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黒田総裁お次は「値上げ許容」根拠データの“悪用つまみ食い”が発覚!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/306474
2022/06/09 日刊ゲンダイ
自身の緩和政策に合致する部分だけ抜粋(日銀の黒田東彦総裁)/(C)日刊ゲンダイ
日銀の黒田総裁は8日の衆院財務金融委員会で「家計が値上げを受け入れている」という6日の講演での自身の発言を「表現は全く適切でなかった」として撤回した。参院選を控えた政権に配慮し、火消しに躍起だが、〈#値上げ受け入れてません〉とSNS上では批判が続いている。
家計が値上げを受け入れていないのは統計上でも明らかだ。
7日に総務省が発表した4月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は30万4510円で、物価変動を除く実質で前年同月比1.7%減となった。2カ月連続の減少だ。
「もし、家計が値上げをそのまま受け入れていれば、消費支出は横ばいになるはずです。マイナスになるのは、物価高騰を受けて、かなり節約している証拠です。ラフに言えば、くらしの質や量を1.7%落としているのです」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
日高屋は大盛り無料など「モリモリサービス券」の配布を4月末で終了。原材料高騰の中、価格を据え置くための措置だが、おかげで今や並盛りで我慢するサラリーマンは少なくない。風呂に家族が続けて入り、追い炊きを避けることでガス代を節約している世帯もある。鳥の唐揚げをもも肉から安価なむね肉に代えるケースも耳にする。
こうして家計を切り詰める中、黒田総裁の問題発言が飛び出せば“大炎上”は当然。さらに、黒田総裁は「値上げ許容」を強調するために、根拠データを“つまみ食い”した可能性が発覚した。
自分を正当化するため…
公開されている東大大学院の渡辺教授らによる調査
黒田総裁は講演で「興味深い調査結果があるんですよ」と、東大大学院の渡辺努教授らによる調査を紹介した。
「馴染みの店で馴染みの商品の値段が10%上がったとき、あなたはどうしますか」との質問に対し、最新調査(今年4月22日〜5月9日)では「他店に移る」が前回(昨年8月)より減少。これを根拠に黒田総裁は「家計の値上げの許容度も高まってきている」と主張したのだ。
ところが、公開されている調査結果を見ると、同じページに値上げをそのまま受け入れない家計の姿が示されている。
「その商品を買い続ける。ただし、買う量を減らしたり、買う頻度を落としたりして節約する」が、「よく当てはまる」と「当てはまる」を合わせ、約7割に達しているのだ。昨年、一昨年の調査より増加している。
そうまでして緩和を続けたいのか
「異次元の金融緩和を続ければ、日米の金利差が拡大。“悪い円安”によって物価上昇が伴います。物価上昇を家計が許容しなければ、金融緩和を正当化できなくなる。黒田総裁の調査結果の引用は、自分を正当化するために都合のいいデータだけを取り出したとみられても仕方がありません。中央銀行総裁の“つまみ食い”は末期的と言え、辞職に値します」(森岡英樹氏)
発言撤回で幕引きは許されない。
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