」と トンチンカンな見解を繰り返し、質問に正面から答えようともしなかった。
肝心の「総合経済対策」も、バラマキのオンパレードでアベノミクスとほとんど同じだ。まず「規模ありき」で、しかも、財政支出39兆円の大半を赤字国債で賄うという。中身は電気やガス代などの支援と効果が不明な弥縫策ばかりだ。
この10年間、景気が悪化するたびに赤字国債を発行し、効果の薄いバラマキを繰り返してきた愚策を、またやろうとしている。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「岸田首相は支持率下落を挽回するために、巨額のバラマキ策を打ち出したのでしょう。しかし、本気でこの国の経済を立て直す気があるなら、アベノミクスと決別し、産業構造を根本から変えるような政策が不可欠です。黒田総裁に引導を渡すくらいの決意が必要なのに、岸田首相からはそんな覚悟は感じられません」
亡国政策への追及が手ぬるい大マスコミも問題だ。岸田、黒田の退場を求めなければダメだ。
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