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※紙面抜粋
※2022年10月6日 日刊ゲンダイ2面
【北にも円安にも「なす術なし」】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 6, 2022
難題山積に 際立つ首相の無力・無策
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/1GWe0cJCgO
※文字起こし
臨時国会で5日から岸田首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。半世紀を超える自民党と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の癒着、国葬強行、円安物価高対策、新型コロナウイルス対応──。山ほど問題を抱える岸田自民は案の定、防戦一方だ。
5日のトップバッターは、胆力のなさがネックの立憲民主党の泉代表だった。ところがどっこい、議場内をザワつかせる見せ場をつくった。教団とベッタリなのが判明しながら、説明から逃げ回っている細田衆院議長を追及。そもそも、代表質問は議長との質疑は想定されておらず、異例のやりとりではある。そこで泉は「答弁できないようでしたらしぐさでお答えいただきたい」と声かけ。「寄付金を受け取ったり、パーティー券の購入はありませんか」などと質問し、後ろの議長席に座る細田を振り返って10秒近く凝視。与野党の複数の議員から「議長!」「答えろ!」「失礼だろ!」などのヤジが一斉に上がり、議場内は騒然となった。
「お答えいただいていないようです」といったん引き取った泉は、「関連イベントのあいさつで〈安倍総理に早速報告したい〉と発言をされていましたね。その後の報告はなされましたか」「議院運営委員会の場で質疑に応じていただけますでしょうか」と振り返りながら畳みかけたが、細田は置物状態でフリーズ。返答は一切なかった。旧統一教会とズブズブの関係にありながら、8月上旬の内閣改造・党役員人事にあたってそれを認めず、厚かましく留任した山際経済再生相にも当然、矛先は向かった。泉から「山際経済再生相を更迭しないのか」と問われた岸田は、「これまでの反省に立ち、今後は一切関係を持たないと述べている。引き続き政治家として自らの責任で丁寧に説明を尽くす必要がある」と全く代わり映えのしない答弁を従来通りに繰り返し、更迭を拒否した。
自民党は「オール山際化」
政治評論家の森田実氏はこう言う。
「岸田首相は思考能力を失っています。頭の中には総理のポストにしがみつくことしかないのでしょう。詭弁を弄す、嘘をつく。政治家が最もやってはいけない恥ずべき行為です。山際経済再生相は平然と嘘を重ね、それがバレたら口先だけ謝罪をし、何食わぬ顔で居座っている。そんな人間を擁護する岸田首相は総理失格。細田衆院議長の一件もしかり、容認する自民党はオール山際化していると言っていい。政治家としての矜持を持ち合わせていない。いまや『説明責任を果たす』は『無責任』の代名詞。自民党の命運は1年前に岸田首相を総裁に選出したことで尽きた」
内閣支持率のつるべ落としに歯止めはかからず、報道機関によるほぼすべての世論調査で不支持率が上回っている。難題山積に際立つ首相の無力・無策。この国の安全保障を揺るがす北朝鮮の核・ミサイル開発に対しても、庶民を苦しめる円安物価高に対してもなす術なし。痛々しいほど指導力のなさを露呈している。
北朝鮮は4日、過去最長の約4600キロの飛距離と推定される中距離弾道ミサイルを発射。日本列島を飛び越え、日本のEEZ(排他的経済水域)に落下したとみられる。先月25日以降、8発目。対象地域では早朝からJアラート(全国瞬時警報システム)が鳴り響き、上を下への大騒ぎとなった。発射から数時間後、在日米軍を傘下に抱える米インド太平洋軍のアキリーノ司令官の表敬を受けた岸田は、「わが国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威だ。国際社会にとっても、明白かつ深刻な挑戦であり、看過できない」と憤っていたが、具体的に何ができるのか。
