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※紙面抜粋
※2022年9月13日 日刊ゲンダイ
【内閣支持率また下がった】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 13, 2022
迷走政権 国葬という自爆にまっしぐら
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/NEf8XaXPvs
※文字起こし
政権発足以来、最悪の事態だ。朝日新聞社が10、11日の両日に実施した全国世論調査で、岸田政権の支持率がまた下がった。支持率は41%と前回8月調査(27、28日実施)の47%から続落。朝日の調査に限ると、昨年10月の衆院選公示に合わせた調査と並び、過去最低である。ただし、当時と大きく状況が異なるのは、不支持率の高さだ。
今回は8月の39%から47%に上昇。政権発足以降、不支持率は20%台で推移し、「何もしないから嫌われない」が、岸田首相のフザけた強みだった。しかし、安倍元首相の銃撃事件を機に、岸田の「何もしないだけ」という地金が浮き彫りとなり、朝日の調査では初めて支持と不支持が逆転した。
前回調査から2週間。この間、岸田は国会の閉会中審査に自ら出席し、安倍国葬の実施理由を説明した。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題でも「関係を断つことを自民党の基本方針にする」と強く踏み込み、「点検」の結果、接点のあった党所属国会議員を公表した。
今回の調査直前には追加の物価高対策を決定するなど、逆風をかわそうとあらゆる手を尽くしたはずが、世論はちっとも好感せず、逆に不信を強める結果を招いてしまった。実に無残だ。
まあ、支持率下落が止まらないのは、岸田の自業自得である。「丁寧な説明を尽くす」と意気込んだ安倍国葬を巡る閉会中審査は、同じ説明を「丁寧」に繰り返しただけ。教団と接点のあった議員名公表は早くも「点検漏れ」を指摘される始末。追加の物価高対策にしろ、低所得世帯への5万円給付が柱というショボさ。家計圧迫にあえぐ庶民にすれば、屁のツッパリにもならない。
自ら掘ったアリ地獄にハマる愚かさ
岸田は「何もしない」より「何もできない」としか言いようがなく、目に余る無為無策に世論も敏感に反応している。
朝日が今回の調査で国葬の賛否を問うと、8月は賛成41%、反対50%だったが、今回は賛成38%、反対56%。賛成が減り、反対は増えた。岸田の説明に納得できるかどうかは「納得できない」が64%。「納得できる」23%と大差がついた。“丁寧な説明”は見事に逆効果となった。
政治家と旧統一教会との問題に対する岸田の対応を「評価する」は23%。8月の21%からほとんど変わらず、低空飛行が続く。物価高への岸田の対応も「評価する」19%、「評価しない」71%と、8月の21%対67%から悪化した。
やることなすこと、すべて裏目に出るのは、岸田が場当たりのゴマカシに汲々としているからだ。国民が安倍国葬や旧統一教会問題に異議を唱えても、「聞く耳」首相は常に「聞く耳」持たず。「どうせ世間は忘れる」と言わんばかりのその場しのぎで、くどくどと中身ナシの「説明」や「対策」を続け、ひたすら嵐が過ぎ去るのを待つ。
そんなトンチンカンな態度に世論もしびれを切らせ、募るイライラが止まらない支持率下落に表れているのではないか。政治評論家の森田実氏はこう言った。
「“ハト派”の触れ込みはうわべだけ。これまで権力欲しさに安倍氏や麻生氏にペコペコしてきただけの中身のない人物を、自民党は総理に選んでしまったのではないか。そのことが国民にバレてきたことを岸田政権の支持率低下は物語っています。安倍氏が亡くなり、参院選にも勝利し、岸田首相は政権のカジ取りを一手に握ったとノボせ上がったのでしょう。野党に相談もせず、内閣の独断で法的根拠のない安倍氏の国葬を決めてしまったのが運の尽き。自民党と旧統一教会が一体だったことが日を追うごとにハッキリしたことも重なり、自ら掘ったアリ地獄に落ちた印象です。もがけばもがくほど事態は悪化するだけです」
