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米国の世界支配戦略に従い、中露との戦争へ向かう岸田政権
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2022.06.08 櫻井ジャーナル
6月29日から30日にかけてスペインでNATO(北大西洋条約機構)の会議が開かれ予定だが、この会議に岸田文雄首相は出席する意向だという。ウクライナや台湾の情勢に対応するため、アメリカやヨーロッパとの連携を強めることが目的だとしている。
ウクライナ情勢に関し、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は4月2日、ウクライナ全土を支配するために戦うと宣言する権利がウォロディミル・ゼレンスキー政権にあると主張。ドンバスやクリミアからロシア軍を追い出すことを目的にウクライナ政府が戦うことに彼は反対していない。
2013年5月から16年5月にかけてSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務めたアメリカ空軍のフィリップ・ブリードラブ大将は今年4月7日、核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと発言した。
ブリードラブの発言から2日後、イギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフを訪問、それを境にしてロシア政府とウクライナ政府の停戦交渉は止まっている。戦争を継続しろと圧力をかけたとウクライナでは伝えられていた。
ストルテンベルグ、ブリードラブ、ジョンソンといった人びとはロシアを核戦争で脅しているつもりなのかもしれないが、この脅しは通用しない。相手国にアメリカは何をしでかすかわからないと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けるとリチャード・ニクソンは考え、イスラエルは狂犬のようにならなければならないと同国のモシェ・ダヤン将軍は語った。
そうしたやり口を踏襲しているつもりなのだろうが、それはロシアや中国に通じない。アメリカ/NATOが核戦争を仕掛けてくると判断したなら、ロシアは動く。ヘンリー・キッシンジャーやアメリカの統合参謀本部はそうしたことを理解しているようだが、ジョー・バイデン大統領の取り巻きやNATOは突っ走ろうとしている。アメリカの統合参謀本部はNATOをコントロールしきれていない。
本ブログでは繰り返し書いてきたように、1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表されてから日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。1991年12月にソ連が消滅、アメリカが「唯一の超大国」になり、単独で行動できると考えた人は少なくなかった。ネオコンもその中に含まれている。
当時、国防総省はネオコンのディック・チェイニー長官とポール・ウォルフォウィッツ次官補を軸に動いていた。そのウォルフォウィッツを中心に「DPG草案」という形で世界制覇プランが作成されている。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。
それに対して細川護熙政権は国連中心主義を掲げていた。そこでこの政権は1994年4月に潰される。この時、最初に動いたのはマイケル・グリーンとパトリック・クローニンのふたり。カート・キャンベルを説得して国防次官補だったジョセイフ・ナイに接触し、ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告」を発表したのだ。グリーン、クローニン、キャンベルはウォルフォウィッツやチェイニーと連携している。現在、キャンベルはアメリカのアジア政策を指揮している。
ウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づき、最初に攻撃されたのはユーゴスラビアだった。2001年9月11日の出来事を経てアメリカは世界制覇戦争を本格化させるが、予想外のことが起こる。ウラジミル・プーチンを中心としたグループがロシアを曲がりなりにも再独立させ、ドクトリンの前提条件が崩れたのだ。
最初は軍事力で簡単に粉砕できると踏んでいたようだ。フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキアー・リーバーとダリル・プレスの論文では、アメリカは近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てるとされていた。言うまでもなくこの雑誌は外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物。アメリカ支配層の考え方が反映されていると言えるだろう。
そして2008年8月、イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京オリンピックの開催に合わせ、2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃したが、ロシア軍の反撃で惨敗している。西側の有力メディアはロシア軍が軍事侵略したと伝えていたが、住民の証言でロシア軍に助けられたことが判明してしまった。正規軍によるアメリカの世界制覇は難しいことも明らかになった。
2009年からアメリカのロシア政策で中心的や役割を果たすようになるのはスタンフォード大学の教授だったマイケル・マクフォール。この人物はスタンフォード大学の学生だった1983年の夏にレニングラード大学でロシア語を学び、85年にはプーシキン記念ロシア語大学のセミナーに参加、91年にはローズ奨学生としてオックスフォード大学へ留学して博士号を取得している。そして2009年にバラク・オバマ政権に上級顧問として参加、「ロシアのリセット」を計画することになった。
ロシアを再従属させる上でウクライナの体制は重要な意味を持つ。そのウクライナで東部や南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが2004年の大統領選挙で当選、アメリカは「オレンジ革命」(2004年から05年)を仕掛けて新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領の座につけた。
しかし、新自由主義の実態を知ったウクライナ国民は2010年の選挙で再びヤヌコビッチを大統領に選ぶ。そこで2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターで再びヤヌコビッチを排除、体制そのものを変えてしまった。そこからヤヌコビッチを支持していた東部や南部の住民とキエフのクーデター体制が戦いを始めたわけだ。この戦いの目的はロシアの体制転覆以外の何ものでもない。
その間、2010年8月にオバマ大統領はPSD-11を承認、ムスリム同胞団を使って中東から北アフリカにかけての地域でアメリカへの従属度の低い体制を転覆させる工作を始める。そのひとつの結果が「アラブの春」であり、中東における戦乱は今でも続いている。
そして今、バイデン政権はユーラシア大陸の東側で軍事的な緊張を高めている。その火種に使っているのが台湾。アメリカの支配層は日本列島から琉球諸島、そして台湾へ至る弧状に並ぶ島々で中国を封じ込め、侵略の拠点にしようとしている。
明治政府は琉球併合、台湾派兵、江華島事件、日清戦争、日露戦争と侵略の道を歩き始めた。さらにシベリア派兵、「満州国」の建国、ノモンハン事件、そして1941年の関東軍特種演習までは中国からロシア/ソ連を支配するというアメリカやイギリス、より詳しく言うならば、両国を支配する巨大資本の戦略に合致した動きをしている。今、似た光景が目の前で展開されている。
アメリカは中国の航路をいつでも断ち切ることができる態勢を整えるため、インド洋からマラッカ海峡、そして南シナ海や東シナ海を海軍力で支配しようとしているが、それが「自由で開かれたインド・太平洋」だ。安倍晋三は総理大臣時代の2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたという。
好き勝手に行動できるインド・太平洋にしたいということだろうが、アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替えている。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点、そしてインドネシアを両海域をつなぐ場所だとされたが、インドとインドネシアはアメリカと一線を画している。明確に従属しているのは日本だけだ。
アメリカ、イギリス、オーストラリのアングロ・サクソン系3カ国は2021年9月に「AUKUS」という軍事同盟を結んだ。日本、アメリカ、オーストラリアにインドを加えた4カ国で「Quad(クアッド)」と呼ばれる軍事同盟を結んでいるが、インドは腰が引けている。
そして2021年10月4日(日本では5日)、バイデン大統領は岸田首相と電話で会談、尖閣諸島は日米安全保障条約5条の適用対象になる、つまり守ると明言、「日米同盟がインド太平洋地域と世界の平和、安全、安定の礎として重要な役割を果たしている」という。同じ日に岸田はオーストラリアのスコット・モリソンとも会談した。日本は確実にロシアや中国との戦争へ引きずり込まれつつある。
ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘していたが、岸田首相のNATO会議への出席はこの指摘を裏付けるものだと見られても仕方がない。どの程度の日本人がロシアや中国と核戦争する覚悟をしているのだろうか?
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