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参院選の台風の目となるれいわ新選組 まともな社会を切望する若年層 東京街宣には連日人だかり
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/23946
2022年7月1日 長周新聞
参議院選が公示され、7月10日の投開票日に向けて各政党や候補者の陣営による選挙戦が一斉に始まった。改選6議席の東京選挙区では、現職や新人34人が立候補し、激しい街宣活動が各地で活発化している。選挙区に5人、全国比例に9人の計14人の候補者を擁立したれいわ新選組の代表・山本太郎(東京選挙区立候補)は、1日当り5〜6カ所の辻立ち演説をおこない、各地で黒山の人だかりをつくっている。訴える内容は、25年のデフレ不況を吹き飛ばす消費税廃止、円安情勢下での国内産業の保護、長期化するウクライナ戦争や東アジアの緊張を緩和する平和外交、脱原発を基本としたエネルギー対策など多岐に及ぶが、聴衆との一問一答を交えた熱気溢れる街頭演説は、多くの人々をひきつけ、確実に選挙戦の台風の目となっている。
渋谷駅前広場でのれいわ新選組の選挙フェス(6月26日)
新宿駅前での山本太郎の街頭演説(6月24日)
山本太郎陣営は公示以降、新宿、中野、阿佐ヶ谷、四ツ谷、五反田、蒲田、自由が丘、中目黒、恵比寿、北千住、錦糸町、上野、秋葉原、池袋、高田馬場、原宿、表参道、渋谷など都心で重点的に演説。どこでも人だかりが生まれ、なかでもロスジェネといわれる3、40代を含めて若い人の多さが際立っている。街頭演説会場では、候補者である山本本人が一通りの政策をのべた後、往来する人々や偶然居合わせた人にもマイクを渡し、旺盛な質疑応答をおこなう。年間を通じておこなっている街頭記者会見と同じ方式だが、選挙中には従来の支持者ではなく、「たまたま通りかかった」「演説が聞こえたので聞きに来た」という人がマイクを握ることが圧倒的に多い。
また今回の参院選を「コロナ禍で鬱積したものを発散する選挙」と位置づけ、演説の前座として、コロナ禍で活動の場を奪われてきた大道芸人、漫才師、講談師、ミュージシャン、ダンサーなどによる多彩な演目を織り交ぜ、25日の秋葉原駅前では「れいわ景気爆上げ盆ダンスパーティー」と銘打って盆踊りやよさこいソーラン節などを参加者も一緒におこなうなど、イベント色の強い選挙キャンペーンをやって衆目を集めている。26日の渋谷街宣にはブラスバンドも登場し、ひときわ賑やかな選挙戦を展開している。
質疑応答では、「なぜせっかく当選した衆議院議員を辞職したのか理由を聞きたい」「ビジョンはわかるが、国会議員になってれいわは何をしてくれるのか?」「ウクライナ戦争(対ロシア)について、非難決議に反対したれいわの姿勢はどうなっているのか?」など辛辣な意見も含めてさまざまな疑問が飛び交い、山本氏との間で熱のこもったやりとりがおこなわれる。
ウクライナ問題を巡り 外交窓口を閉じるな
ウクライナ問題に対する日本の態度として山本氏は、次のように訴えている。
山本太郎 武力をもってウクライナに侵攻したロシアについては、もっとも強い言葉で非難するというのが私たちの立場だ。同時に、この戦争を終わらせるために交渉を続けることは絶対に諦めてはいけない。だが、日本政府がおこなったロシア制裁は長期化はさせるが、戦争を終わらせる効果は乏しいことは過去の実績からも明らかだ。さらに日本政府はロシア大使館の外交官を国外に追放し、ロシア側との交渉の窓口を閉じてしまった。正義一点だけで外交は語れない。国際法違反をしたものには最大限の非難はしながらも、国益という点からも交渉のカードにならなければならない。外交の失敗が戦争なのだ。
東アジアで緊張が高まれば、それを緩和するためにロシアとの交渉窓口は必ず必要になる。エネルギーという点でもロシアとの関係は国益に通じる。中国とアメリカの間で緊張が高まれば、台湾有事も想定される。ここで「日本の防衛力をさらに強化すべきだ」という強い声がある。「台湾防衛は日本の防衛だ」と考える人もいるが、それは絶対に口に出してはいけないことだ。
現に世界中で台湾有事のシミュレーションはさまざまにおこなわれているが、その内容をみれば概ね米軍は中国軍に負けている。2020年秋、米空軍がおこなった図上演習では、中国軍による台湾侵攻は撃退したものの損害があまりにも大きく、成功に値しないというリポートを米空軍が出している。さらに多くの人命と装備が喪失するという結果になっている。
