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前時代の遺物のような「政治的存在としての連合労組」の終焉 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/306770
2022/06/16 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
野党がダメなら与党にお願い(芳野友子連合会長)/(C)日刊ゲンダイ
近づく参院選では野党の後退は避けられそうになく、とりわけ社民党は福島瑞穂党首の議席確保すら容易でない中、党としての形を維持することができるか否かの瀬戸際に立たされている。もうひとつ、この選挙を通じて終焉を迎えそうなのが「政治的存在としての連合労組」で、それはもっぱら昨秋に就任した芳野友子会長のぶざまとしか言いようのない右往左往の結果である。
ミシン製造会社の労組委員長からJAM(ものづくり産業労組)副会長を経て連合副会長に至る労組経験のどこでどういう体験があったのかは分からないが、彼女は徹底した「共産党嫌い」で、立憲民主党の枝野幸男代表(当時)が丁寧に積み上げてきた共産党との選挙協力を徹底的に妨害し、事実上、潰してしまった。立憲から分かれた国民民主は連合の言うことを聞くが、衆院わずか11議席の弱小政党で、それを通じて政策課題を実現していく回路としては役立たない。そこで芳野は自民党に大接近して、さっそく麻生太郎副総裁と一献酌み交わしたりする関係となった。
こんな不格好なことになる根本原因は、連合が政治との関わり方について勘違いをしていて、自分らのささやかなる政策的要求を、まずは野党に、それがダメなら与党に、どちらにしても「お願いして聞き入れていただく」ものだという卑屈な考えに染まっていることにある。
欧州のリベラル政党やそれを支える労組を見ると、労働者=市民こそが未来を先取りする存在だという自負に立って、企業内では、目先の利益しか考えない経営者と違って社会の先行きを考えた転換(例えば電力労組が原発を捨てて新エネに進出せよと迫る)をいち早く提言して経営側とやりあうだけの政策立案能力を鍛えているし、政府が保守系であろうと同じような知的主導権を発揮して論争を挑む。労使対決でも協調という名の癒着ではない対等な関係をつくっている。そのための強力なシンクタンクや学者・市民活動家とのネットワークも備えている。
酒席に侍って何やら政策を「お願い」するという前世紀の遺物のような活動スタイルは、もう終わりなのである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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