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諸外国は軒並み減税。それでも自民党が消費税減税を拒み続ける真の理由
https://www.mag2.com/p/news/543096
2022.06.23 『きっこのメルマガ』 まぐまぐニュース
6月22日に公示され、本格的な選挙戦に突入した参院選。その大きな争点のひとつである「物価高対策」では、自民党だけが消費税減税に応じぬ構えを見せていますが、そこにはどのような思惑があるのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、その理由を「岸田政権が参院選後に消費税の大増税を目論んでいるため」と解説。さらに消費税は最終的に25%まで上がることとなり、引き上げ第一弾は選挙後1年以内に行われると予測しています。
さらなる消費税増税を目論む自民党政権
6月22日(水)、参院選は公示日を迎え、7月10日(日)の投開票へ向けての選挙戦が始まりました。しかし、今回の参院選は、熱く燃えているのは選挙に出馬する側の政党や候補者や各陣営、そして一部の熱烈な支持者たちだけで、多くの有権者の間には「しらけムード」が漂っているように感じます。前回3年前の参院選の投票率は48.80%と、50%を下回って過去2番目の低さとなりましたが、今回はさらに投票率が下がり、過去最低を更新するのでは?との声も出始めています。
国政選挙の投票率低下の原因は、主に「政治不信」と言われて来ましたが、投票年齢が18歳に引き下げられたことも踏まえると、若い世代の「政治離れ」も一因だと思います。しかし、今回の参院選の場合は「一枚岩で支持率の安定した与党」と「バラバラで支持率が低迷し続ける野党」という構図により、最初からぼんやりと結果が見えていることが「しらけムード」の原因だと思います。
さらには、争点が多すぎることも一因だと思います。たとえば、沖縄県知事選の場合、争点は「米軍の新基地建設に賛成か反対か」という一点なので、前回4年前の投票率は63.24%、前々回8年前も64.13%と、日本の選挙の中では比較的、高い投票率となりました。しかし、今回の参院選は、岸田インフレによる「物価高騰」、まだまだ収束しない「新型コロナ」、ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイル連発が火をつけた「安全保障」、自民党がゴリ押しする「憲法改正」、従来からの「少子高齢化」や「社会保障」や「エネルギー」や「地方創生」など、争点だらけなのです。
これだけ争点が多いと、野党の中でも争点ごとに主張がバラバラになるため、与野党間での対決姿勢が希薄になってしまいます。その上、有権者側も重要視する争点がそれぞれ違うため、反与党の有権者はひとつにまとまることができません。その結果「どこが勝とうが何も変わらないから投票に行っても無意味」という「しらけムード」が生まれているのです。
ちなみに、6月第1週に報道各社が実施した全国世論調査では、選挙の争点として最も回答が多かったのが、どの調査も「物価高騰対策」で、60%台後半から70%台でした。そして、次が福祉や医療などの「社会保障対策」、3番目が「新型コロナ対策」で、自民党が最も力を入れている「安全保障対策」は4番目、10%台から20%台でした。
自民党の岸田文雄総裁は、多くの国民が最も困っている「物価高騰」について「ロシアのウクライナ侵攻が原因」と言い切り、議論を「安全保障対策」にスライドさせようとしました。しかし、国民もそこまでバカではありません。現在の「物価高騰」の最大の原因は「止まらない円安による輸入原材料の高騰」であり、その「止まらない円安」の原因が「日銀の黒田総裁に金融緩和を続けさせている自民党政権」であることは、今や中学生でも半数以上が知っています。
そして、日銀が金融緩和をやめられない理由については、アベノミクスの失敗を隠蔽するために続けて来た「金融緩和と株価操作による好景気の演出」が限界を迎え、もはや舵を切れない状況にまで陥ってしまったからですが、これまた周知の事実です。しかし、自民党政権は、そんなことはお構いなし。今回の参院選を「現状維持」か「議席微減」で何とか乗り切り、3年後まで国政選挙のない「黄金の3年」を手に入れたら、最初の1年目に強行することが2つ決まっているからです。
それは、憲法改正のための発議と、消費税の大幅増税です。前者はともかく、後者に関しては、そろそろ限界が近づいて来た財政の自転車操業を少しでも先延ばしさせるため、なるべく早い時期に消費税を大幅に引き上げて新たな利権システムを作り、また身内だけで税金をグルグル回す魂胆なのです。
今回、自民党の高市早苗政調会長は「安全保障」を最大の争点と位置づけ、現在約5兆円の防衛予算を2倍の10兆円にまで引き上げると鼻息を荒くしています。しかし、野党は当然として、日本維新の会や国民民主党などの「ゆ党」までもが「物価高騰対策」を重要な争点として掲げ、消費税やガソリン税の引き下げを主張しているのです。ま、維新と国民民主の場合は、消費税の引き下げと同時に「原発の再稼働を進めて電気料金を引き下げる」などと言っているので論外ですが。
