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「自民しか勝たん!」やってる感だけの岸田総理が外交邁進するワケ 参院選直前に外交三昧「余裕」の背景には…
https://friday.kodansha.co.jp/article/248677
2022年06月15日 FRIDAYデジタル
アジア安全保障会議でスピーチをする岸田首相。しかしその「中身」は、とくにない 写真:AFP/アフロ
岸田文雄内閣の支持率は、下がったとはいえ56.9%(6月13日・共同通信)で、7月の参院選挙は「自民しか勝たん」という楽勝ムード。そんな余裕からか、岸田首相の「外交」が盛んだ。
「国会会期末を迎えるタイミングで、シンガポールへの弾丸外遊を敢行しました。国内ではぱっとしなかった『岸田ビジョン』ですが、アジア安全保障会議に出席して『平和のための岸田ビジョン』として発信。岸田外交への評価は上がりつつあります。参院選挙に向けた政治的アピールとしても、高得点の外交になりました」(自民党幹部)
実際、EU、アジア、南太平洋諸国など、世界の首脳たちが、岸田首相に面会を求めてきている。さらに水面下では、中国との日中首脳会談交渉が進行しているのだ。外相経験者が明かした。
「秋葉剛男国家安全保障局長と中国の外交トップ楊潔篪(よう・けつち)政治局委員が、2時間15分もの長時間にわたり電話で話し合いました。その電話会談の後、外務省幹部が相次いで訪中しています。
秋葉局長は、日中国交正常化50周年に合わせ、岸田首相と習近平国家主席の『対面での首脳会談』を模索しているのです」
「何もしない」が最強アイテムの岸田政権だが、外交に関しては積極的だ。広島で開催予定のG7サミットでは、議長国を務める。APEC(議長国アメリカ)、G20(議長国インド)、クアッド(議長国オーストラリア)と、日米首脳会談から大きな外交イベントが間断なく続く。が、その内容といえば「何も言わない」で「やってる感を醸(かも)す」が半端ない。とはいえ、
「この数ヵ月で、政界は一気に『安倍一強』から『岸田無双』へと様変わりしたんですよ」(岸田首相周辺議員)
国民の不満は爆発するはずなのに
たしかに、岸田政権の支持率は多少の上下はあるものの、右肩上がりなのだ。
「この物価高。賃金は上がらず、国民生活は疲弊しきっています。本来なら、政治に不満がでる場面です」(同前)
なのに、政権は支持されている。こうした情勢を反映して、目前に迫る参院選は自民党一人勝ちのムードが日増しに強くなっているのだ。
世論調査を見ると、自民党は、1人区で24議席を獲得。また、全ての複数人区で議席を獲得し、さらに北海道、東京都、千葉県の各選挙区では、2人当選の可能性も高いという。
一方、立憲民主党は、複数人区で1議席獲得。1人区での議席獲得はごくわずかと予想されている。
特筆すべきは、連立与党の公明党が神奈川県、兵庫県で当落線上の「厳しい戦い」という予想になっていること。
自民党選対関係者が言う。
「自民は、岸田支持率が高いことから2000万票近い得票を期待しています。議席は、前回の54から、2013年に獲得した65議席を目指したい」
一方、野党選対関係者は沈痛だ。
「いくつかの参院選挙情勢調査を総合すると、リアルパワーでブレない共産党が、もうひとつ勢いがない。連合との関係が冷え込んだ立憲は地盤沈下が激しい。ブームは沈静したものの維新はそこそこ。東京選挙区に殴り込んだれいわ新撰組は、まだ風が吹いていない。そうなると、組織力の自民党一人勝ちになってしまいます。けれども、ここ数回の国政選挙では、この情勢調査が必ずしも当たっていませんから。投票日に向けて全力疾走するしかありません」
対立軸を鮮明にできない野党。対して、そもそも「対立」どころか「何もしない」ことで批判を避け、選挙対策は余裕とばかりに外交に邁進する政権。結果、岸田首相の独走を許し、国民生活を置き去りに「防衛費10兆円」を言い出した自民党。しかし、政界の大方は、今回の参院選投票率を「戦後最低」と予測している。
選挙が終わってから年末にかけて、石油関連製品の輸入物価上昇から、ライフラインが危機に陥ることは明白だ。このとき、岸田政権の新資本主義が、「自民しか勝たん」国が、生活を守れるのか。史上最低の投票率でいいわけがないのではないか。
取材・文:岩城周太郎写真:AFP/アフロ
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