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五輪汚職 元理事、出版2社のトップを引き合わせ 森元会長も同席
https://mainichi.jp/articles/20220909/k00/00m/040/333000c
毎日新聞 2022/9/10 02:00(最終更新 9/10 12:56) スクープ
東京2020エンブレム=東京都新宿区で、丸山博撮影
東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=が2017年にスポンサー調整の会合を開き、出版大手「KADOKAWA」と別の大手出版社の双方のトップを引き合わせていたことが関係者への取材で判明した。他に組織委元会長の森喜朗元首相(85)も同席していたという。東京地検特捜部もこの事実を把握し、KADOKAWAがスポンサーに決まる2年前から、重要メンバーによる選定に向けた動きがあったとみている模様だ。
関係者によると、会合は17年5月に東京・赤坂の飲食店であり、KADOKAWAの角川歴彦(つぐひこ)会長(79)や別の大手出版社の社長が出席。元理事の知人でコンサルティング会社社長の深見和政容疑者(73)=同容疑で逮捕=と、KADOKAWA顧問の芳原世幸(よしはらとしゆき)容疑者(64)=贈賄容疑で逮捕=も同席したという。
高橋元理事は会合に先立ち、組織委側にKADOKAWAと別の大手出版社の2社を合同で出版分野のスポンサーにする計画を持ちかけており、両社の顔合わせの目的があったとみられる。同席した芳原顧問は当時KADOKAWAの五輪担当で、深見社長は同社との窓口になっていたとされる。
森元会長と別の大手出版社の社長は、過去に元会長を巡る同社の雑誌記事が原因で折り合いが悪く、元理事には和解の場を設けた意図もあったとみられる。しかし、その場で森元会長は社長に「嫌いだ」などと発言し、スポンサーの話はまとまらなかったという。大手出版社は18年ごろ、正式にスポンサーを辞退した。
KADOKAWAは19年4月、協賛金2億8000万円でスポンサーとなり、同年7月〜21年1月にスポーツ事業のコンサル料として深見社長の会社に計約7600万円を送金した。特捜部はコンサル料の実態は賄賂だとして、元理事と深見社長、芳原顧問とその部下を6日に逮捕した。
角川会長は5日の報道各社の取材に「(部下に)他の社と一緒に(スポンサーを)やるべきじゃないかと言った覚えがある」と説明。別の大手出版社の幹部は毎日新聞の取材に、社長が17年の会合に出席したと認めた。
森元首相を参考人聴取
また、特捜部が参考人として森元会長から任意で事情を聴いたことも判明した。高橋元理事のスポンサー選定に関する職務権限などを確認したとみられる。森元会長は紳士服大手「AOKIホールディングス」(横浜市)がスポンサーに決まる前にも、元理事や同社前会長の青木拡憲(ひろのり)被告(83)=贈賄罪で起訴=らと会合を開いており、特捜部は聴取でこの会合でのやり取りも確認したとみられる。
森元会長はKADOKAWAとの会合への出席や事情聴取の有無について、弁護士を通じ「捜査に支障を来すといけないので回答は控える」とした。【松尾知典、最上和喜、柿崎誠、志村一也】
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