市民団体「公正な税制を求める市民連絡会」が事前に実施した各党へのアンケート調査で、「消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源であることから、その税率を引き下げることは考えておりません」などと回答しているのは自民党だけです。自民党と連立を組む公明党ですら、支持者の顔色をうかがって「無回答」、他の野党はすべて引き下げか廃止を主張しています。
いつもは身内のような日本維新の会や国民民主党までもが「消費税減税」を主張しているのに、どうして自民党だけはアレコレと嘘まで並べて、頑なに「消費税率を引き下げることは考えておりません」と言い続けているのでしょうか?答えは簡単です。それは、選挙が終わったら1年以内に消費税を大幅に増税する計画だからです。仮に減税するのであれば、最低でも1年という期間を決めて、現在の10%を5%に引き下げることになります。そうなると、物価高騰の対策として減税している時に、まさか増税などとは言い出せなくなってしまうからです。
現在の消費税の税収は約20兆円ですから、取りあえず1年間だけ半額の5%に引き下げるのであれば、支出は10兆円で済みます。一方、頑として消費税の引き下げに応じようとしない自民党の岸田文雄総裁は、現在の物価高騰に対して「13兆円規模の強力な対策を行なう」と述べています。消費税を減税するよりも多くの予算を投じてまで、消費税の減税だけは何が何でも阻止しようとしているのです。
その上、その「13兆円規模の強力な対策」の中身を見ると、電気料金の支払いに使えるポイントをどうのこうのとか、またいつもの「運営に莫大な費用が掛かるピンハネ政策」ばかりなのです。13兆円を投じても自民党のスポンサー企業が次々とピンハネし、肝心の消費者へ還元されるのは10兆円以下になってしまう岸田自民党案と、10兆円の減税分が全額そのまま消費者へ還元される野党案、どちらが良いかは聞くまでもないでしょう。
しかし、岸田自民党は、参院選後の消費税増税という党利党略を完遂するために、今はどれほど無駄遣いしても、減税だけは絶対に避けなければならない、そう思っているのです。さすがは大企業と富裕層ばかりを優遇し続ける自民党政権ですね。
2014年4月、当時の安倍晋三首相と麻生太郎財務相は「増収分は全額を社会保障に使う」と公言して、消費税を5%から8%へ増税しました。しかし、すぐに法人税を大幅に引き下げ、消費税の増収分の73%は法人税減税の穴埋めに使われてしまいました。約束通りに社会保障に使われたのは、わずか15%だけです。また、2019年10月に消費税を8%から10%へ増税した時も、法人税の減税こそ行ないませんでしたが、自民党のスポンサー企業を優遇するための数々の特別措置が水面下で行なわれました。
消費税の増収分の大半が法人税減税の穴埋めに使われていることは、財務省の公式HPにある「税収の推移」の内わけを見れは一目瞭然です。しかし、6月19日のNHK「日曜討論」に生出演した自民党の高市早苗政調会長は「れいわ新選組から消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言がありましたが事実無根です」「消費税は使途が社会保障に限定されています」などと大嘘を連発した挙句、れいわ新選組の大石晃子政審会長に向かって「公共の電波でデタラメを言うのはやめていただきたい」と抜かしたのです。
これには、お茶の間の皆さんだけでなく、ネットの皆さんもお茶を噴き出し、ツイッターではアッと言う間に「#平気で嘘をつく高市早苗」というハッシュタグがトレンド入りしてしまいました。
そもそも海外では、今の物価高騰より遥か前に「新型コロナ対策」の一環として、日本の消費税に当たる付加価値税を減税する国が次々と現われました。2020年12月の時点で、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、フィンランド、ノルウェー、アイルランド、ハンガリー、ロシア、メキシコ、中国、韓国を始め、世界50カ国以上が減税していました。そして、さらなる物価高騰に見舞われている現在では、少なくとも世界90カ国以上が減税しているのです。
それなのに、どうして日本の自民党政権だけは、ここまで意固地になって減税を拒否し続けるのでしょうか?ガソリンにしても、トリガー条項を発動する条件は完全に満たしているのに、何が何でも発動せず、1リッター当たり40円も支払ってまで税金を守り続けています。ガソリン1リッター当たりの税収は54円なので、40円払ったら税収は14円しか残りません。
それでもトリガー条項を発動しないのは、表向きでは「東日本大震災の復興財源を確保するため」と言われています。しかし、その復興財源にしても、九州に不要な道路を造るなど、東日本大震災とはまったく関係ないものに湯水のごとくバラ撒かれているのですから、何をかいわんやです。
ま、どちらにしても、少なくとも消費税に関しては、自民党政権は後2回か3回の引き上げで最終的に「25%」を目指しており、その第1弾が参院選後の1年以内に強行されるはずです。たぶん、新型コロナもロシアのウクライナ侵攻も終わらないうちに強行されますから、「それは困る!」という人は、ちゃんと選挙で自分の意思表示をしましょう。今のあたしたちには、それしか手段がないのですから。
(『きっこのメルマガ』2022年6月22日号より一部抜粋・文中敬称略)
image by: 首相官邸
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