このシミュレーションの前提として、米軍が主導して指揮する台湾守備軍の先頭に立つのは日本の自衛隊の艦船、航空戦隊となっている。これが現実になれば日本は戦争の最前線に立てられ、完全に巻き込まれることになる。だから、そこからは距離を置き、あくまで外交で解決する努力をおこなうべきだ。戦争に備えて軍備を増強するという話はいろいろ語られるが、そのような事態にならないような外交をどれだけ厚くしていくかということについて語られることがないのがこの国の政治だ。
例えばASEAN(東南アジア諸国連合)は「アメリカと中国、どちらかを私たちに選ばせるな」というスタンスで外交をしている。米中の争いに巻き込まれたときにはアジア全体に影響を及ぼす。だから、日本もアジア諸国と手を繋ぎながらこれを抑制するとりくみをやっていかなければならない。
今国会では「敵基地攻撃能力」を持つということが論議されているが、要するに先制攻撃能力を持つという内容だ。いくら言葉をいい換えても、そのように世界では報道されている。日本がなぜ他国を先制攻撃できる能力を持つことが問題になるのか。それは国連憲章にある旧敵国条項で、日本を含む七カ国(敗戦国)が不穏な動きをしたときには安保理の許可なしに叩けることになっているからだ。つまり日本が重武装に傾けば、日本が周辺国から攻撃されても文句がいえない関係になっている。安全保障とは裏腹に日本が攻撃を受けるリスクが高まる。
日本に対して旧敵国条項は死文化はしていない。旧敵国にはドイツも含まれるが、ドイツはNATOに加盟しており、英仏と相互に防衛するという立場にあるため事実上、死文化している。ロシアに対しては不可侵条約が結ばれている。日本はどうか。ロシアとの平和条約はなく、中国とも条約はあっても関係は悪化し続けている。火遊びが過ぎる国は叩かれる。日本は国連憲章によって足かせがはめられていることを決して忘れてはいけない。その立場を考えたうえで何ができるのかを徹底的に考えていくのが現実的な国防だ。つまり専守防衛であり、徹底的な平和外交を貫く以外にない。それをわかっていて憲法改定だ、敵基地攻撃だ、国防費増額だということが、いかにお花畑で語られる安全保障かということだ。
この国の主権者は国民 50%が動けば変わる
また、恵比寿駅前で「あなたは議員になって何をしてくれるのか?」という問いに、山本氏は次の様にのべた。
山本太郎 たった一人でもできることはある。だが、それだけでは限界がある。国会のなかで勇気をもって、空気を読まないという選択ができる人たちが増えなければならない。今までの永田町のリズムでやっていこうと思う人間たち、「親や先輩から譲ってもらった地盤をなんとか守らなければならない」「労働組合のなかでもらった議席だから次の人に迷惑がかからないようにちゃんと議席を繋がなければ」というような忖度のなかで政治を回されても困る。そんなことはみなさんには関係がないからだ。国会は職業安定所ではない。
この国のオーナーは、皆さんお一人お一人なのだから、この国会内の崩れたパワーバランスをとり戻さなければいけない。あなたに光が当たるという政治家を増やしていかなければ、全体的に前に進める力は弱まる。その存在がいなくなったとすれば、もう完全に白旗だ。白紙委任しかない。この選挙制度さえもいつまで守られるかわからない状態だ。
私は徹底的に抗うつもりだ。どうしてか? もう自分の人生は横に置いている。逆にいえば絶対にやってやろうと思っている。自分がどうなったとしても。そういう相手を一番怖がるのが既存の権力側だ。彼らは守りたいものだらけだから。保守じゃなくて保身なのだ。
れいわ新選組を立ち上げたときは1人だった。それ以前にも、1人でも2018年の西日本豪雨災害のときには、小型重機100台を被災地に送るように内閣委員会で働きかけて実現させることができた。現在は700人の国会議員のなかでわずか5人だが、それでもできることもあるし、かけられる圧力はある。でも、ここから先に進めるには数を増やしていくしかない。あなたの1票だけでは難しい。それをなんとか横に広げて、1人1人がそれをやれば3倍になり、4倍になる。
50%の人たちが眠っているのだとしたら、あなたの近くからそれを集めることで力を持たせられる。政治家、政党を育ててほしい。私は希望しかない。50%のまだ未確定の人たちがいるのなら、希望しかない。その人たちと力を合わせて変えていける。今現状はそうだから、しょうがないよね…と諦めたとたん、それに苦しむのは子どもたち、孫たちではないか? 力を合わせておもしろい世の中、景気のいい社会をつくりたい。だって直近9年間で過去最高益を上げている人たちがいるのに、大多数の賃金がだだ下がりという社会をつくれたのだから、その逆の社会もつくれる。政治によってつくられたものは、政治によって変えられる。