中距離弾道ミサイルの標的は、朝鮮半島へ飛来できる戦略爆撃機が配備されているグアムの米軍基地だ。インド太平洋地域での抑止力を強化するため、日米韓の連携を重視する米国のバイデン大統領とも岸田は晩に電話会談したが、ものの25分だった。通訳を挟むため、実質10分ちょっと。「日本や地域、国際社会の平和と安定に対する明白かつ重大な挑戦だ」との認識を共有したという。新味はなく、一種のパフォーマンスだ。
いきり立ち、見下した相手と電話会談の赤っ恥
バイデンはロシアのプーチン大統領が仕掛けたウクライナ戦争の対応に手いっぱいで、政権の命運がかかった中間選挙(現地時間11月8日実施)を控えている。米国を脅かす差し迫った危機でもない限り、腰を上げることはない。金正恩総書記にしても、政治日程は織り込み済み。韓国国家情報院の分析によると、北朝鮮は今月16日から来月7日にかけて7回目の核実験に踏み切る可能性が高いという。後ろ盾の中国で5年に1回開催される共産党大会で習近平体制が3期目に入るのを見届け、バイデンの動きが封じられる中間選挙までにやっちまえ、ということなのだろう。
頼みの米国も無関心、韓国とはいまだ“絶縁”状態。岸田は6日午後、尹錫悦大統領と電話会談に臨む予定だが、バツの悪いことといったらない。岸田が国連総会出席で先月下旬に訪米するタイミングで、韓国側は2年10カ月ぶりの首脳会談実施を働きかけていた。政権交代を機に、戦後最悪といわれる日韓関係を改善に向かわせるためだ。ところが、韓国側が「会談することで合意」と事前発表したことに岸田が激怒。「決まっていないことを言うなよな、逆に会わねえぞ」といきり立ち、紆余曲折を経てセットされた30分間の会談を日本側は「懇談」、韓国側は「略式会談」と発表した。岸田は終始、ブスッとした表情をしていたという。
そもそも、日韓関係がこうもこじれたのは嫌韓嫌中を売りに保守層に媚を売った安倍元首相と、革新系の文在寅前大統領が水と油だったからだ。元徴用工訴訟をめぐって2018年10月、日本企業に賠償を命じる判決が韓国最高裁で確定。文在寅政権は翌月、慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づいて前政権が設立した「和解・癒やし財団」の解散を発表した。メンツを潰された安倍政権は19年7月、報復措置として対韓輸出規制を発動。対抗した文在寅政権は1カ月後にGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄決定を通告したが、米国の説得でうやむやになった。日韓関係は好転の兆しがないまま今に至る。
「この3年の間に韓国産業界は代替策を講じ、耐性をつけた。規制が継続してもさしたる問題はない。もはや揺さぶりの材料にはなりません」(日韓外交関係者)
国債増発で円安加速の愚
安倍は拳を振り上げる裏で、韓国発の反日・反社会的団体と共存共栄をはかっていたのだから何をか言わんや。北朝鮮の暴走をチャンスとばかりに年末の安保3文書改定に向け、防衛費倍増や敵基地攻撃能力保有を押し切る動きも見られるが、迎撃も反撃もできっこない中、予算だけ膨らみ、円安の是正もできず、庶民は地獄の生活苦をさらに強いられることになる。
「NATO(北大西洋条約機構)加盟国並みにGDP比2%の防衛費を確保したところで、隣国である中国の軍事力には100年かけてもかなわない。平和条約を締結していないロシアや北朝鮮をも刺激しかねない。要するに子どもの議論で、岸田政権の頭脳は幼児にも劣るということです」(森田実氏=前出)
立教大大学院特任教授の金子勝氏(財政学)はこう言った。
「ペテン師の山際経済再生相に総合経済対策を担わせる岸田首相の感覚は理解不能です。政権発足当初はアベノミクスからの脱却を掲げていたのに、いまや加速させている。コロナ禍からの回復やウクライナ戦争などによる資源高で歴史的な利益を上げている石油元売りに補助金をつけ続けるのも愚策ですが、その延長線上で電気代高騰をあおって原発回帰にカジを切ったのは愚策も愚策。財源は一体どうするのか。政権の体力を奪う増税に踏み込む気概はないでしょうから、国債発行しかない。国債増発は金融緩和とイコール。日米金利差の拡大を後押しし、円安圧力になる。防衛費倍増の財源も国債頼みでしょう。それでドル売り円買いの為替介入をするなんてメチャクチャです。岸田政権の政策は完全にジレンマに陥っている」
岸田政権は安倍・菅政権の悪しき分身であり、さらに劣化したミソッカス。この国の民度にマッチしているのだとしたら、切なすぎる。
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