黄金の3年が一転、何もできない政権に
NHKが9日から3日間、実施した世論調査でも岸田政権の支持率は過去最低の40%。不支持率も同数の40%に並び、先月の調査から12ポイントも激増した。他の報道各社の調査も同じ傾向を示すに違いない。
悲惨なことに、岸田には反転攻勢の材料が皆無に等しい。逆に10月には今年最多の値上げが押し寄せ、物価高は本格化。何より、今月27日には岸田政権にとって最大の試練となりかねない安倍国葬が待ち受けている。
朝日が今回の調査で安倍と旧統一教会の関係について自民党が調査をするべきか尋ねたところ、「調査をするべきだ」が63%、「その必要はない」は31%だった。自民党の政治家が教団との関係を断ち切れるかどうかについては「断ち切れる」は12%、「断ち切れない」は81%に達した。
安倍が反社会的教団の広告塔を務め、教団票と選挙支援を差配する司令塔だった疑いは濃厚だ。岸田は教団との縁切りを宣言したくせに、安倍と教団の深い関係について「本人が亡くなった今、関係を十分把握することは難しい」と調査から逃げ回り、国葬は強行するとはムチャクチャだ。
自民党と旧統一教会との癒着関係の“総元締”の徹底調査こそ、縁切り宣言の本気度を示す試金石。朝日の調査結果は、岸田の大いなる矛盾に世論もゲンナリし、こんな人物がトップでは、どうせ教団との関係なぞ断ち切れるわけがないと反発している証拠だ。
「安倍氏の国葬は憲法違反なだけでなく、旧統一教会とズブズブの癒着関係を築いた安倍氏を国として免罪することになりかねません。安倍氏の銃撃事件を機に、信教の自由すら奪われる宗教2世の問題など、教団の反社会性が改めて明らかとなり、だからこそ国葬反対の世論が支配的になってきたのです。それでも岸田首相や自民党幹部の説明は不十分。反対する国民の怒りに誠意を持って応えようとしません。その上、巨額の税金を投入して安倍氏の国葬を予定通り強行すれば、火に油を注ぐように岸田政権への怒りは頂点に達するでしょう」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
八方美人が災いし八方ふさがり
迷走政権は国葬という自爆にまっしぐら。国民の怒りが冷めやらないうちに、国葬から6日後の来月3日には秋の臨時国会が召集される見込みだ。
大型選挙は来春の統一地方選までないとはいえ、今の岸田に上がり目なし。このまま支持率が低迷し、ズルズルと30%台、20%台と危険水域に近づいていけば、自民党内も黙ってはいない。新年を迎える前に「岸田降ろし」が始まっても、おかしくはない。
「当然『解散』などと言っていられない状況で、野党がしっかりしていれば臨時国会で岸田政権は総辞職です。立憲民主党は、日本維新の会や国民民主党からの孤立を恐れず、政権打倒に注力すべき。国葬出欠についても、なぜ党として欠席せず所属議員任せにするのか。世論全体が『こんな自民に政権は任せられない』という気分に近づく今、安倍氏の国葬や旧統一教会とのズブズブ関係を徹底追及しなければいけません」(森田実氏=前出)
前出の金子勝氏は「岸田首相の苦境は身から出たサビ」とこう言う。
「安倍氏の国葬を内閣・自民党合同葬に切り替えれば、反対世論は収まるかもしれませんが、岸田首相は自民党内の『やれよ』と言う面々を説得できるだけの政治力を持ち合わせていない。誰にでも『いい顔』をしたがる八方美人の政権運営が災いし、安倍氏の国葬を巡って股裂き状態で八方ふさがりとは皮肉です」
国民の目にリーダー失格の資質がハッキリ露呈し、世論の半数近くに見放されたボロボロ首相。衆院を解散しない限り2025年まで国政選挙のない「黄金の3年」を手に入れたはずが、もはや「何もできない政権」目前である。
安倍国葬を強行するなら、それと引き換えに岸田は潔く退陣した方がいい。
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