永田町の空気を読まないという存在を巨大化させていただくことによって、皆さんに貢献できることは増えていく。そういうものが増えていくことによって、だるだるに弛みきった国会に緊張感を与えることができる。皆さんは希望の存在だ。この国を変えられるのは皆さんなのだから。私たちをその先頭に立たせていただきたい。徹底的にやる。力を貸していただきたい。
「命守る政治を」 聴衆の声から
山本太郎の演説には若年層が多く集まる
1カ所当り約1時間あまりの街頭演説では、偶然通りかかった人々も足を止め、最後まで熱心に聞き入っている。時間を経るにつれてその数が増していくのが特徴だ。
池袋駅前でベビーカーを引いて家族で演説を聞いていた父親は、演説後に山本氏と家族写真を撮った。「偶然通りかかって聞いていたが、国民の生活に密着した政治家が少ないなかで、山本さんにはその姿勢を感じる。やはり子どもを持つ親としては命を守る政治を求めたい。最近の外交や安保問題については不安を感じることが多く、憲法改正についても与党は議論をすることなく、密室ですべてを決めていこうとしている。野党も迫力がなく、逃げているように見えて仕方がない。投票率が低いのも、どの政治家に投票しても自分自身へのメリットが見えにくいということがある。山本さんのように私たちの目線で政治を語ってくれる政治家が増えてほしい」と期待を語った。
高田馬場で演説を聞いていた40代の会社員男性は、「演説は最後少ししか聞けていないが、政治について冷めて見ていた自分にとって山本さんは信用できる人間かどうかを見極めたいと思って聞いていた。今の政治には弱者目線が必要だと思う。私が住むアパートでも80代の独居老人が多いが、民生委員のなり手もなく、保健師もいないので見守る人がいない。身内もいないので、私くらいしか気に掛ける人もいない。区役所に相談にいっても、個人情報保護といって何も動いてくれない。大家さんもいるが、管理会社まかせで、その管理会社も遠くにあるから、中間的なコミュニティが存在しない。高齢者のセーフティーネットが必要だ。個人情報よりも命を守ってほしい」と語っていた。
また「私もロスジェネ世代で、昨年まで非正規雇用を転々としてようやく正社員になれた。同世代も非正規雇用で独身者は多い。選挙のときだけいいことをいう政治家はたくさんいるが、れいわ新選組には信用される政党になってほしい。その点では、街宣スタッフの人たちが“点字ブロックを避けてください”というプラカードをもって案内していたことに感銘を受けた。このようなきめ細かい心遣いをする政党は他にない」とのべていた。
原宿で街宣を聞いていた34歳の男性は「たまたま通りかかって演説を聞いた。最初はれいわ新選組の消費税廃止には懐疑的だった。でも昨年脱サラしてエステ経営の個人事業主になり、消費税の重さを知った。2年後にはインボイスも導入される。コロナ禍で私たちのようなサービス業は経営が厳しく、物価も上がり、起業しづらい世の中になっていると思う。サラリーマン時代は固定収入は安定していたが、物価が上がれば給料は下がっているのと同じだ。起業しても新たに消費税がのしかかる。その分、消費税を廃止して国全体の経済の循環を促していくというのは筋が通っている政策だと思うし、説得力を感じた。庶民の生活に関心を持つ政治をやってほしい」と思いをのべた。
北千住での演説を聞いていた40代の男性は、「一次産業(水産)に関連する仕事に携わっているので、業界として保守的で、なかなか新しい政党を応援しづらいものがあるが、山本さんの歯に衣着せぬ演説には感心する。そこまでいっていいのか、と。エネルギー関連の商売をしているが、現在の原油高も資本家の投機によるものだ。さらに政治による補助金制度(激変緩和措置)も一部の業界に利益が回るだけで、私たちは損益が増しているのが実態だ。ガソリン税廃止は今一番必要な政策だが、それをいっているのはれいわ新選組だけではないか。補助金で一部の業界や派閥だけにもうけさせるのではなく、減税で幅広い人たちに優しい対策をやるのが本当の政治の役目ではないか」と語った。
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