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参院選後に始動した日本の地獄
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2022年6月27日 植草一秀の『知られざる真実』
日本政治が顕著におかしくなったのは2013年夏から。
2013年夏の参院選で衆参ねじれが消滅した。
メディアがねじれ解消を熱烈推進した。
私は13年の参院選直前に著書を公刊した
『アベノリスク
−日本を融解させる7つの大罪−』
(講談社)
本の紹介には次のようにある。
第1の罪 インフレ 第2の罪 増税 第3の罪 TPP参加 第4の罪 原発再開 第5の罪 シロアリ公務員温存 第6の罪 改憲 第7の罪 戦争へ
「アベノミクスの次には何が起こるのか?日本はどう変わるのか?
インフレでも給与は上がらず、大増税によって景気はますます悪化、TPP参加で日本の保険・金融・国土はハゲタカに破壊し尽くされ、原発再稼働後の国民は再び放射能事故の恐怖に怯える日々を味わう。
またもや拡大し始めた巨額の公共事業利権にはシロアリ官僚が群がり、独善的な改憲によって人権と国民主義は制限され、挙げ句の果てには、「戦争が必要な国」アメリカに巻き込まれる形で戦渦に晒される…
アベノミクスの次に起こることを知りたい人へ。」
帯には
「緊急出版 日本の本当の地獄は参院選後に始まる」
と記した。
2013年の夏、メディアは「アベノミクス」を絶賛した。
その広告宣伝効果が奏功して安倍自民党が勝利。
衆参ねじれが消滅して安倍内閣の暴走が始動した。
2012年12月の第2次安倍内閣発足から今年の12月で10年の時間が経過する。
この10年間に日本は完全に作り変えられてしまった。
上掲書『アベノミクス』サブタイトルに
「−日本を融解させる7つの大罪−
と記した。
「七つの大罪」とは
第1の罪 インフレ 第2の罪 増税 第3の罪 TPP参加 第4の罪 原発再開 第5の罪 シロアリ公務員温存 第6の罪 改憲 第7の罪。
警告した通りの現実が生じた。
「第1の罪 インフレ」について二つ書いた。
一つは、インフレは資本の利益のための施策であって、労働者、消費者には損失を与えるものであること。
いま一つは、黒田日銀が量的緩和政策を実行してもインフレ目標を実現することは困難であること。
2013年に日銀総裁に就任した黒田東彦氏、副総裁に就任した岩田規久男氏は2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げることを公約とした。
岩田規久男氏は国会での同意人事審議で、公約を実現しない場合には職を辞して責任を明らかにする考えを明言した。
しかし、インフレ率2%は実現しなかった。
短期金融市場に日銀が大量の資金を供給しても、市中の銀行が与信を拡大しなければ市場に出回るマネーの量は増えない。
マネーの量が増えない限り、インフレは発生し難い。
多くの学者が量的金融緩和政策によってインフレの実現が可能と主張するなかで、私はその可能性は低いことを指摘した。
私の専門領域のひとつが金融政策メカニズムの研究だった。
日銀がインフレ誘導に失敗したことは不幸中の幸いだった。
インフレは実質賃金を引き下げたい企業にとっての朗報。
インフレは多額の債務を抱える企業にとっての朗報。
インフレによって賃金が目減りする家計にとっては損失。
インフレによる実質預金残高減少は貯蓄者である家計にとって損失だ。
アベノミクスの大罪はこれだけでない。
TPPに代表される売国政策が遂行されてきた。
憲法の内容を憲法改定の手続きを経ずに改変した。
立憲主義の根幹を破壊する国家破壊が実行された。
政治権力の暴走を防ぐ防波堤の役割を果たしてきたのが「衆参ねじれ」だった。
この「ねじれ」が破壊されたのが2013年参院選。
参院選を前にこの点を再確認しておきたい。
『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
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